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老化と意欲の相関関係について 2024/10/01
老化現象と言いますが、心身のどのような状態を老化と認識するのでしょうか。記憶力の低下・無気力・脱力感・頻尿・五感の衰え・脚力の衰え・精力減退・関節リウマチなど、老化現象の自覚症状は多種多様です。還暦を過ぎると老化現象を痛感しますが、その老化現象も【意欲】を持つことによって克服できます。
脳の中でも前頭葉の存在が老化現象と密接に関わっています。前頭葉の働きは、運動機能・言語機能・感情機能を司っていますので、前頭葉が機能している人ほど、老化現象を意識することはないのです。残念なことに、前頭葉は40代から萎縮しはじめ、高齢になるほど萎縮が進み、運動機能・言語機能・感情機能が衰えてしまいます。これにより、身体を動かすことが億劫になる、記憶力が低下する、【感情】の起伏が大きくなったりします。また、「年だから!」と言って、前頭葉の老化現象を放置してしまうと、【意欲】が喪失しポジティブな捉え方ができなくなり、精神的にもネガティブ思考に陥り、老化現象の【負の連鎖】に嵌まり込んでしまいます。それを食い止める方法は、前頭葉を活性化させることです。
前述しましたが、40代から徐々に前頭葉は萎縮し、還暦を過ぎると脳の萎縮は進みます。そこで、前頭葉に【刺激】を与えることが大切です。萎縮は止められませんが、刺激を与えることで脳の活性化を促せます。刺激の具体例としては、ライフワークにおける【生きがい】を持つことです。今まで仕事オンリー、育児家事オンリーで叶えられなかった趣味や娯楽に傾倒し、楽しむという【感情】を得ることで、前頭葉に刺激が伝えられ、老化現象をセーブできるのです。
ライフワークを持つことで、【意欲】が沸いてきます。【意欲】が沸くことで脳の前頭葉に刺激が伝わり、脳の活性化につながります。ワクワク感とかウキウキ感とかドキドキ感という【刺激】が出てくることで、【感情】に彩りが加味されます。まさに【正の連鎖】これにより前頭葉の活性化につながります。老化は【意欲】有無で左右されます。何かをやろうという【意欲】をもって継続することが、とても大事な老化予防に繋がることを覚えておいて下さい。
季節の変わり目に起こる心の悲鳴について 2024/09/01
9月に入りましたが、長引く酷暑で私たちの精神力や体力は消耗しきっています。同時に自律神経のバランスが崩れ、特に精神面での症状が表出します。【気分が安定しない・落ち着かない・意欲が沸かない・倦怠感が強い・動悸・悲観的に考える】など、情緒不安定や体調不良に陥る人が多く出る時期がこの9月です。早期に心模様のシグナルをチャッチして、この時期を上手に乗り越えることが肝心です。
精神力が疲弊している人の口癖の特徴は、【だってどうせ理解されない・何やってもだめだ・どうしようもない・しょせん無理・~~なんか・何しても楽しくない・つらいだけ・苦しいだけ・もうおしまいだ】などです。どの言葉も悲観的な心の悲鳴と言えます。また、もの悲しげな目つきで表情が暗くなるのも特徴です。【目は心の窓】と言いますよね。このシグナルに気付くことが大切ですが、自分では自覚症状として認識できないため放置してしまい、うつ病へと進行してしまうケースは稀ではありません。身近にいる人が異変に気付いてあげることが大切です。
心の悲鳴を発している人に、どのような言葉がけをすればよいのでしょうか。できるだけさりげなく相手のプライドに配慮して、言葉を選ぶことが肝心です。例えば、「最近仕事が立て込んで大変だったでしょう!疲労が蓄積しているようだったら、お休みをとることも大事だと思いますよ。」と、断定的ではなく寄添う形で話してみましょう。この時に、その判断は本人に委ねるようにすることで、プレッシャーをかけないように心配りすることが大切です。また、物事を悲観的に受け止め自己否定が強く出ている状態であることを考慮し、共感する言葉がけをすることで、自己肯定感へと導いてあげることが肝心です。例えば、「今辛い気分でしょうね!あなたにしかわからない辛い思いがあるんでしょうね!焦らず慌てずマイペースで心の痛みが少しずつ和らぐといいですね。」と、気持ちを受け止めてあげることで、自分は孤独ではないことに気付かせてあげられます。寄添うということは、【心地よく安心できる】という距離感を維持することなのです。
もしも最近の自分が、上記の心の悲鳴を発しているようであれば、それは心の疲弊と受け止めて、セルフコントロールなさって下さい。ひと月前を振り返り、無理をしていたかどうか検証することが大切です。例えば、カレンダーに毎日の気分をお天気マーク☼・☁・☔で記しておくと、心模様が一目で振り返れます。また、身近な人で心の悲鳴を発している人がいたら、相手のプライドに配慮して、例えば、「休息をとって力みを抜いてみたら」「気負わないであるがままの気持ちで」「話したくなったら声をかけてね」と、寄添う距離感んで優しい言葉がけをなさって下さい。
「脳のクールダウンで疲労回復」について 2024/08/20
「疲労が溜まっている」と口走る方は多いことでしょう。仕事・育児・勉強・運動・労働など、疲労の原因は様々です。疲労回復にと滋養強壮栄養ドリンクやビタミン剤などを服用したり、マッサージで筋肉をほぐしたりすることもあると思います。また、何より睡眠を十分にとることで、疲労感を解消する方も多いと思います。そこで、根本的な疲労回復に効果的な脳のクールダウンについて記します。
睡眠は疲労回復に効果的ですが、ただ睡眠時間を長くとればいいというものではありません。身体の中で一番疲労しているのが脳です。様々な指令を出しているのが脳神経です。睡眠時のレム睡眠は、外見上は寝ているのに脳が覚醒状態にあります。ノンレム睡眠は脳の眠りの状態で覚醒していませんので、ぐっすり寝ている状態です。ですから24時間の中で20時間近く脳は働いているのです。実は、身体の中で面積当たりの発熱量の一番多いのが脳です。脳の自律神経の中枢は鼻腔近くにあるため、活発になった自律神経を冷たい空気で冷却することで、自律神経を鎮静化する効果があります。
稼働し続けた脳をしっかり休めさせることで、脳疲労が解消されます。そのためには、脳のクールダウンが効果的です。冷えた空気を鼻呼吸で鼻腔を通過させることにより、鼻腔の近くにある脳をクールダウンさせられます。
自律訓練法は、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整える脳幹部休息法です。方法は、目を閉じて楽な姿勢になってゆったりと呼吸をして、決まった言葉を上手に使って心身をリラックス状態に誘導させます。呼吸は鼻腔で行います。これにより冷たい空気が脳をクールダウンさせることで、蓄積された脳疲労の回復になり、身体全体の疲労回復につながるのです。
カウンセリングルームこころ日では、自律訓練法を指導しております。
善いストレスと悪いストレスpart2について 2024/08/01
前回part1では善いストレスについて記しましたが、今回part2では悪いストレスについて記します。
善いストレスとは、自分の目の前の目標がはっきりしていて、それに向かって努力する上での精神的プレッシャーでした。それでは、悪いストレスとはどのようなものでしょうか。一言でいえば、終わりが見えずに継続する精神的プレッシャーです。「この苦痛がいつまで続くのか…」と意気消沈してしまうような精神状態のことです。例えば、老々介護の問題や闘病生活、人事異動や職場での人間関係などで心身のダメージが長期的に継続する場合、心身に与えるストレスは負の影響となって出てきます。これが悪いストレスの正体です。悪いストレスは、心身に様々な形となって表出します。例えば、気分の落ち込み・動悸・頭痛・不眠・倦怠感・イライラ・腹痛・食欲減退・悲観・愁訴などの症状となり、放置しておくと、うつ病などの精神疾患や循環器疾患や心疾患を患うことになります。一例をあげますと、人事異動によるストレスです。自らの希望が叶った人事異動であれば願望達成感で満足です。ところが、会社の都合で望まない人事異動であった場合は悲観にくれます。しかも、期限がわからないとなれば猶更意気消沈しますし、ストレスは増幅されます。これが悪いストレスです。つまり気持ちが能動的か受動的かでストレスの善悪が分かれるということです。望みが叶ったうえでのプレッシャーであれば、善いストレスとしてプラスの効果が生じますが、強制によるプレッシャーは悪いストレスとしてマイナスの代償が生じ、心身に悪影響となります。また、自分に厳しすぎるあまり、厳格に規則正しく守ろうという使命感や強迫観念が、自分自身を許せないという縛りにつながり、悪いストレスとなって心身を蝕むことになります。そうならないためにも、悪いストレスを溜め込まないように心掛けたいものです。
では、悪いストレスを溜め込まないように心掛けるにはどうしたらよいのでしょうか。「無理をしない」言い換えると「潮の流れに逆らわない」ということです。抵抗すればするほどストレスは増幅します。人事異動のケースで言えば、「今回は仕方ない。次は自分の希望を予め伝えておこう」と自身に語りかけます。厳格な性格に対しては、「許す気持ちに幅を持たせるゆとりを持つことだ」と自身に語りかけます。悪いストレスは、この先見通しの立たなくなった状況下で生じる追い詰められた感情心理です。焦らずに「必ず時間が解決してくれる」と自身の心に語りかけることです。
善いストレスと悪いストレスpart1について 2024/07/17
ストレスにも善と悪があります。例えば、皆さんがご存じの善玉菌と悪玉菌です。人間の腸内には善玉菌と呼ばれる身体によい働きをする菌と、悪玉菌と呼ばれる身体に悪い働きをする菌が存在しています。善玉菌が優位な状態を保つことで、腸内フローラが整います。同様に、人間の心身にもストレスが生じますが、善いストレスと悪いストレスを認識し理解することが、健やかな生活を送るうえで大切です。今回part1では、善いストレスについて記します。
よく「ストレスが溜まって気が重たい」とか「ストレス状態で憂鬱だ」という気分に陥った心当たりがあると思います。人間関係や仕事の悩み、勉強のプレッシャーや子育ての悩み、介護の悩みなど、私たちが心身に受ける重圧は多種多様に跨り、外的圧力によって心身に歪みが生じた状態をストレスと言います。
ストレスと言うと心身にとって悪者と認識します。できるならストレスフリーの状態がベストですが、現代社会の中でストレスフリーの方々はほとんどいません。ですから、私たちはストレス社会の中で生活していることを覚悟した上で、善いストレスを心身に受けていることを自覚することが重要です。では良いストレスとは・・・手の届くところに終わりが見えるストレスのことです。例えば、原稿締切日が決まっている場合、期日厳守というプレッシャーが生じストレスが発生します。夏休みの宿題を2学期始業式までに提出しなければいけないというストレスや、2週間後の商談の席までにプレゼンテーションの企画書を作成しなけれがいけないというストレスなど、ある程度期限が決まっている場合は、短期間のストレスであり、その先にある到達目標という達成感が得られます。つまり、ストレスの捉え方一つでストレスを味方にすることができるのです。
「ストレスが溜まっている」と嘆くのではなく、ストレスの中身を熟知すりことで、上手にストレスと付き合い、ストレスを味方にすることを心得ることが大切です。達成目標というゴールが見れるストレスは善いストレスで、その中身としては、【ストレスをエネルギーに変換することで、意欲的に取組む向上心となるバネの役割】と理解することです。善いストレスは短期間で解消されるストレスで、そのストレスの先にはストレスフリーが待っていると考えれば、今の心身の状態は善いストレスと受け止めることができます。
不登校になる原因がわからない時のとるべき心得について 2024/07/01
不登校になる主な要因としては、以下の10が考えられます。①学校集団生活での人間関係②気力喪失③勉強嫌い④校風や教師との相性⑤家庭環境⑥生活習慣の乱れ⑦思春期の心身のアンバランス⑧学習障害⑨通学への疑問⑩原因不明です。ここでは、⑩原因不明のケースについて取り上げます。
不登校の背景理由がある程度わかっていれば、適切な対処法をとることで、改善の方向性が見えてきますが、原因不明のケースについては、親としても子どもへの対応にただただ苦慮することになります。不登校の原因が不明のケースの時に、子どもに取ってはいけない言動について4つ記します。
①怠けていると思い込んで、「さっさと学校に行きなさい」と、けし立てる。※子どもの気持ちに配慮せず、親の言い分を押し付けることで、子どもの心に深い傷を負わせてしまいます。
②不登校の原因を強引に追及する。※子どもを追い込むような言い方により、子どもに重圧を与え精神状態を悪化させます。
③「勝手にしなさい」と、見放す。※子どもは親から見捨てられたと思い込み、立ち直ろうとする意欲を喪失してしまいます。
④子どもに対して愚痴をこぼす。※不登校の現実!子どもなりに苦悩している心情に対して、親の感情を優先する姿勢は、子どもをますます不登校という迷路に追い込むことになります。
不登校で苦しんでいるのは我が子です。自分ではどうにもならない迷路に入り込み、袋小路にはまった気持ちに理解を示すことです。
①子どもの今の苦しい気持ちを汲み取ってあげる。※ゆっくりと子どもの話に耳を傾けてください。口が重たくて上手に話せなくても、急かさず待つ気持ちを持ってください。
②子どもの安心できる居場所を確保する。※子どもが落ち着いて安心できる空間を確保してあげることが大切です。学校には安心できる居場所がないわけですから、唯一安心できる居場所と言える家庭の安心感を与えることで、時間はかかりますが、子どもなりに気持ちの整理整頓をしていきます。
③子どもとの時間を共有する。※子どもとのコミュニケーションをとることで、親子の絆を享受でき子どもの孤独感を癒すことができます。何時も寄添う気持ちが大切です。
④専門機関に相談する。※心療内科や不登校の専門機関での診療、また、カウンセリングや自助グループに参加することで、適切な改善方法を見出すことが大切です。
10のキーワードは、①寄添う ②理解 ③耳を傾けて聴く ④汲み取る ⑤共有 ⑥絆 ⑦急かさない ⑧安心
⑨居場所 ⑩待つ、です。
思春期の摂食障害について 2024/06/14
思春期の摂食障害が増加しています。摂食障害の男女比率は1対10で圧倒的に女子が多くなります。日本摂食障害学会による調査では、2019年から2020年の1年間で1.5倍に増加したという報告がされました。一因としてコロナ禍の影響が考えられるとのことです。
思春期の摂食障害が増えた別の要因としては、一つ目は、痩せたいという心理的願望です。「痩せることが美徳」という強迫観念により、その手段として極端な食事制限をするのです。本来育ち盛りで食欲旺盛な時期に、食欲という欲求を押し殺して食事制限をしてしまう。「これでもか!これでもか!」と食事を減らすことで痩せていく体形に優越感を抱きます。ところが怖いのは限界を超えてまで拒食を継続することです。55㎏の体重が38㎏に減り、それでも満足できずに拒食を続けて27㎏になってしまいました。意識が虚ろになり緊急入院して一命をとりとめましたが、元の身体に戻るのに長期の専門病院での治療を余儀なくされたという事例があります。
その患者の心理状態としては、痩せたい願望が支配していたと回顧しています。「もっと痩せたい!肋骨が見えることに快感を感じる!」という際限のない痩せることへの執着心だけが脳裏を支配したわけです。自分の身体がどうなってしまうのか?という冷静な判断ができなくなる恐ろしい強迫心理に落とし込まれていく、拒食症の怖さを知らない若年層にとって、摂食障害とは恐ろしい疾患です。
二つ目は、いじめが原因です。友人から「デブ」と言われたことに心を痛め、「痩せてやる!」という反発心理が作用して、ダイエットに励むようになります。このケースにもやはり落とし穴があり、極端なダイエットにより、偏食から健康を害するケースが検出されます。また、友人から「痩せたね!」と褒められたことにより、承認欲求が増幅され、「もっと痩せよう!」という強迫心理に拍車がかかってしまうのです。気付いた時には、極度の拒食症の領域に陥ってしまい、身体が食事を拒絶する事態になってしまうケースも検出されます。
その他、摂食障害に陥る動機は多様ですが、一度摂食障害になると身体が食事を拒絶するため回復に時間を要し、何年も苦しむことになりますので、早期の発見と治療が求められます。
国の調査によると、摂食障害の患者は推定24万人に上ります。また、死亡率は約5%に至り、精神疾患の中では最も高い数値と言われています。最初に思春期の摂食障害が増えていると言いましたが、SNSの普及に伴い、若年化に拍車がかかっています。痩せたいがための情報収集やモデルの画像などから触発され、「短絡的にああなりたい!」という痩身願望が独り歩きして、無理なダイエットへと向かってしまうケースが多く見られます。思春期の時期に、我が子の日常生活の突然の変化や食欲状態について、注意深く見守ることが大事な予防線と言えるでしょう。
6月病の症状について 2024/06/06
5月病と言われる症状は、皆さんもご承知のことと思います。4月新年度から1カ月、慣れない環境と精神的緊張、新たな人間環境の葛藤など、心身へのストレスから起こる倦怠感や憂鬱な気分に苛まれるメンタルアクシデントです。実は最近にわかにクローズアップされてきたのが6月病ですが、その症状にスポットを当てたいと思います。
6月病は、まさしく5月病を引きずってしまった症状と言えます。5月病の症状が完全に癒えずに日常生活・社会生活を継続したために、心身の不調が残っている状態です。4月・5月は過ごしやすい春の陽気ですので、気候による心身へのダメージはありません。一方、6月は初夏で気温の上昇に加え湿度が高くなり、身体へのダメージが出てきます。また、梅雨前線の発達による梅雨入りの時期が訪れ、日照時間も減少していくことで、気分が落ち込みやすくなります。その環境的要因に加え、日常生活・社会生活での負荷が心身に架かってくることで、ストレスが蓄積し過労の状態が継続してしまうのです。更に、30代40代になると、人間関係の上でも利害関係が出始める時期になり、円滑なコミュニケーションがとりにくくなる時期でもあります。コロナ禍依頼、取り巻く社会環境や仕組みが大きく変わり、それに適応できなくなってしまうことも一因となっています。
6月病の心身に与える症状を見てみると、心への反映としては、憂鬱感・感情の起伏が大きい・悲観的思考・意欲の低下などで、身体への反映としては、不眠・倦怠感・動悸・食欲不振・肩こり・頭痛などです。この様な症状が4つ以上重なる場合は、軽いうつ症状と考えられますので、心療内科や精神科を受診することをお勧めします。
「ストレスを溜め込まない」ことは言うまでもありませんが、どう対処すれば良いのでしょうか。
①今一番気の重い悩みをメモし、カウンセラーに話を聴いてもらいましょう。
②自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスを整え、1日の規則正しい生活リズムを崩さないように心掛けましょう。
③「頑張りすぎない」このことを肝に銘じましょう。
④「メンタルがやられたかな?」と気付いたら、医療機関で診察してもらい診断を仰ぎましょう。
6月病はうつ病への入り口と受け止め、重症化しないように早めの対処が肝心です。カウンセリングルームこころ日では、自律訓練法を指導しております。
自分軸を確立して生きるについて 2024/05/15
自分軸とは、自分の価値観をしっかりと持ち、尚且つ自分の主義主張に固執することなく、客観的に分析できる自己を持つことです。また、他者の言動に流されず同調圧力に屈することなく、自分の判断基準に基づいて行動することです。
自分軸を確立する事は、自分に正直に生きることに繋がります。他者の評価を気にして、素の自分を覆い隠してしまう。他者の視線が気になるばかりに、引っ込み思案になってしまうなど、自分の素直な気持ちに蓋をして、他者の顔色を覗いながらその場の雰囲気に流されては、他人軸優先の人生になってしまいます。また、自己の確立ができていないため、自己否定に陥りストレスも増幅し、対人関係が疲弊してしまいます。一刻も早く、他人軸から自分軸へのシフトチェンジが大切です。
自分軸を確立する為には、自己肯定感の涵養が重要な要素となります。自分に誇りが持てるという自尊心が原動力になります。自分軸を持っていれば、他者の言動に振り回され動揺することなく、何事にも客観的に冷静に是非の判断ができるわけです。ここで留意することは、自分の信念を貫き通すあまり、一方的に自己主張を強引に押し通すような人は、自分軸を持っているとは言えません。それは自己中心的我儘であり、自分軸を履き違えています。
自分軸を確立する為の行動変容を心掛け、自分自身を能動的・意識的・客観的に見直すことが大切です。以下自分軸のエキスを記します。
①自分を見失わない。自分の存在意義を明確にして自分を大切に思う。
②客観視できる気持ちのゆとりを持つ。何事も慌てずに冷静に状況を分析判断する心の余裕を持つ。
③自分の長所・短所を認識し、長所を伸ばし短所を打ち消していくことで、自分自身を昇華させようという向上心が育まれ、自己肯定感の涵養に向かう。
④自尊心を育むことにより、他人軸からの脱却がはかれ、自分軸へとシフトチェンジできる。ぶれることなく物事が客観視でき、対等な人間関係を築くことができる。
⑤自分が自分軸を持っているということは、他者も同様に自分軸を持っているということに気づくことが重要である。その視点に立脚することで、自分軸がより磨き込まれる。
①から⑤のエキスをご自身で熟考なさってみて下さい。自分軸を持つことは、あるがままの自分を直視し、正直に自分と向き合いながらも、他者を尊重する心のゆとりを醸成することと言えます。
不安神経症について 2024/05/01
誰でも時として不安に襲われることがあります。普通はその不安も一過的であり、心配事の解決と共に乗り越えることができます。ところが、不安神経症になると、慢性的に精神的不安を抱え込むことになり、常にマイナス思考になってしまいます。不安神経症は、理由のない不安や心配を心に抱き持ち、執拗に心配事を見つけ出そうとしてしまう疾患です。例えば、「今日の運勢は大凶だった!我身に災いが起こるのではないか?」という確信のない不安を抱くわけです。
不安神経症に患いやすい人は、真面目な性格で一生懸命をポリシーとしている方です。精神的緊張が続くことで、自律神経が乱れ、精神的ストレスが蓄積され、心身に変調が表われます。倦怠感や肩こり、不眠や不快感などです。放っておくと気持ちが落ち込み、うつ症状になりますし、ネガティブ思考に囚われ、自己否定感に陥ります。「一体自分はどうしたんだろう!」という疑心暗鬼が、不安という感情を増幅させるのです。そして、一度抱いた不安は、なかなか払拭できなくなり、常に不安状態が継続します。
不安神経症を引き起こす要因は解明されていませんが、大きく3つに分かれます。①物事の理解の仕方や解釈の仕方、また、捉え方の膠着性などが影響していると考えられています。②生活習慣や家族関係、また、躾などが影響していると考えられています。③脳機能の障害によるものと考えられています。
不安感が継続し息詰まるような感情が続く場合は、いち早く心療内科や精神科に診てもらうことが大切です。重症化しないように心の異変に気付くことが肝心です。不安をコントロールするための治療法としては、薬物療法と精神療法(カウンセリング)の併用が行われています。
、不安を抱くことにより、スパイラル的に不安が増幅され、底なしに深みにはまっていきます。不安感から脱却できなくなり、マイナス思考に囚われ、悪い結果だけが頭を過ぎり、心配が先行してイライラ感(易怒性)が表出します。そうなった時には、巻き戻しの発想で、良い結果のイメージを想起してみることです。例えば、前述した「今日の運勢は大凶だった!我身に災いが起こるのではないか?」を、「今日は落着いて過ごそう!」と、プラス思考に切替えることを試みて下さい。不安神経症では、不安による孤独感に苛まれ、ますます不安感情が増幅されますので、共感者が身近にいることが、不安感から安心感に巻き戻す、ということを覚えておいて下さい。
対人恐怖症と社交不安障害について 2024/04/16
対人恐怖症は、人との対面や会話をすることに対して、心理的な拒絶感、重圧感、緊張感を抱く症状を指します。社交不安障害は、特定の社会環境や会社組織、また、人間関係における嫌悪感や恐怖心を抱く症状を指します。どちらも社会生活において支障が生じるため、適切な治療が必要です。
対人恐怖症の人は、他人との関わりを極度に恐れ孤立する傾向になります。特徴としては、特定の人に対してだけではなく、人間全てに対して不安や恐怖心、緊張感を抱いてしまい、常に対面することを「避けよう、避けよう」とする心理状態に陥ります。一方、社交不安障害は、会社組織や学級クラスなど、複数の人間が集まる場において、他人と比較され評価されることで、自尊心を傷つけられるのではないかという恐怖心が心理となり、不安を感じる状態に陥ります。また、特定の人間に対して違和感を強く感じ、拒否反応が表出します。対人恐怖症と社交不安障害には共通する特徴が検出され、グレーゾーンが存在するため、両者を明確に区分することはできにくく治療が難しくなります。
治療には薬物療法と心理療法(カウンセリング)があり、併用することが望ましいでしょう。対人恐怖症・社交不安障害の要因としては、遺伝的要因・PTSD心的外傷後ストレス障害的要因・心理的要因・環境的要因などが複雑に作用し合い発症すると考えられています。自分は人との対面が苦手だと決めつけず、治療をすることで克服しようという前向きな気持ちを持つことが肝心です。
境界性パーソナリティー障害の起因について 2024/04/01
パーソナリティー障害は、気分の浮き沈みが激しく、感情的になりやすい特性があります。冷静に対応出来ないため、衝動的な言動をとってしまいます。境界性とは、神経症・統合失調症の境界線上にある症状と受止められています。グレーゾーンであり、厳密な診断は心療内科・精神科で診断する必要があります。
境界性パーソナリティー障害の特徴を深掘りしますと、時々の気分変容が激しく不安定です。また、物事に対しては是か非か、善か悪か、徳か不徳か、など両極端な固定観念に固着しますので、臨機応変中庸な思考が困難です。従って、対人関係にも弊害が生じ、円滑なコミュニケーションがとれないため、イライラする気分が湧き出て、抑えきれなくなると周囲が見えなくなり、激情的な言動となって表出します。特定の対人関係においては、あらゆる手段を講じて見放されないように執拗に執着しますが、その行為は自己中心的で、他者への配慮はありません。自分の感情が最優先され、理性的な思考が困難です。
起因としては、先天的・後天的に分けられ、後者としては、愛着障害があげられます。幼少期にフィードバックして起因を探らなければなりません。幼少期の母親とのふれ合いが正常にできなかった場合は、その後の人間形成の確立に歪みが生じ、偏りのある人格形成となる可能性が高くなります。上述した正常なふれ合いとは、子どもを褒めたり、宥めたり、承認してあげることです。そのことで、子どもは自己肯定感を培いますが、親が終始一貫して一方的に否定したり、責したり、罵倒したり、強制したりすることで、抑圧感が助長され、子どもの精神状態は歪んだものとなり、人格形成に偏りが生じることになります。ここに、境界性パーソナリティー障害の根が蔓延る起因があります。
治療としては、薬物療法と心理療法(カウンセリング)です。ただし、境界性パーソナリティー障害の人は、その自覚がない場合が多く、進んで医療機関を受診しません。人に受診を促されても拒むケースが多く見られます。境界性パーソナリティー障害は、短期間で修正できる障害ではないので、忍耐強く向き合って治療に取り組むことが肝要です。
「親が子どもの芽を摘まない」について 2024/03/15
子ども達には個性があり違った才能が備わっています。そして、子ども達には未知の可能性があります。個々の秘めた才能をどの様に育み花を咲かせてあげられれば良いのでしょうか。芽とは秘めた才能のことです。
「親が子どもの芽を摘まない」大事なこととして、一つ目は、親が先回りをして子どもの前に立ちはだかり、進む道を作ってしまうことです。例えば、子どもが聞かれて今答えようとしているのに、脇から親が子どもの発言を遮り「それは・・・」と答えてしまう。更に子どもに「そうよね!」と承認を求める。これでは、子どもの自主性や主体性を潰すことになりますし、子どもは「うちの親は何でも出しゃばってくる」と憤り反発するのです。直に子どもの気持ちを言葉足らずであっても表現させてあげる事が、何よりの自主性を育む原動力です。大切なことは、子どものやる気を損なわないようにする気遣いです。自分の思考力で自らの言葉として表現させることが大事です。親が先回りをして答えを出しては,子どもの意欲を削いでしまいます。じっくりと後方から見守る忍耐強さを持つことが親のとるべき姿勢です。
二つ目は、子ども達には「未知の芽」つまり才能が秘められています。それぞれ個性が異なるわけですから、子どもにどの様な個性や素質があるのかを察知することが大切です。普段の遊びの様子を細かく観察することで、子どもの個性が浮き出てきます。大事なことは、子どもの行動観察です。集中する物事や夢中になれる興味事などを見過ごさないことです。子どもの秘めた潜在能力を見出すことが大切で、それを育むことが健やかな成長へ導く親の役目となります。これもまた、親が先走って強制的に方向付けるのではなく、子どもの特性を辛抱強く見守ることで、見極めることが大切です。
子ども一人一人に秀でた才能が潜んでいます。その秀でた芽が頭を擡げるか否かは、親の子どもを見る目にかかっています。前述しましたが、親が先回りして道を作ってしまったら、子どもの自主性や主体性、また、意欲は醸成されません。大切なことは、失敗や困難を恐れずに立ち向かわせることです。子どもがどんな芽を擡げるかは、「親が子どもの芽を摘まない」という、辛抱強い心掛け次第です。
老年期の人生こそ「自分時間を楽しむ」について 2024/03/01
日本は高齢化社会です。人口に占める65歳以上の割合は33%になりました。私もその渦中の一人ですが、老年期をどの様な視点で捉えていくことが重要かを考えてみましょう。
日本人の平均寿命は、女性(87歳)で男性(81歳)です。80代の肉体面・精神面では万全で円滑な日常生活を営むことにはやや支障が生じます。そこで、健康寿命の指標があります。女性(75歳)男性(72歳)です。心身ともに健康で闊達に日常生活を営める年齢ということになります。この平均寿命と健康寿命の間の貴重な時間帯を老年期の自分時間と捉える事が大切です。
古代ローマの哲学者であるキケロは、紀元前44年の著書【大カトー・老年について】で、当時の風潮である老年期を却下する考え方に対して、【逆転の視点】で説いています。古代ローマの老年期の捉え方としては、①老年は公の場から遠ざけられる。②老年は肉体を弱くする。③老年はほとんどの快楽を奪い去る。④老年は死から離れていない。という、老年期=老害と捉えている誤解に対して、キケロは次の様に説いています。①に対しては、長年積上げてきた経験値や叡智を発揮することで貢献できる。②に対しては、老年になると全てが肉体的に衰弱するわけではない。むしろ成熟した落着いた趣が出る。③に対しては、老年は快楽を超越した領域に達し、快楽に囚われない。④に対しては、老年に限らず、死は必ず訪れる共通のものである。死がいつ訪れるか解らない以上、心の準備をする。キケロは、死を恐れることは不要であると説いています。
老年期の人生こそ、今日まで一生懸命勤労に励んできた功績として称え、自分時間を存分に有意義に使って楽しむことが大切ですし、それは当然のご褒美です。人生百年時代とか、生涯現役とか、高齢者を慰労してはいけないような標語による風潮が、今の日本をかたどっています。老年期こそ胸を張って自分時間を優先し、自分の人生を楽しめる社会風潮に舵をきっていかなければいけないと思います。老年期を迎えるまで、国民としての義務を果たし、社会に貢献してきたわけですから、臆することなく自分のために時間を費やし楽しんでもらいたいものです。
老年期を迎えた人生は、社会の【お荷物】ではなく、社会の【貢献者】という逆転の視点を持つことです。老年期こそ意気消沈するのではなく、誰にも束縛されない「自分時間を楽しむ」優先ライフをプランニングしてみては如何でしょうか。貴方オリジナルのワクワクする自分時間にして下さい。
逃避の心理について 2024/02/15
逃避は防衛機制の心理行動の一つです。誰にでも一度や二度、その場から逃げたくなる心情に追い込まれたことがあると思います。健常では、一過的な防衛機制で気持ちを切替えられるわけですが、逃避は不安心理的に追い込まれ、現状の場面から逃げ出そうとする逃避手段に傾倒してしまうのです。逃避の心理について記します。
逃避は直面した出来事に対して、目を反らしその出来事から遠ざかり、心理的なプレッシャーから逃れようとする心身の動きです。事あるごとに逃避行動が繰返されますので、日常生活や社会生活の上で支障をきたすことが多々出てきます。逃避には以下4つの特徴が検出されます。
①自分の実力評価が問われてしまう場面を回避するための逃避。
②適応が困難となった時に、その場を避け全く異なる行動を起こすことにより、自己の精神的不安から逃れる心理的行動としての逃避。
③突きつけられた現状から逃れるために、架空の空間(スマホゲーム・バーチャル世界など)に埋没することで、現実から目を反らす。また、架空の世界で自己実現できるという自己達成感を味わうことで、精神的重圧から自分を騙す手段としての逃避。
④直面した困難な出来事に対して、貧血・高血圧・腹痛・目まい・動悸・吐き気などの身体症状が表出し、体調不良を口実にしてその場から逃れようとする逃避。
初めに記しましたが、防衛機制は誰にでも備わっている無意識的な心理手段です。ところが、逃避は一線を越えた心理行動として捉えられ、直面した問題から逃れる手段となります。逃避行動を執ったからといって、根本的な問題解決には至りませんし、抱えている問題を先延ばしにするだけの場面のすり替えに過ぎません。
自分に素直でいることが大切です。出来ないことを恥じるのではなく、ありのままの自分をさらけ出すことが大切です。誰にでも得手不得手、長所短所、メンタルの強弱など千差万別です。他者と比較するのではなく、オンリーワンの自分を見失わないようにスタンスをとることが大切です。逃避癖をつけない勇気を涵養することです。その方法として逃避に向かう自分に対して「一時的回避でこれは気分転換だ」と言い聞かせ、気持ちの切替えをはかりましょう。認知行動です。そして、直面した場面にあらためて向き合う強いメンタリティーを持って、自分の背中を押しましょう。また、カウンセリングで自身の逃避癖をカウンセラーに吐露するのも逃避から脱出する有効な手立てです。
成人のADHD特性について 2024/02/01
ADHD発達障害については、昨今クローズアップされていますが、成人になってから「自分はADHDかも?」と心配になり、カウンセリングルームを訪れる方が増えています。
成人の場合、ADHDの特性としては、注意欠如があげられます。物忘れ・確認不足・早とちりなどにより、様々な場面でミステークが生じます。次ぎに、多動性・衝動性があげられます。落ち着きがない・周囲の空気を察することができない・配慮が行き届かない・一定時間静止できないなど、行動面に表出することで周囲との協調が困難となります。また、上記両方の特性が表出するタイプも存在します。
幼少期から青年期まで上記の症状が表出していても、「落ち着きがない性格」「慌てん坊」「だらしない」などと周囲から指摘されても、「時期が来れば治るだろう」と、余り深刻に受止めずに過ごしてしまうケースが多いのですが、そのまま成人となり実社会に出てしまうことで、突然社会の常識という壁にぶつかり、「ひょっとしてADHDかも?」と不安に苛まれるのです。未成年期に許容されていた行動特性が、社会人では許されない行動特性に転化するのです。つまり、社会人として身につけるべき規範から逸脱してしまうということです。
ここで特記しておきたいのは、ADHDの症状は怠惰ではありません。脳内の物質が低下して生じる障害なので、自分の特性を知り、生活向上に向けたタスク・手立てをみつけることです。
改めて、ADHDの行動特性を記します。*同じミスを繰返す*物の管理苦手*手順立て苦手*約束不履行*配慮不足*注意力散漫*衝動的行動言動*対人関係苦慮など行動特性が恒常的に表われます。
ADHDは怠惰ではなく、脳の機能発達における脳内の物質(ドパミン・ノルアドレナリン)が低下していることが報告されており、それが一つの要因ということです。自分に適した対応策を身に付け習慣化することで、十分日常生活並びに社会生活を遂行することが可能となります。そのためには、自身の特性を知ってもらい、周囲の理解と寛容適切なバックアップを受けることが大切です。
朝のコンディショニング作りの大切さについて 2024/01/14
朝の起床から一日が始まります。すっきりと目覚めた時の気分は爽快です。「今日一日頑張ろう」と言う気構えが出るように、朝のコンディショニング作りを心掛けることが大切です。コンディショニング作りには二つの要素が反映しますので、参考にしてさい。
一つ目の要素は、身体面のコンディショニングです。食生活の乱れ(偏食・暴飲暴食)や睡眠不足・運動不足など、一般的に生活習慣の乱れから起こる体調不良です。生活習慣の乱れが長く続くことで、身体の各器官に疾患があらわれ、日常生活に支障をきたすことになります。規則正しい生活習慣を身に付けることが大切です。
二つ目の要素は、精神面のコンディショニングです。日常生活では様々な出来事が身の回りで起こります。不本意な出来事をネガティブに受止めることで、気分は沈み込んでしまいます。そういう気分の時は、視点を変えてみて心安まることを見つけてみましょう。それだけで気分転換になります。一日のスタートとなる朝、自分のポジティブ思考のルーティンを作って下さい。3つのルーティンを紹介します。
①目覚めたら手足の伸びをして大きく深呼吸をします。それを5回繰返します。就寝中の萎縮した筋肉が弛緩されることで身体がリラックスでき血行が促進されます。就寝中の自律神経は副交感神経(リラックスモード)が優位になっていますので、手足の伸びで交感神経優位(活動モード)のスイッチに切替えられます。
②「明日は明日の風が吹く」の気持ちで、一日の気持ちをリセットとすることを心掛けましょう。今日の嫌な出来事を明日に持ち越さないことが大切です。憂鬱な気持ちを引きずることで、精神的にネガティブになり気分が不安定となりますので、負の連続性を断ち切りましょう。リセットとは、発想の切替えで気持ちを楽に持つことです。
③今日何か良い事、楽しい事がないか!些細な事でも見つけてみましょう。「何も無いよ」そう言い捨てたらネガティブ思考ですね。今日の小さな目標を決めることで、それだけでポジティブ思考が芽生え気持ちが前向きになります。
オンリーワンの朝のルーティンを継続することで、精神的なリセットができます。メンタル面のセルフコントロールを行い、精神面のコンディショニング作りを自分のものにして下さい。意識を良い事に注視するよう習慣化することで、モチベーションも上がります。
根拠のない無意識の思い込みについて 2023/12/14
人は固定観念による根拠のない思い込みで、人間関係をこじらすことが時としてあります。一度こじれた関係を修復することは容易ではありません。無意識の思い込みに気づくにはどうしたらよいのでしょうか。
無意識の思い込みをアンコンシャス・バイアスと言います。無意識の思い込みは偏見とか偏った見方とも言えます。例えば、こちらがよかれと思って行った行為が、実は相手によっては不愉快に感じて、その後の関係が壊れてしまうということです。その行為に対する双方の理解の相異が誤解を生み出したということです。
無意識の思い込みは誰にでも起こりうることですが、例えば、相手の態度を見て性格を決めつけてしまう。派手な厚化粧の女性を見て人格を決めつけてしまう。相手の風貌を見て言葉づかいを使い分けてしまう。「それは常識ではないよ」と決めつけてしまう。その他様々な思い込みが私たちには潜在していて、無意識の言動となって表出します。この心理は一体どこから起こるのでしょうか。
人間は本能的に自己防衛心を働かせます。自分を正当化するわけです。自分のとった行動が正しいという言い訳をするのです。しかし相手にとってみれば、およそ迷惑なことになっていることがあるのです。「お節介」「ありがた迷惑」「強引」「身勝手」と受取られてしまう事態になるわけです。
無意識の思い込みは誰にでもあります。それは無意識であるため気づかないまま言動として表出しているのです。
自分を客観視することが大事です。自分の行動や言動は正しいという自尊心は大切ですし、自分の価値観をもつということは大変重要です。一方、相手にも同じことが言えるわけで、自分と相手の自尊心も価値観も、実は異質であることを認識することが大切です。従って、何事も相手の立場に立って物事を見極めた上で、相手に対する言動を行うことが、人間関係を平易に保つ秘訣になります。無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)で相手に対応することは危険なことなのです。ことわざにも【我身のことは人に問え】(自分の短所や過失は自分ではわからないものなのだから、人に尋ねて改めようということ)とあります。
脳疲労で起こるストレスその緩和方法について 2023/12/01
日々の生活の中で、じわじわと積もるストレス感、皆さんも実感していることでしょう。ストレス解消法は多々ありますが、先ずストレスを感じる根本的な仕組みを知ることが大切です。ストレスは脳が疲労して心身に悪影響を与えますので、脳疲労回復を心掛けて下さい。
ストレスと脳疲労の因果関係をみてみます。デジタル社会の今、インターネット、SNSでスマホの画面を見続ける生活が日常化し、雑多な情報や流言飛語が視覚や聴覚から脳に伝達蓄積されますが、脳は取捨選択仕切れないほどの膨大な情報により、脳疲労に陥るのです。このメカニズムは、大脳皮質を酷使してしまい、大脳辺縁系が疲弊した結果、ストレスを過大に認識するようになります。更に間脳にその過大な認識が伝達され、そこから自律神経を緊張させる悪循環に至ります。つまり、自律神経を構成する交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、イライラ感や憂鬱感、不快感、倦怠感など様々な心身の変調が表出するのです。脳の情報処理能力を超えることで、脳疲労が起こることを知ることです。現代人に精神疾患が増えた要因は、氾濫する情報過多に飲込まれているからです。返せば、大脳皮質に余計な情報を入れなければ、脳疲労は起こりませんし、自律神経のバランスも良好に保てストレスは軽減されます。
脳疲労を起こさないためには、大脳皮質を酷使させないことが大切です。どの様にすればいいのでしょうか。第一に、無駄な情報はシャットアウトすることです。蟻地獄のように、私たちは気づかぬうちに情報に飲込まれており、這い上がれない状態に陥っていることに気づくことです。第二に、気分転換です。気持ちを切替えるという行動をとることで、脳をリセットさせます。例えば、ウォーキングやジョグまたストレッチなどで、身体の緊張をほぐしてあげると、自律神経の緊張緩和に繋がります。また、遠くの景色(静止物)を見ることで視覚から飛び込む情報がセーブされ、脳疲労緩和になります。ヒノキやラベンダーのアロマを嗅ぐことで、臭覚から脳へ伝わる情報も脳疲労緩和になりリラックスできます。ヒーリング音楽も聴覚からの作用で脳疲労緩和に効果的です。どの事例も、ストレスホルモンであるコルチゾールが減ることが解ってきました。第三に、呼吸法です。規則正しい呼吸をすることで、血行が促進され自律神経を整えられます。これには自律訓練法が効果的です。呼吸法で無心の状態を作り出すことにより、脳疲労を回復させることができます。情報をシャットアウトすることができるわけで、脳疲労回復に相応しい方法といえます。
カウンセリングルームこころ日では自律訓練法を指導しておりますので、関心のある方はお問合せ下さい。
我子が発達障害や精神疾患で就労が困難、将来への備えについて 2023/11/14
未成年で発達障害や精神疾患になり、将来社会に出られないケースが今増えています。学校生活や日常生活が極めて困難な状況において、親としては将来の生計に不安を抱くことになります。親が現役であれば経済的援助ができますが、将来を見据えた場合には、どの様な対策を模索していけばよいのでしょうか。一例をあげます。
我子が先々就労困難とわかった場合には、障害基礎年金の受給手続きを検討してみることです。日本年金機構では、【障害基礎年金の受給要件】並びに【障害年金に該当する状態】が定められていますので参照して下さい。
参考事例としては、17歳の時に医療機関で発達障害と診断され、二次障害として精神疾患と診断されたケースでは、障害基礎年金を請求することになります。勿論、17歳では請求できませんから、20歳になってから請求することになります。詳細は日本年金機構を参照して下さい。2023年度の障害基礎年金額でシミュレーションしてみますと、障害基礎年金(月額66,250円)障害年金生活者支援給付金(月額5,140円)です。この時、親は40歳とした場合、30年間積立てると25,700,400円に積立金額はなります。親はすでに70歳になっており、親も年金生活に入っていることになります。
この金額はあくまで満額積立てた場合の金額です。実際は毎月多少の生活に必要な支出を見込む必要がありますので、この積立金額からは少なくなることを想定します。仮に月額50,000円の積立てとした場合は、30年積立てると18,000,000円の積立金額となります。これだけの預貯金があれば、50歳になった我子の金銭的不安は和らぎます。
はじめに、医療機関で受診状況証明書を作成してもらい、あわせて診断書を作成してもらいます。次ぎに、出生から現在までの生活状況を病歴・就労状況等申立書に記載します。また、その他必要書類を整えます。日本年金機構を参照して下さい。手続き上の不安がある場合には、社会保険労務士に相談することもできます。我子の将来のために、「備えあれば憂い無し」です。
不機嫌ハラスメントについて 2023/11/01
突然不機嫌になり、相手を罵倒したり、冷たい態度をとったりして精神的苦痛を与える行為を、不機嫌ハラスメント【フキハラ】といいます。夫婦の間で発生する不機嫌ハラスメントによって生じる弊害について記します。
夫の【フキハラ】、妻の【フキハラ】、ケースは様々ですが、行き着くところDVに発展し離婚という結末を迎えることが多々出てきます。
本来家庭は安らぎの場であるものですが、【フキハラ】によって精神的・人格的ダメージを受け、ケースによっては身体的苦痛を受けることもあり、夫婦の決定的破綻となって離婚に至ります。
【フキハラ】の要因としては、脳波の反応といわれていますが、パートナーに対して寛容な気持ちが持てない、ついついパートナーの欠点ばかりが目につき、気になって見過ごせないため、不機嫌になり強い口調で責め立て、威圧的な態度に出たりします。自己中心的な価値観に囚われ、自分の思考・捉え方が絶対正しいと言う固定観念が強いために、パートナーの落ち度を執拗に捲し立てるのです。パートナーの弁解にも聞く耳を持たず、逆に「言い訳がましい」と一蹴され、もはや対話にならなくなります。これはストレスが積もり人間の脳がネガティブに対する感受性が高くなるために、感情的に不機嫌になり自制心を失うのです。つまり、脳は嫌なことに対しては極めて敏感に反応するのです。
【フキハラ】は日常茶飯事繰返されるので、【フキハラ】を受けたパートナーはもはや行き場を失います。人格を否定され人権侵害で思い悩んだ末に、離婚という選択肢を選ぶことになるわけです。【フキハラ】⇔精神的苦痛⇔日常茶飯事の事例として、離婚成立の可能性はあるのでしょうか。
民法763条で、夫婦が納得して合意した場合は、協議離婚が成立します。しかし、夫婦のどちらかが合意しない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。調停委員を介して離婚の話し合いが進められ、調停成立後に調書が作成され離婚が成立します。調停が不成立の場合は、家庭裁判所へ離婚訴訟を起こすことになります。【フキハラ】の場合は民法770条1項の(5)婚姻を継続し難い重大な事由が有るか否かが審理されます。協議・調停・訴訟いずれにしても、【フキハラ】の証拠となり得る手記や録音声・写真・動画の記録を残すことが重要です。
夫婦としての絆は、互いを認め合うことが原点となります。当然、個の人格を持っているわけですから、性格も気質も価値観も異なるわけです。それを踏まえた上で、相手の長所と短所を理解し寛容に対応することが肝心です。長く二人三脚で人生を共にできる夫婦は、互いの人格を尊重できる人です。何でも無いようですが是が難しい。【フキハラ】と言う弊害を招かないように心して下さい。
イライラ感情をコントロールする術について 2023/10/15
こころ日ホームページの事例紹介2021/2/9【アンガーマネジメントのメソッドについて】並びに2021/9/1【ストレスマネジメント】に記しましたが、イライラ感情の沈静化コントロールについて改めてお復習いしてみます。
怒り・苛立ち・イライラ感の起因がどこに潜んでいるのか、客観的に自己分析することが重要で、家庭にあるのか!仕事にあるのか!健康上にあるのか!など、イライラ感情の起因は何か?客観視することを心掛けましょう。静かな落着く場所で振り返ってみて下さい。例えば、人間関係に起因したものであるならば、その因子を見直すことが重要です。自身の心的体調に起因したものであるならば、医療機関で診察を受けその因子を治療することが重要です。
【怒りをコントロールする術】のことをアンガーマネジメントと言います。セルフコントロールすることで、怒りの場を最小限度に回避することが可能です。
実践例としては、イライラ感情が湧き出たら、ひとまずその場を離れます。距離をとって気分を転換させることが大切です。言い換えると「場面を変える」ということです。イライラ感情が発生した場面を一度シャットダウンします。イライラ感情を爆発させたところで、物事が好転するわけではないということに気付き、自分に言い聞かす時間を生み出すことで、冷静さを取り戻せます。次ぎに、自分の実践例を信頼できる人に聴いてもらうことです。心の葛藤を吐き出すことで、溜まっていたイライラ感情を鎮静することができます。信頼できる人に聴いてもらうだけで、心の重荷は半減します。留意点は、イライラ感情が募った時に孤立してしまうことです。頭を抱えて一人でストレスを抱え込むのではなく、痛みを分かち合える存在を持つことで心にゆとりが保てます。
イライラ感情とは、自身の追詰められた心の痛みが表出する感情です。自身の立場や気持ちに寄添ってくれる存在が一人いるだけで、百人力の勇気が沸いてくるでしょう。個人により感情の振れ幅も異なりますし、加齢による生理的な心情にも重軽が生じますが、アンガーマネジメントを心掛け、自分の克服法を見出すことが大切です。
発達障害の傾向『グレーゾーン』の増加について 2023/10/1
発達障害は、先天的な脳機能障害によって、落ち着きがなく動き回る、忘れっぽい、注意力散漫などの特性がある注意欠陥多動性障害(ADHD)、読み書き、書写や計算が苦手な特性がある学習障害(LD)に分類されます。発達障害の傾向である領域『グレーゾーン』について記します。
発達障害と診断名がつかないけれども、その症状に近い状態の子供が近年増えています。これが『グレーゾーン』と呼ばれるカテゴリーです。『グレーゾーン』に該当する子供達にどの様な問題が発生しているのでしょうか。
ADHDの『グレーゾーン』では、学級内で周囲に迷惑をかける動作が、友達から嫌われるとか、避けられるなどの阻害やいじめを受けることで、欠席がちとなり不登校になったりするのです。また、LDの『グレーゾーン』では、進度について行けず、友達から貶されたり揶揄されたりすることで自信を無くし、学校に行きたくないというような気持ちがつのり、不登校となるケースも出てきます。追い打ちをかけるのは、担任から、「クラスの中で秩序を乱す子供」とか、学習遅延による「足手まとい」という誤った指導見識により、いきなり特別支援学級をすすめられるという、子供の人権・人格を否定する、精神状態をかき乱す事例も出ており、学校と家庭との間で大きなトラブルも生じています。子供の精神的発達は、個性が反映することを認識することが大切です。乳幼児が寝が入りをする、掴まり立ちをする、指差しをする、イヤイヤをする、片言の単語を発するなどの動作には個人差が生じます。つまり月齢よりも早い子もいれば、標準の子もいる、また遅い子もいます。同様に、就学期になると集団の中での行動や、学習における習熟度にも個人差が出てきますし、右脳左脳の発達にも個人差が生じます。つまり、個人の精神的発達速度を勘案する必要があります。
『グレーゾーン』とは、正に個人差の振れ幅の領域(強⇔弱)と捉える事です。
子供の動作や特性に不安が付きまとう様であれば、専門医療機関で検査をして診断してもらうことが大切です。
精神医学の日進月歩により、発達障害に対する検査診断も精度が高くなり、それと同時に『グレーゾーン』の領域も検出されてきました。それに伴い、家庭や学校側でも発達障害に対する正しい見識を持つことが大切です。そのためには、専門医療機関による研修を受講し、『グレーゾーン』で悩んでいる親同士のコミュニティーサークルに参加して情報収集することも、偏った認識を払拭するための一つの解決方法です。一番悩んで苦しんでいるのは子供本人です。薬物療法で治るものではありません。本人を叱ったところで根本的な改善には至りません。本人の特性を尊重した上で、解りやすく丁寧に噛み砕いて時間をかけて「語りかけ」をし、子供の心と身体の連動をサポートすることが重要です。
自閉スペクトラム症の夫と暮らす妻の精神的症状について 2023/9/13
カサンドラ症候群については、2021年12月12日の事例紹介で一度紹介しましたが、今非常に増えている症状として、再度取り上げました。(アスペルガー症候群については2019年7月5日に、自閉スペクトラムについては2019年7月9日に事例紹介で記しておりますのでお目通しください。)
カサンドラ症候群は、身近な家族やパートナーが自閉スペクトラム症(ASD)《包含アスペルガー症候群(AS)》で、円滑なコミュニケーションや適切な意思疎通がとれないために、定型発達の人にイライラ感や情緒不安定、また、孤立感や気分の落ち込みや抑鬱感、自己喪失感といった症状があらわれる精神状態のことです。カサンドラ症候群は正式な疾患名ではありません。そのため診断基準はありません。
一方、自閉スペクトラム症は、学業や就業についても優秀な人も少なからず、通常の社会生活を送っている方も少なくありません。特異性としては、融通が利かない・臨機応変に対応出来ない・双方向のコミュニケーションが円滑にとれないことが特徴です。従って、相手の気持ちにたてない、会話の中で意図せずに不適切な発言をする、一つのことに熱中し執着するが、興味のないことをしなければいけない場合には、実行力がなくなり苦痛を感じるという特徴があります。また、自閉スペクトラム症の数は、女性に比べて男性の方が約5倍といわれています。
一例ですが、日常生活の中で、自閉スペクトラム症の夫に対して、妻がゴミ出しを願いしたにもかかわらず、指定された場所に置くことはなく、公道に無造作に放置したので妻が驚いて注意したところ、ゴミを捨てろと言われたから捨てたまでで何も悪くないと言い放たれ、あげくに妻を批判する態度に出ました。何事に対しても自分を正当化する言動に出ます。
カサンドラ症候群が発症する要因としては、双方向のコミュニケーションができない、共感的な適切な意思疎通ができないために、心的ストレスが溜まり精神的に追い込まれることで症状が表出するのです。
夫の無理解や無関心、横柄な態度や暴言失言が要因となって、妻は抑うつ状態や孤独感、また、精神的ストレス状態に至り、イライラ感などを発症します。妻が対話を求めても、じっくりと向き合って話し合おうという姿勢がないために、会話が成り立たないのです。その様な場合には、一端距離を置き、関わらないという立ち位置も大切です。
自閉スペクトラム症の夫との関係性においては、コミュニケーション不足による不信感や葛藤並びに信頼関係の亀裂が検出できます。
カサンドラ症候群は、献身的で面倒見が良い性格の人がなりやすいのです。夫を放ってはおけないという気持ちが先立ち、知らず知らずのうちにカサンドラ症候群に取り込まれていくのです。
カウンセリングを受けることで、話を聴いてもらえる環境を構築することです。自分の気持ちを肯定的に共感してくれるカウンセラーの存在は、カサンドラ症候群の改善には有効です。一人で悩みを抱え込むのではなく、悩みを共有してくれる存在が勇気を与えてくれます。
多様なセクシャリティーのあり方について 2023/9/1
性的指向及びジェンダーアイデンティティ(自我同一性)の多様性に関する国民の理解が十分に浸透していない現状において、性的マイノリティーの社会的立場を受容理解する寛容な社会的見識を育む必要があります。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)は、令和5年6月23日に交付され、同日施行されました。(内閣府より知事・市長に通知)
内閣府によりますと、「本法制定の趣旨は、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならないとの基本理念を定め(後略)・・・」とあります。
それでは、多様なセクシャリティーとはどの様な要素でしょうか。
【身体の性】男性・女性の身体的生理的な相異で判断される性別という要素です。
【心の性】身体の性と心の性が一致せず、どう捉えるか定まらず違和感を持っているという要素です。
【性的指向】人を好きになる恋愛感情の対象として男性か女性か!又は両性か!又は、男性女性どちらにも好きになる感情を持たないという要素です。
【表現する性】言葉使い・振舞い・髪型・化粧・服装など、性自認と表現する性が一致するとは限らないという要素です。
LGBTQ+などの性的マイノリティーは、人口の約5.9%程と推定されています。まだまだ正しい理解が浸透しておらず、そのため、偏見や差別という仕打ちや誹謗中傷を受けることで、精神的苦痛から精神疾患を発症することもあります。また、最悪自壊に追い込まれることもあります。
医学の進歩により、性の多様性も立証され、人の性は、男性・女性と二分されるものではないというデリケートな領域なのです。私たちは多様なセクシャリティーから構成されていることを理解する必要があります。
性的マイノリティーの人たちの人権を尊重し、理解と寛容な姿勢を持つことが急務です。例えば、同性愛者である!両性愛者である!身体の性と心の性が不一致である!自分の性が解らない!など、多様な性自認が存在していることを、受容理解し尊重することが大切です。また社会は、性的マイノリティーの人たちを寛容に受け入れる取り組みを積極的に行っていく必要があり、すでに、企業や学校でも様々な取り組みが実施されてきています。
精神的苦痛を感じたときは、一人で悩み込むのではなく、カウンセリングを受け、カウンセラーに性の悩みを聴いてもらい、受止めてもらい共有してもらうことが大切です。
無意識に発している差別用語について 2023/8/17
私たちは、無自覚に差別用語を使っています。差別は、男女差別・弱者差別・障害者差別・貧富差別・家庭境遇差別・マイノリティー差別など多岐にわたります。今や憂慮する時に来ています。憲法第14条1項で法の下の平等を定めていますし、第24条1項では夫婦は同等の権利を有することを定めていますが、まだまだ差別偏見をもって接しているように感じるのは私だけでしょうか。この現実を何とかしないといけません。
数々ある差別用語の中で今回は、男女差別の言葉使いについて一例を挙げます。
【少年】は社会的には女の子を含んでいない概念です。男女平等からすれば『子ども・生徒・学生』というように、就学年齢に応じて言葉を使い分けることです。
【冠詞としての女性】は、そもそもが男尊女卑の固定観念として使用されています。女性であることが特別視されていることになります。『女性政治家・女流騎士・女流作家・女子アナ』など『女性』の冠詞はつけないことです。
【帰国子女】『子』は男性のことで、『女』は女性のことです。古代、男子の名前に『子』をつけました。蘇我馬子・小野妹子などに由来します。これも男性上位の考え方が反映されています。『帰国児童・帰国生徒』と言葉の使い方を変更することです。
【ママさん・・・】と頭につける呼び方を耳にします。女性の全てが既婚者ではありません。また、既婚者であっても子どもの有無を考慮することが大切です。とてもデリケートな心情に配慮することが大切で、『ママさんランナー・ママさんバレー』などの言葉使いは控えることです。
【老女・老婆】この言葉も男尊女卑に繋がります。人間は男女問わず年を重ねることで身体的に衰えていきます。『高齢女性・高齢男性』という言い方が、相応しい言葉使いといえます。
【父兄】児童などの保護責任者を男性に限定した言葉使いになっています。『父兄会』が一例です。女性の存在が軽視され、配慮に欠けると言わざる負えません。『保護者』という言葉使いが適切で、『保護者会』が相応しい言い方です。
【未亡人】性差別用語の代表例です。憲法24条1項では、夫婦は同等の権利を有することを定めています。『夫と死別した女性』という表現が相応しい言葉使いです。
封建的家父長制度により、男尊女卑の観念が培われ、差別用語が数々使われていることは憂える限りです。慣行として数え切れないほどの差別用語が日常生活の中で使われています。私たちは改めて男女平等の原点に立ち返り、差別用語の言葉使いを一掃する必要があります。差別用語の使用によって、心の傷を負っている人がいる現実を認識する必要があります。この機会にご一考下さい。
しがらみに囚われないで生き生き過ごすについて 2023/8/1
人は自分を自覚できる年頃になると、様々な制約を感じるようになります。自由闊達に本能のままに生きてきた一時期を過ぎると、組織や規律という枠組みにはめ込まれます。自由闊達から杓子定規と生活環境が変わることで、息苦しさを感じるようになります。一体、しがらみに囚われるとはどの様な事でしょうか。
①親の子育て観
子供は親の分身ではなく、個人としての人格を持っています。ところが、親の理想や思い入れを、我子に押しつけてしまうことはよくあります。また、他人の同年代の子供と比較して優劣を図ってしまうこともあります。無意識に我子を親の思い描いた方向に仕向け型枠にはめ込むのです。
②学校教育の規則
自分を自覚できる年頃の最初は幼稚園や保育園です。集団生活のルールを当てはめられます。ルールを破ると叱られます。小・中・高校と成長と共に集団生活のルールはより厳しく制約され、自立する年頃としては息苦しさを覚えます。学校の定規・枠組みに当てはめられるわけです。
➂社会の構成員としての規範
18歳社会人・大学生になると、成人として法律の縛りの中で生きていくことになります。社会で生きていくための常識的規範が付きまといますし、企業人になると就業規則に縛られ組織の歯車として身動きのとれない枠組みに囚われます。
④家庭という枠組み
結婚をして家庭を築くことで、家庭という枠組みができあがります。ところが夫婦で描く家庭の枠組みが異なっていくと、価値観の相違が炙り出され居心地が悪くなり、息苦しさを感じるようになり、夫婦の枠組みから解放されたいという気持ちが強くなります。
勿論、人により境遇は異なりますし、抱えているしがらみも異なります。
人生は有限ですから、どこかで今までのしがらみを解き放って生きたいものです。一生懸命人生を過ごしてきたら、自分へのご褒美として、自分優先の生活プランを実行してみては如何でしょうか。人様に迷惑をかけない程度に、自分のおもい通りに生きてみる。自我のないころの自由闊達な自分に原点回帰するという考え方を持って、①自分優先②心にゆとり➂楽しく生きる④自己否定を封印する。①~④の自己教示で考え方を変えてみることで、新しい景色が目の前に広がることでしょう。
夫定年後の夫婦の心地よい距離感について 2023/7/19
夫が会社勤めで暮らしていた夫婦にとって、夫が定年を境に四六時中家にいる生活になった途端、妻が強いストレスを感じるようになり、体調不良になるケースが目立つようになりました。夫婦互いにストレスを感じない心地よい夫婦の距離感はどの様にとればよいのでしょうか。
特に妻が強いストレスを感じ体調不良に陥るケースが目立ちます。どうしてでしょうか。夫は朝出勤し夜帰宅の生活で、土日が在宅というパターンが一般的です。妻は、夫の出勤後は家事などのルーティンを熟した後はプライベートタイムで一息つけました。ところが、定年後、夫は毎日家に居るわけですから、夫の気配を感じて気が休まりません。また、普段の家事に三度の食事支度と定年後の仕事は増えることになります。定年後は収入も減りますから、家計のやりくりも大変です。様々な負担が精神的重圧となって妻の心身にのし掛かってきます。つまり定年後の妻は、限られた居住スペースの中で、夫から指図されたり、干渉されたり、文句を言われたりと、強い束縛感を持つようになります。日常生活の中でストレスが鬱積していき、精神的ストレスが心身の部位にダメージとなって表出します。例えば、倦怠感・頭痛・不眠・動悸・目まい・肩こり・イライラ感・気分の落ち込み・鬱・胃痛・消化器疾患・高血圧などです。このまま我慢して生活することは、到底無理な話です。ではどの様に改善を図ればいいのでしょうか。
先ず、夫と妻が互いの立場を理解することです。定年後は夫も生活の立ち位置が変わります。妻も同様です。立ち位置が変わるという前提条件を伝え、理解し合うことが大切です。しばらくはお互いに戸惑いを感じることでしょう。互いが気を遣わないような空間を作ることが重要です。つまり、心地よい距離感をキープすることです。言い換えれば、夫と妻それぞれのプライベートタイムを尊重し、干渉しないと言うことです。一例をあげますと、【カレンダーに夫婦それぞれの色でスケジュール(行き先・時程)を記入し、お互いの行動が一目で確認できるようにする】そういうさりげない工夫を日常生活の中に取り入れるだけで、干渉し合わないでストレスが溜まらない、心地よい距離感がつくり出せるわけです。それぞれのご家庭にあった工夫をなさってみてください。
うつ病と向き合う気持ちについて 2023/7/1
うつ病は、日常生活に支障が出るほどに、精神的に落ち込み精神状態が日々不安定になり、意欲がわかず目的意識が薄れ、倦怠感に無気力感さらには不安感を抱き、不眠症や気分の落ち込みが強くなる病気です。また、身体にも痛みが表出します。通常の日常生活や社会生活を送ることが困難となります。
うつ病の治療としては、薬物療法です。脳内のセロトニン再取り組み阻害薬とされています。また、三環系抗うつ薬などが使われます。個人により投薬の相性があるため、医師と相談しながら薬物療法を継続することが大切です。薬物療法の効果が発現するまでには、4週間から8週間かかります。根気強く治療に励むことが大切です。次ぎに、精神療法です。カウンセリングを通して、心の苦しみを吐露する中で、絶望感や自己否定を客観的に見つめ直し、自己肯定感へと修正することが期待できます。
さて、うつ病の人がその病気とどの様に向き合っていけばよいのでしょうか。大切なことは、うつ病であることを受け入れることです。そして、焦らずに完治するまで治療と静養に努めることです。
患者さんの心理として一番留意する点は、【焦る気持ち】です。いつ回復するのか不安に襲われます。その精神的強迫観念が回復を遅らせたり、再発を招いたりすることに繋がっていくのです。大切なことは、とことんしっかりと休養をとることです。「少しよくなったから学校に通学してみよう」とか「会社の仕事が溜まっているので、午前中だけでも出勤してみよう」とか「家族や周囲の人たちに迷惑をかけてしまっている」など、余計な気遣いから精神的重圧を自分に課すことで、ますますうつ病は悪化することになります。家族や周囲の人たちに気を遣うことはやめて、徹底的にうつ病と向き合い薬物療法と精神療法を続け、しっかりと静養することが完治するためのベストアンサーと言えます。自分自身が「自信が取り戻せたな」と思えるようになることが回復の証となります。
うつ病の治療では、じっくり休養しながら、薬物療法と精神療法を行うことが重要です。寛解までには個人差がありますから、自分のペースでゆっくりと治療に専念することが欠かせません。留意点としては、寛解したからと言って、すぐに元の生活に戻すのではなく、少しずつ慣らすリハビリ期間を設けて、ステップアップすることです。何よりも元気な心身を取り戻すために、じっくりと自分と向き合うことが大切です。一方で、完治のためには、周囲の人たちの寛容な理解が必要不可欠です。
気象病と更年期と自律神経の関係性について 2023/6/15
人間は自然環境の中で生活していますので、おのずと身体も影響を受けています。例えば、頭痛や動悸や目まいや倦怠感など身体に変調が表出した時に、診察を受けても特に原因が解らないケースの場合は、不安感に苛まれます。どの様に理解すればよいのでしょうか。
先ず、気象病とはどの様な症状のことを言うのでしょうか。
代表的なのは、低気圧が来ると頭痛がするとか、目まいがするといった憂鬱症状です。発症メカニズムは解明されていませんが、日々急変する気圧と気温・湿度によって、身体が順応できないことが要因となっていることが考えられます。また、主に気圧変化によって体内の水分バランスが乱れることで起こると言われています。内耳には気圧の変化を感知するセンサーの役割があり、気圧の急激な変化がシグナルとなって視床下部の自律神経に作用します。勿論、個人差があり軽症で済む場合もあれば、重症になる場合もあります。関節痛リウマチや気管支喘息などの発症も気象病の一例です。
次ぎに、更年期障害ですが、男女問わず更年期障害は発症します。これはホルモンの分泌が減少することで自律神経にマイナスの影響となり、心身の不調となります。女性の場合は、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)を補い、男性の場合は、男性ホルモン(テストステロン)を補います。どちらも薬物療法です。症状としては、頭痛・目まい・イライラ感・生理痛・性欲減・気分の落ち込みなど、心身の不調を起こし自律神経が乱れます。
次ぎに、自律神経ですが、間脳の視床下部(自律神経の働きを調節し、意識・神経活動の中枢をなす)というところにあり、交感神経(動)と副交感神経(静)の相互関係によって心身のバランスを保ち、自律神経として体内環境を整える重要な神経機能です。
そこで、気象病と更年期と自律神経の相互関係ですが、心身の不調を発症する共通ポイントは時期です。上半期は6月・7月の梅雨の季節、下半期は9月・10月の戻り梅雨の季節に気象病た更年期症状が重なる様にあらわれやすいのです。どちらも曇天がちで、気圧の変動や気温・湿度の変化が大きく、身体の順応が追いつきません。自然環境に順応できないことが要因となり、心身に変調が出ます。その結果、自律神経のバランスが崩れ、様々な体調不良となって表出し、精神的にも不安定に陥ります。
自然のサイクルである気象現象を変えることは不可能ですね。となれば、人間が自律神経のバランスを上手にコントロールすることで、心身の変調を調節してあげる事が大切です。それでは、どの様な方法をとることで心身の変調をセーブすることができるのでしょうか。
自律訓練法で、交感神経と副交感神経のバランスを調節してあげることが大切です。気象病と更年期が自律神経の乱れに大きく作用し、密接に相関していることが理解できます。カウンセリングルームこころ日では、人間の心身の安定を図る心理療法として、自律訓練法を実践指導しております。
うつ病の発症から回復プロセスとリスクについて 2023/6/1
ストレスや精神的疲労などにより気分障害を発症し、「疲労が蓄積しているのかな?」と、しばらく放っておくことで、実はうつ病になるケースが多いのです。そこで、うつ病の発症から回復までのプロセスについて記します。
うつ病を発症した初期段階を(急性期)といいます。その後(継続期・回復期)がしばらく続いた後に(維持期・再発予防期)となります。
始めに、急性期の治療としては、薬物療法が中心となり発症後1ヶ月は最も大切な時期となります。処方された投薬を中断しないようにすることが肝心です。同時に、しっかりと休養をとることが大切です。急性期は、精神的に不安定な時期です。焦る気持ちが回復を遅らせることを肝に銘じて下さい。
次ぎに、継続期・回復期ですが、落ち込んだ気分が徐々に和らいで来る時期です。つい回復したと勘違いして油断する気持ちが起こりがちです。この時期は寛解と再燃を何度も繰返しますので、調子が良い悪いが波状のようにおとずれます。精神的には大変不安定な時期です。例えば、薬を自己判断で中断したり、生活習慣が乱れがちになったりすることで、再燃してしまう事になりますので要注意です。従って、医師の指示に従うことが寛解に向かう近道なのです。
最後に維持期・再発予防期ですが、うつ症状が無くなり精神的に平常心が保てるようになってきた状態の時期ですが、安心感が災いして自己判断で服薬を止めたり、うつ病発症以前の生活に戻してしまうことで、再燃するリスクが高まってしまいます。よって、医師の指示に従って療養することが大切です。
うつ病の発症から回復までのプロセスで大切なことをまとめると、一つ目は、薬物療法を継続することです。ただし薬には必ず副作用(副反応)が伴いますので、薬が合わない場合は、医師に相談して処方を変えてもらうことも必要です。二つ目は、自己判断をしないことです。焦る気持ちは理解できますが、一途に安静を心掛けましょう。三つ目は、急性期→うつ状態不安感、継続期・回復期→焦らず安静第一、維持期・再発予防期→軽い運動やたわいないコミュニケーションを行い、精神的気分転換のリハビリをしましょう。
うつ病の5年以内の再発リスクは、1回目では30%、3回目では50%、10回目では90%という研究結果も出ています。従って、最初の発症後の治療が完治に向けて如何に大切か理解できます。限りなくリスクを回避すべく、医療機関と患者と家族の三位一体相互努力が大切となります。また、薬物療法と並行して、心理療法(カウンセリング)によるメンタルケアも重要です。カウンセリングにより心の動揺を静謐する方向に持って行くことで、精神的安寧感を養えます。心理療法により再発リスクを回避することが大切で、カウンセリングは再発リスクを回避するためのリハビリと捉えて下さい。
気づきにくいバーンアウトについて 2023/5/15
バーンアウトは、人が精神的肉体的に非常に大きな重圧を一定期間継続的に受けることで、その後に精神的無力感や肉体的脱力感状態に陥ることを指します。日本では燃え尽き症候群のことです。放っておくと鬱状態となり、仕事や学業、また、家事や育児に支障をきたすことにもなります。ストレスからの倦怠感程度に考えがちですが、実はバーンアウトであるのです。できるだけ早期に気づき、自分の抱えている問題点を見つけて修復することが大切です。
バーンアウトとしては、以下の事例が代表的です。
①成果や到達目標を達成するために、時間を惜しまずにがむしゃらに働き続け、精神的肉体的な疲労消耗がじわじわと襲ってくることで、バーンアウトしてしまいます。
②高い目標ハードルを掲げ超えなければいけないという責務感に囚われ、一心不乱に頑張ってクリアした達成感のその先に襲ってくる、虚無感や喪失感や無気力感状態によって、バーンアウトしてしまいます。
③インターバルの無いライフワークにより、オーバーワークで突っ走り続けることで、やがて精神的枯渇状態になってしまい、バーンアウトしてしまいます。
④人から期待されているという自負心により、強い責任感を感じ期待に応えた結果、張詰めていた神経が消耗し、やがて自律神経失調症になり、バーンアウトしてしまいます。
バーンアウトしてしまった場合、どの様に対処し精神的肉体的回復を図ればよいのでしょうか。
①精神的回復を図ることです。インターバルをとることで、気分転換をします。言い換えますと心のリセットです。リセットにより、精神的消耗に対して充電をしてあげることで、精神的快復力は満たされることでしょう。具体的には、それまで我慢してきた好きな趣味に一定期間時間を費やすことで、心が満たされ次への意欲が出てくることでしょう。
②肉体的疲労感の回復を図るには、血流を促すことが大切です。そのためには、身体に負荷のかからない運動が一番です。具体的には、上半身下半身のストレッチです。緊張した筋肉をほぐすことで血流が良くなります。ウォーキングもお勧めです。有酸素運動により血流促進となり、自律神経のバランスが整えられていきます。
③バーンアウトの状態は、心身がバラバラに分離した状態です。頭と身体の状態が連動しない状態です。この先何をしたら良いのか解らない、考えられないし、身体も無気力状態となります。具体的には、自律訓練法をお勧めします。自律神経のバランスを整えることで、心身が連動し気力が回復されます。自律神経には交感神経(活動)と副交感神経(安静)があり、互いを相関しあうことで、心と身体のバランスを保っています。人間は自律神経が安定することで健康で快活な日常生活が保たれます。自律訓練法は理にかなった回復法です。
④自分を責めないことです。具体的には、バーンアウトになり、虚無感に苛まれた場合には、「『一度立ち止まれ』というサインだな!」と受止め、ゆっくりと心身の充電に努めましょう。
自傷行為の心理について 2023/5/1
自傷行為はその名の通り、自分の身体を傷つける行為です。なぜこの様な行為にはしるのでしょうか、その心理について記します。
精神的不安や恐怖心、葛藤や孤立感、抑圧や強いストレスといった、強度な感情を処理するための手段行為と言えます。どうにもならない心の感情を、自分の身体を痛めることで置き換えているのです。例えば、爪をかむ、唇の皮をむく、髪の毛や眉毛を抜くなどの行為です。ところが、その刺激になれてしまうと、もっと大きな刺激を与えないと精神的苦痛を解消できなくなるという、負の連鎖に陥っていきます。例えば、髪の毛を毟る、皮膚を切る(リストカット)、顔を殴るというように、自傷行為がエスカレートしていきます。この様に、自傷行為のやり方は様々です。では、その行為を行う根本的な原因は何かというと、自分の精神的な苦痛を解消するためにとられる代替行為なのです。自傷行為にはしる人にとっては、その手段しか見出せないという苦しい心情があるのです。心情の背景を探っていきましょう。大きく2つの背景があります。①思春期を迎えるまでの発達段階で、家庭での虐待やネグレクトや学校でのいじめをうけ続けた。まだ自立できない段階で、精神的自覚も未発達なために、人に助けを求められない。自己擁護ができないという葛藤が、自分に向かわざる負えないため、自分の存在を確認するための手段として、自傷行為に向かってしまうのです。②青年期から成人となった自立をした場合でも、強い精神的葛藤から自傷行為に向かうケースはあります。DVをうけた、不倫されたなど、肉体的・精神的ショッキングな被害をうけた場合に、身近な人に打ち明けることをためらい、その結果、精神的苦痛の代替として自傷行為に向かってしまうケースです。①②どちらも自傷行為の目的は異なります。例えば、①伝達手段として、自傷行為を見せることで、ヘルプして欲しいというシグナル。②自分の存在を確認する自認手段。③自分に注意を引く被害喚起行為。④干渉して欲しくないという他者排斥行為。⑤自分の存在を否定してしまう厭世的自責感情など多様です。
治療としては、薬物療法(抗精神病薬)と精神療法(集団療法・カウンセリング)がとられます。
自傷行為に向かってしまう貴方にも理解者は必ずいるはずです。諦めないことです。貴方が抱えている苦しみ、自傷行為に向かわせてしまう精神的・肉体的苦痛を我慢して心を閉ざさずに声にして聴いてもらいましょう。貴方の立場を理解して共感してもらえることで、貴方の抱えている苦痛は、半分に軽減されることでしょう。カウンセリングは貴方の精神的苦痛に耳を傾け、共有してくれます。世の中には貴方の心情に寄添ってくれる人が必ずいると信じて下さい。
回避性人格障害(パーソナリティー障害)について 2023/4/14
傷つくのが怖い、嫌なことから逃げる、失敗を極度に恐れるなど、ことごとく正面から向き合わない精神状態を精神障害と呼び、日常的社会生活に支障をきたします。社会生活に困難をきたす場合は、専門医療機関の適切な診断・治療及び精神的ケアが必要となります。
回避性人格障害(パーソナリティー障害)の3つの特徴は以下の通りです。
①認知・感情・対人関係・衝動性に著しい偏りのパターンがあります。
②青年期~成人期の早期(10代後半から20代前半)に始まり継続します。
③偏りのため、家族関係や社会生活における仕事や人間関係の場面で支障が生じます。
回避性人格障害(パーソナリティー障害)の人格を3つに分類すると以下の通りです。
①一見奇妙で風変わりに見える。②情緒的に見える。③不安または恐怖を感じる。
回避性人格障害(パーソナリティー障害)の行動特性は以下の通りです。
*対人関係においても不安や恐怖が強い場合は、引きこもりになってしまいます。
*羞恥心が強く、新しい人間関係を築こうとしません。また、恥をかくのが嫌で、新しいことにチャレンジするのが苦手で、馬鹿にされることを恐れます。
*自分に好意を持っていると確信できなければ、その人と親密な関係が築けません。
*好かれている相手ではないと、心を開いてかかわれません。
*新しい社会関係が特に重要になる青年期から成人早期には、内気・孤立・恐怖に対して、ますます意識が強くなります。
*身の安全を追求するため、ライフスタイルが制限され、対人場面で批判や拒否を恐れる防衛機制から、対人的接触を回避します。
回避性人格障害(パーソナリティー障害)の治療は以下の通りです。
個人精神療法・集団精神療法・家族療法・認知行動療法(カウンセリング・ロールプレイング)・薬物療法(抗精神薬・抗うつ薬・抗不安薬)などです。
家族療法では、本人に思いを上手く伝える言葉のかけ方や、気持ちを安定させるための振る舞い方など、適正な対応法を指導します。
認知行動療法では、理想的な自己と劣等的な自己の狭間で、精神状態が不安定になっていますので、等身大の自己を受け入れることに気付かせます。
何か行動を起こして失敗した時に、自尊心が傷つくことに過敏になっていますので、成功体験を積み重ねることが重要です。
小さな事でも褒め、本人の主体性を尊重し、回避の慢性化を防ぐように努めます。不安や心配を助長させないよう、小さな事から少しずつ何かを始めてみる試みをすすめられるようサポートして下さい。
【自律訓練法のすすめ】について 2023/4/1
自律訓練法という言葉を耳にしたことはありますか!なにやら堅苦しい訓練なのかと首を傾げたくなるのもむりはありませんが、その心配はご無用です。自律訓練法は、どなたにも身体に負荷なく、心身がリラックスできる、とっておきの裏技です。
今の世界からデジタルを避けることはできません。グローバルネットワーク、つまり瞬時に情報が地球上の隅々にまで行き届く時代です。確かに使い勝手によっては便利であることには間違いありません。ところが、ものすごい速さで真偽過多に情報が氾濫することで、私たちは知らず知らずのうちに余分な情報まで吸収して、振り回されていることに気付きませんか。実はそれによって、私たちの脳には過剰な負担がかかっているのです。また、コロナ禍の影響もありますが、近年社会構造が大きく変わったことにより、人間関係にも変化が生じ、ストレスに象徴される精神的疲弊が現代病となっています。人間はストレスが溜まることで、様々な症状が心身に表出します。次に当てはまる項目はありますか?
体調を崩しやすい。手足が冷たい。寝汗をかく。動悸がする。息苦しい。目まい立ちくらみがある。胸が苦しくなる。肩や首筋がこる。頭痛がちである。眼精疲労がある。耳鳴りがする。口内炎がよくできる。食欲がない。意欲がわかない。便通が不規則である。性欲がわかない。常に倦怠感がある。考え方がネガティブになる。無口になる。悲しくなる。不眠が続く。勤労意欲がない。人間関係を避ける。感情の起伏が大きい。イライラ感がある。
上記の症状がある場合は、ストレスが関係していることが考えられます。勿論、その他の疾患が要因となっていることも十分にありますので、心身に変調を感じた場合には、自己判断は禁物です。病院で診察を受けることを第一にして下さい。自分ではなんともしがたいストレスの場合は、心身のリラックス状態を生み出すことが大切になっていきます。とは言っても、どの様にすればよいのか?実は自律訓練法が非常に効果的に心身のリラックス状態を作り出してくれるのです。そして、心身のリラックス状態を維持することで、人間の身体が本来持っている自然治癒力や免疫力を一層高めてくれるのです。
自律訓練法の歴史は広く、1932年にドイツ人の精神医学者ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツによって確立されました。そして、ヨーロッパを中心に広く普及し、今や世界広く浸透しています。
大きな特徴としては、自律訓練法は自分一人で場所を問わず短時間でできますし、身体に負荷がかかりませんので、非常に効率的に有効性が得られるリラクゼーション法と言えます。疲弊した自律神経を溶きほぐし、末梢まで血行が良くなり身体が温まり、張詰めた緊張感から解放されます。この自律訓練法を身に付けて、さわやかな日々を送れるようにしてみませんか。カウンセリングルームこころ日では、自律訓練法を懇切丁寧に解りやすく指導しておりますので、ご希望の方は是非体験して実感なさってみて下さい。
「いじめ」早期対応~学校から警察に通報について 2023/2/15
学校現場における「いじめ」は、減るどころか昨年度は61万件超で過去最多となり、深刻な事態となっています。「いじめ」が原因となったと思われる自殺や不登校の件数も、705件と過去2番目の多さです。学校現場での「いじめ」対応にも温度差があり、責任の所在が曖昧になるケースも指摘されます。
文科大臣は、この様な現状を憂い、重大な危害に繋がる恐れがある「いじめ」が発生した場合は、直ちに学校から警察に通報するよう求める通知を、全国の教育委員会などに出すと明らかにしました。この背景には、学校側が責任を回避するために、「いじめ」を表面化したくないという側面が見え隠れします。この事が、結果的に事態を深刻な状態にしてしまったと言えます。そこで文科大臣は、次のようにメスを入れています。「これまで生徒指導の範囲内と捉えて学校で対応し、警察に通報することをためらっているとの指摘もされてきた」として、こうした認識を改めるよう求めたのです。つまり、「いじめ」は、そこまで深刻な事態となっており、生徒指導の範疇を超え、学校側だけでは対処できない問題となっていることが理解できます。
問題行動等調査(文部科学省)による「いじめ」の定義では、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じている者」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。としています。
上記の定義に照らし合わせ、教職員と学校管理職が現場の状況を共有し、遅延することがないように対処することが第一で、学校側の判断対応では困難な場合は、警察に前向きに通報・相談を行うことが、事態を悪化させない最善策と考えられます。
学校は子供の成長を育む教育現場です。その健やかな成長を育む場が、「いじめ」の温床となっている現実に、もう一度警鐘を鳴らすことが急務でしょう。
平成4年度の認知されている「いじめ」の件数は以下の通りです。
小学校50万562件、中学校9万7937件、高校1万4157件、特別支援学校2695件、合計61万5351件。これは平成3年度より9万8000件余り増加し、過去最多となりました。また、SNSによる「いじめ」も2万1900件と増加しています。「いじめ」による自殺の児童生徒数も明らかにされました。それによると、小学生8人、中学生109人、高校生251人、合計368人の児童生徒の尊い命が失われました。
上記のことから解ることは、「いじめ」の件数は、小→中→高と減っていきますが、逆に自殺の件数は小→中→高と増加しています。「いじめ」は高校生になるに従って陰湿、悪質になっています。気をつけなければいけないのは、「いじめ」の数字は認知された件数だけということです。学校の体面を優先する対応ではなく、子供の人権を最優先に、学校と警察の迅速な連携が「いじめ」対策には欠かせません。児童生徒の命を守る上で大切なことだと思います。
神経発達症と発達障害について 2023/2/1
発達障害は聞き覚えのある疾患名ですが、神経発達症はなじみのない疾患名です。どの様な違いがあるのでしょうか。
神経発達症は、精神疾患の診断、統計マニュアルで採用された用語で、感情や知力という知的活動に影響を及ぼす脳機能の障害です。例えば、コミュニケーション症ではきつ音・自閉症スペクトラム症・注意欠如多動性症・局限性学習症・発達性協調運動症・チック症などです。脳と神経は繋がっており、脳の信号が神経に伝わります。つまり、原因となる神経の発達障害による連続的な障害と考えられています。一方で、発達障害は、自閉症スペクトラム障害・学習障害・ADHDなどの包括的な意味で使用された疾患名です。どちらも同じような疾患で非常に分類が難しそうに思えます。
そもそも、発達障害の定義として発達障害者支援法があり、【発達障害とは、自閉症・アスペルガー症候群その他広汎性発達障害・学習障害・注意欠如多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において、発現するものとして政令で定めるもの】となっています。発達障害者支援法に記された様々な障害を、発生原因別に区分したカテゴリーとして、神経発達症という疾患名となりました。厳密には、神経発達症は発達障害より広い範囲を捉えています。また、発生原因については、まだまだ研究の余地が残されているわけです。
発達障害という疾患名が及ぼす精神的影響が大変気になります。【障害】という呼称が偏見に繋がり、患者さんを追い込むことで、改善にも反作用する可能性が懸念されるからです。あわせて、人格の尊厳を守る上でも、配慮を最優先にして欲しいものです。
還暦60歳からの人間(友人)関係の築き方について 2023/1/3
還暦は人生のリセットをする大切な瞬間です。改めて人生の軌跡を振返り、生まれ変わる時期なのです。重たくなった人間関係を清算して、新たな人生の一歩を踏み出しましょう。
人間(友人)関係のストレスは心にダメージを与えます。そこで、次の三つに該当したならば、友人と適度な距離感を空けることが大切です。
①長らく付き合った友人と、「人生観が異なってきたな」と感じるようになったら、それは人生観の価値観の違いが生じている証拠です。合うたびにその苦痛を感じるようでしたら、友人と距離を空けてみましょう。それで友人が離れていくような人であれば、追いかけずに静観することです。
②友人関係において、互いの気配り心配りの熱量に違いが生じてきたことに気付きストレスを感じてきたら、それは互いの思いに温度差が生じている証拠です。「かみ合わないな」と思ってきたら、付き合いをやめることもストレスを溜めないで心が楽になる手段でしょう。
③60代(還暦)になったら、友人との口論は拗れる一方です。還暦を過ぎると人生観が固着して相手の考え方を受け入れにくくなりますし強情になります。軽いアドバイスのつもりで話したことが、嫌みと受止められてしまうことも多々あります。弁解したところで聞き入れてもらえずに、その後の修復は不可能でしょう。しこりが残ってよりが戻るとは思えません。相手のプライベート領域には入り込まないことが肝心です。
お互いにプライベート領域には立ち入らないことです。昔から老婆心という言葉があるように、必要以上に踏み込まないことです。適度な距離を保つことが大事です。互いの長い人生のプロセスが異なるわけですから、友人関係で煩わしさからのストレスが溜まるようであれば、疎遠となることも良しと捉えましょう。
小中学生の8.8%が発達障害について
文部科学省の調査結果によりますと、公立の通常学級に通う児童生徒の8.8%に発達障害の可能性があるという深刻な結果が報告されました。
この調査は10年前に実施しており、その時の実態よりも今回の調査では2.3ポイント上昇しました。一クラスあたり約3人が発達障害の症状があるということです。当然学級運営や学習指導に何らかの支障が出てくるわけですが、なんと7割の学校で「特別な教育的指導が必要とは考えていなかった」という実態が浮き彫りになりました。この背景には、発達障害に対する教師の知識不足や支援体制の不備が根幹にあります。できるだけ速やかに対処する必要があります。
発達障害とは、先天的な脳の働き方の違いにより、行動や情緒に特徴があらわれます。学習障害・注意欠如・多動性・多弁性・衝動性など注意欠如多動性障害や、特定の事柄に対するこだわり・対人関係が苦手・高機能自閉症などアスペルガー症候群です。
学年別では小学一年生が12%、小学五年生が8.6%、中学一年生が6.2%、中学三年生が4.2%と、学年が上がる事に少なくなっています。ですから、早期に発達障害の兆候を見極め適切な対応・指導・支援をすることが求められます。
1学級に1割の児童生徒が発達障害の可能性があるわけですから、学校側はそのことを前提として支援体制を整備することが望まれます。
冬季うつ病の特徴について 2022/12/1
うつ病は年間を通して、気分の落ち込みや倦怠感・喪失感、また、不眠などの症状に苦しみます。それに対して、冬季うつ病は、晩秋から冬にかけて発症するという特異性があり、季節性感情障害に当たります。その特異性と対処法について記します。
冬季うつ病では、常に眠気に襲われます。また、過剰に甘い物を食したくなるという特徴があり、毎年この時期になると同様の症状が表出します。冬季うつ病の診断としては、毎年冬の時期に発症を繰返し、心理的要因が見当たらないという特異性がうつ病との違いになります。心理的要因ではないとすると、別の要因としては何があるのでしょうか。実は、冬は日照時間が短いという気象的要因が作用しています。日光に当たる時間が少なくなることで、脳内物質のセロトニンの分泌が少なくなるため、鬱の症状が表出します。冬季うつ病の発症は地域によっても異なり、北陸・東北・北海道といった北に位置する地域の人に多く見られます。また、男性より女性に多いという報告も出ています。女性に多い理由としては、出産・育児・更年期・生理不順など、女性特有のホルモンバランスの変調などが作用していると考えられています。更にコロナ禍における行動変容により、室内に籠もる時間が増えたために、運動不足や外気に触れる機会が減少したことで、自律神経が乱れ冬季うつ病に罹る人が増えたということです。冬季うつ病にならないようにセルフコントロールすることが大事なことですが、具体的に私たちが心掛ける対策は何でしょうか。
①適度な運動をしましょう。例えば、ウォーキングで外気に触れ、日光を浴びるとドーパミンの分泌により精神が安定します。
②食事に配慮しましょう。セロトニンを生み出す、トリプトファンを含んだ食品を多く食べましょう。肉類・魚介類・発酵食品・乳製品などをバランスよく食べましょう。偏食をしないよう配慮しましょう。
③コミュニケーションを多くとるように心掛けましょう。ストレスを溜め込まないためには、対話をすることで気分を転換する機会が生まれます。
④良質な睡眠を心掛けましょう。日本にははっきりとした四季があり、気温も大きく変化しますし、夏至・冬至により日照時間が異なります。無意識のうちに、私たちの日常生活に変化をもたらしているのです。睡眠時間も然りです。年間通して就寝時間・起床時間を大幅に変えないことが睡眠障害を予防する要因といえます。
カウンセリングを通して、自分の心理状態を客観的に見つめ直すことが大切です。認知行動療法やゲシュタルト療法を積み重ねることで、冬季うつ病を軽快の方向に導いてくれます。
うつ病と身体の痛みについて 2022/11/13
精神疾患であるうつ病が、身体に痛みが生じることをご存じでしょうか。いや、そのことを認識している人は少ないでしょう。「うつの痛み」情報センター・塩野義製薬・高知大学医学部の調査結果について、資料元より転載します。
「うつ病は、抑うつ気分、不安、興味の喪失といった精神疾患のほかに、睡眠障害などの身体的症状がみられることは知られていますが、肩・胃・首などに痛みを伴う身体的症状については、あまり知られていません。うつ病の患者さんであっても、痛みがうつ病の症状であると気づかない人が多く、その辛い症状を医師に話していないために、治療に結びついていないのが現状です。WHO(世界保健機構)は、2020年にはうつ病が虚血性心疾患に次いで健康な日常生活を傷害する疾患の2番目に大きな要因になると予測しています。そのため、疾患についての正しい理解を広め、うつ病の早期発見・早期治療、及び適切な治療に結びつけることが必要だと考えられています。」と報告しています。合せて調査結果は以下の通り報告されています。
①72.1%の患者さんが、うつ病の痛みが精神症状に影響すると感じており、医師も83.2%が同意している。
患者さんの認識→更に悪くなる(44.3%)よくならない(27.8%)
医師の認識→患者に同意(21.1%)まあ同意である(62.1%)
②うつの痛みがうつ病の回復を妨げると感じる患者さん68.6%
患者さんの認識→回復しない(23.1%)回復が遅れる(45.5%)
医師の認識→患者に同意(9.4%)まあ同意(43.4%)
③患者さんの6割が痛みを経験し、痛みの特徴は頭・肩・胃が多く、8割が鈍い痛み
患者さんの経験→身体的な痛みの経験あり(59.9%)うつ病による鈍い痛みの症状あり(81.8%)
現在の医療機関を初めて受診したころの痛み症状→頭が痛い(35.7%)肩が痛い(21.5%)胃が痛い(20.9%)首が痛い(17.6%)その他、手足が痛い、背中が痛い、身体全体が漠然と痛い、内臓が痛い、腸や腎臓、子宮など、関節が痛い、歯が痛い、顔が痛い
④痛みは診察の場で話されていない傾向にあり、話していない理由として、69.2%の患者さんが、痛みがうつ病の症状だと思わなかったからと回答。
⑤治療満足度は、痛みの症状を主治医に話している人(37.6%)よりも話していない人(26.7%)が低い
⑥医師の64.7%の人が、患者さんがうつ病の痛みを話すことでうつ病の治療効果が上がると認識
うつ病は精神症状だけでなく、身体症状も伴います。気分が落ち込み、尚且つ3ヶ月以上身体の鈍い痛みが続くようでしたらうつ病の心配がありますので、心療内科を受診なさって下さい。並行して心理療法としてカウンセリングを受けることも回復への一助となります。
なぜ怒りの感情を「腹が立つ」と言うの!について 2022/11/1
怒りを感じた時、むかついた時、イライラした時などに、よく口にする慣用句として、「腹が立つ」と口走ります。当たり前のように使っているこの言葉の由来は何でしょうか。【腹】と【立つ】の由来を記します。腹を立てずに読んで頂ければ幸いです。
【腹】の慣用句としてはその他に、腹黒い・腹を探る・腹を決める・腹が煮えくりかえる・腹に一物・腹に収める・腹に剣・腹が据わる・腹を見抜く・腹を読む・心腹・腹心など、腹は心境と密接に関わり合いを持っています。ですから、昔から【腹】は心の感情表現として使われました。一方【立つ】の意味の中には、感情が激する、高ぶるという意味合いが含まれています。ですから、【腹が立つ】というのは、心境が高ぶって動揺している感情表現なのです。ちなみに、【腹が立つ】という語源は、平安時代前期の竹取物語の中にも次のように記されています。「翁心地あしく、苦しきときも、この子を見れば、苦しきこともやみぬ。腹立たしきことも慰みけり」と。この様に昔から人としての感情表現として使われました。
心理学では、怒りの感情は第二感情です。ということは、その前提として第一感情があるわけです。それはどの様な感情を言うのでしょうか。事例をあげてみましょう。親子の間で一つの約束を取り決めました。その約束とは、【テレビは午後20時までに消すこと】でした。ところがその約束はほとんど守られず、親としては勉強時間に食い込むことが心配で不安に苛まれる心境が続きました。しばらくは、辛抱強く状況を見守っていましたが、再三の約束破りにとうとう堪忍袋の緒が切れてしまい、激高してしまいました。そこで出た言葉が「腹が立つときたら・・・」でした。
この事例では、第一感情は【約束は守られず、親としては心配、しばらく辛抱強く見守る】です。その伏線があって、次の第二感情の導火線に火がつきます。第一感情は火種で、多くの場合は、その第一感情は第二感情にかき消され意識されません。火種はくすぶっている第一感情で、第二感情で火は炎となって燃え上がり表出するためです。結果として子供に伝わるのは第二感情だけになりがちです。子供は「親が腹を立ててガミガミ怒る」と感情的に捉えますので、親子の関係は、険悪になってしまうのです。なぜ腹を立てたかという説明を親は子供にすべきでした。第一感情の部分を子供に説明する必要があったのです。「親子で約束したことは守ろうね。時間を守ると言うことは、信頼関係を築く上で大事なことだよ。親子の間柄とはいえ、約束を破ったから怒ったのだ」と。この様に、第一感情の上に第二感情があることを覚えておいて下さい。
【腹が立つ】その言葉を置き換えると【頭にくる】と言うことです。頭とは脳です。お腹と脳は神経で繋がっています。その中間にあるのが心中です。「心中お察し・・・」とはこのことです。腹が立つと自律神経が興奮しますので、呼吸が浅く速くなります。脈拍が速くなり、血圧が上昇し苛立ちが増幅します。その様な状況に陥った場合は、自律訓練法で呼吸を整え、自律神経(交感神経)を鎮めて下さい。
反抗挑戦性障害について 2022/10/16
反抗挑戦性障害は、主に6歳前後から15歳までの思春期の子供に見られ、目上の人に対して怒りっぽくなったり、イライラして暴言を吐きます。発達年齢における反抗期と見分けることが難しい部分があります。
通常の反抗期と反抗挑戦性障害の見分け方は、持続性と頻度が判断基準となります。後者の場合は、目上の人に対して怒りっぽくなり、イライラして暴言を吐き口論を仕掛けるような状態が半年以上毎日繰返します。その結果として、日常生活において様々な支障が出てきます。例えば、親子関係での確執、対人関係のトラブル、学力低下です。また、ADHD(注意欠如多動性障害)と同じような症状が表われるので、識別も難しく、慎重な判断が求められます。ADHDを持つ4割の子供が発症すると言われています。具体的な症状としては、①イライラして暴言を吐く。②目上の人や親と口論する。③偏屈になり根に持つ。④親を罵る。⑤号泣しながら物に当たる。⑥規則を破る。⑦他人に対しては大人しいなど、学校や公共の場所では、その様な態度や言動は滅多に出ませんが、主に家庭の中で起こります。
反抗挑戦性障害の子供自体は、自覚認識がありません。自分以外の人が自分に対して害を及ぼしていると捉え、加害者意識が強く出ますので、イライラして癇癪を起こしたり、口論を仕掛けたりする態度が見て取れます。反抗挑戦性障害の発症率は4%程度と言われ、若干男子の方が多いのですが、成人では男女差はなくなります。反抗挑戦性障害が発症する原因は現在のところはっきりと解っていませんが、次の3つの要素が背景にあるのではないかと言われています。
①性格要素としては、情動性の欠如で、感情をコントロールできないことが挙げられます。
②両親要素としては、ネグレクトや虐待をうけた経験があり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)であることが挙げられます。大人が大声で口論する家庭の子供に多いということも要素としてあるようです。また、親の離婚による養育欠如も精神的未発達に至らしめたという要素です。
③生理要因としては、脳神経の疾患や遺伝的要素が考えられますが、いずれも定かではありません。
前述しましたが、ADHDとの識別も難しく、同じような症状が表われるので、慎重な判断が求められます。ADHDを持つ4割の子供が発症すると言われています。そのケースの場合は、治療としては薬物療法と心理療法の併用で、心理療法としては、認知行動療法が使われます。また、ペアレントトレーニングを行い、親子関係の修復を行います。思春期に起こる障害ですが、思春期を過ぎる頃から主に落着いてくることが確認されています。現在検査方法が確立されていないため、複数での病院での診断が必要です。早めの対応をすることが肝心です。
ワンオペ育児の乗り越え方について 2022/10/7
ワンオペとは、ワンオペレーションの略称で、一人何役の仕事を熟さなければいけない事を指します。ワンオペ育児は、一人で育児をしながら家事全般をやりくりする状態を示しています。
近年は、男女雇用機会均等法や男女共同参画により、兼業夫婦が当たり前となりました。それは共稼ぎの家庭が増えたために、夫婦の役割分担の境界線がなくなり、両極ではなくなったためです。とは言っても、ワンオペ育児の家庭は多く、その主体は基本妻です。ある統計によりますと、就学前の子供を持つ家庭の一日あたりの育児と家事の過重時間は、夫が1時間30分程度に対して、妻は7時間30分と、5倍の過重となっています。更に、子供が一人か兄弟がいるかでも、過重度が変わってきます。ですから、ワンオペ育児によるストレスは、計り知れないものになります。育児と家事の連続に追われることで、インターバルの時間がなくなり、精神的なリセットができなくなります。熱でも出て寝込んでしまったらどうしよう!という不安やプレッシャーを抱えながらのワンオペの日々です。よって、肉体的疲労+精神的疲労により、自律神経が乱れてストレスが蓄積するのです。やり場のないストレスの捌け口が、子供への虐待やパートナーへの愚痴・パワハラ・DVなどへ形を変えて表出するのです。
夫の育児・家事の過重時間は1時間30分程度ですが、その大きな要因としては、男性の育児休暇取得率は12.6%に甘んじています。また、残業時間が長いことで、帰宅時間が遅いのも起因しています。更に、止むに止まれず単身赴任という事情も背景にあります。すぐに現状を変えられない場合、どの様にワンオペ育児の苦痛を回避すれば良いのでしょうか。
①育児に手がかかり今は辛いけど、少しずつ手がかからないようになるので、そこまで辛抱しよう。と考え方を置き換えましょう。
②完璧を求めないで、適度に手を抜き、無理をしない。一日のノルマのハードルを下げる工夫をしましょう。
③夫婦で土日の役割分担を工夫して、育児と家事を夫にヘルプしてもらい、自分時間を確保しましょう。
④ワンオペ育児をしている友人と情報交換をして、互いの苦労を共有し分かち合うことで、孤独感が払拭され、プレッシャーから解き放たれるでしょう。
⑤寝不足が体調不良の大きな要因となりますので、夜中の育児については、夫婦でルールを決めて対応に当たることが肝心です。
ワンオペ育児の負担が軽減できるように、夫婦の意思疎通を図ることが大切です。ワンオペ育児による精神疾患を起こす前に、カウンセリングを受け、心の辛さをカウンセラーに聴いてもらうことで、ストレスの軽減をはかって下さい。
恐ろしいスマホ依存と脳過労について 2022/9/15
今やスマホ依存は老若男女問わず深刻な問題となっています。長時間使用することで、脳が過労し忘却や脱力感・無気力感に苛まれます。言わずと知れた2020年のコロナ禍以降、巣ごもりが影響していることは確かです。今、脳過労を軽減するためにデジタルデトックス(解毒)が注目されています。
デジタルデトックス(解毒)というと、「何をするのか!」と戸惑いますが、要するにスマホと係わる機会を少なくすると言うことです。こまめに意識して実践することが求められますが、デジタルデトックスによって、脳過労が解消できれば何よりです。
デジタルデトックスの1番目は、外出以外の時はスマホを身体に携帯しないということです。携帯することで、無意識に手に取り画面を開いて見てしまう。これといって目的もないのに画面に目を移してしまう。これだけで無駄に脳細胞に刺激を与えてしまうのです。2番目は、着信通知音は小音にしておき画面は暗くしておく。3番目は、必要のないアプリは消去する。4番目は、就寝時はスマホを見ない。手の届かないところに置いておく。ただし緊急事態の場合を考慮して、置く場所は決めておく。これを実践するだけで、今までのスマホ使用時間を30%~40%削減することが可能です。眼精疲労・首肩の血行不良などの体調不良も改善されます。
デジタルデトックス(解毒)は、スウェーデンの精神科医が20年ほど前に発表したことで、その後日本でも関心が高くなりました。総務省の調査では、平日のネット利用時間は平均168分で、テレビの視聴時間163分を上回りました。私たちは少なくとも、スマホとテレビを両方見ているので、5~6時間はブルーライトや電磁波の出ている画面を見ていることになります。仕事上ビジネスマンの方々は、PC画面から浴びるほどのブルーライトや電磁波を脳に打ち込んでいます。
脳神経外科の専門家の見解では、脳の情報処理は①入力②整理③出力の順に行われ、スマホを長時間使用することで、無駄な情報まで大量に脳に流入し、脳は休みなく覚醒し続けているので、脳の情報処理能力はパンクしてしまうのです。とどのつまり、脳過労が起こりストレス・体調不良(頭痛・眼精疲労・肩こり・倦怠感・不眠・忘却・無気力)など、最終的には鬱症状に至ります。自律神経をすり減らさないよう心掛けることです。
【スマホは使い続けるように仕掛けが施されている】ことを忘れないでほしいものです。また、【スマホを上手に使いこなせず、スマホに操られている自分】を知ることです。一日のスマホの使用時間を決めることが大切です。スマホを持っているとつい暇つぶしに開いてしまう。この「つい」が積み重なることで脳過労となります。「たまに見る」が「時々見る」そして「いつも見る」となり、やがて「無制限」となって、「常習依存」へと負の連鎖で進んでしまうことを知ることです。肉体疲労とは違い、脳の過労は気付きにくいと言われます。改めてスマホの使用について、セルフコントロールすることをおすすめします。デジタルデトックス(解毒)によって、常にクリアな脳の状態を維持し体調不良に陥らないようにしたいですね。
解離性障害について 2022/9/1
解離性障害は、繋がりとしての記憶や思考、人格や言動が途中で分断され、その分断された時間の記憶がなくなる障害です。なぜ自分がここに居るのかわからない、思い出せない、どうしてこの様な言葉使いや文章になったのかわからない、というような状態となる疾患です。
解離性障害を起こす原因としては、幼少期頃のストレスが原因と考えられています。また、解離性障害による症状も多岐にわたり、人により症状が異なります。どの様な治療があるのかについて記します。
幼少期のストレスと言っても、人さまざまです。家庭内暴力をうけていた。ネグレクトをうけていた。ショッキングな出来事に遭遇した。学校でのいじめをうけていた。などにより、心に受けた傷が原因となるケースが多く検出されます。いわゆる心的外傷後ストレス障害(PTSD)トラウマです。
解離性障害の症状にもいろいろあり、意識や記憶が途切れ空白の時間帯が生じる解離性健忘、人格障害、離人症、解離性麻痺などです。解離性健忘は、強烈なダメージをうけた出来事の前後の記憶が喪失してしまう症状です。人格障害は自分とは違う人格によって行動したり話をしたりしている認識傾向が現れます。離人症とは、自分の身体から離れたところから、自分を見ているように体現する症状です。解離性麻痺とは、手足がチックのように勝手に微動する、手足が硬直する症状です。脳に異常があるてんかんとは異なります。
最初に記しましたが、幼少期の心的外傷後ストレス障害(PTSD)トラウマが起因して、解離性障害になるケースが多く検出されますが、その心理的側面を抽出してみると、次のような心理が読み取れます。幼い頃の苦痛を自分一人で抱え込むことはとうてい無理であり、でもその苦痛から逃れるために、苦しんでいる自分の心を切り離すことで、苦しみから逃れ自分の身を守るという手段をとるのです。苦しんでいる自分とは解離して、別の自分に置き換えて対峙するということになります。その置き換えられた自分は一人とは限らず、時にさまざまな苦痛により、多重化することもあります。解離性障害は、解離性健忘、人格障害、離人症、解離性麻痺など、人によりさまざまな症状で表出するのですが、中には一人で全ての症状を抱え込む例もあります。
解離性障害に有効な薬はありません。解離性障害の二次的な症状に処方するということになります。解離性障害によるところの不眠症・自律神経失調・抑鬱・不安などに対応する薬物療法です。
効果的なのは、カウンセリングによる心理療法です。患者さんの心の傷を癒すことにより、安心感を醸成することで、自律神経の安定をはかります。カウンセラーとクライアントの信頼関係を構築しながら、一つ一つ過去の辛い記憶痕跡を乗り越える作業をしていきます。また、自律訓練法も手法の一つです。時間はかかりますが、乗り越えるという気持ちが共有されれば光明が差すでしょう。さらに、周囲の人たちの理解も大切な要素となります。
内省のすすめについて 2022/8/15
内省という言葉はあまり聞き慣れません。多くの人は反省という言葉に置き換えてしまいますが、全く意味が異なります。内省について記します。
内省とは、自分の思考や言動を客観的に省みて、自ら気付きを得ることです。心理学では認知行動療法の手法がとられます。人間は自分の置かれている場面について、主観的にそれがよかれと思って自己の価値観・判断において決定していきますが、本当に正しい判断であったかについて、検証する機会はありません。認知行動療法では、振返り(フィードバック)することで、自分が選択した行動が間違った認識だったかどうかを検証する心理療法です。カウンセラーによるカウンセリングに促されて気付きを得ます。そうした中で内省は、自分自身と向き合い等身大の自分を客観的に映し出すことで、今まで気付かなかった本来の自分の心の中を覗き熟考することで、自分のあるがままの姿を確認することです。
一般的に、内省と反省を混同して解釈してしまう人が多いのですが、反省は、自分の行った行動や言動を省みて、悪かった点や慎む点を認識し、二度と同じ過ちを犯さないことを、改めて確認する(自己批判する)ことが目的です。それに対して内省とは、自分の行動や言動を客観的に振返り、冷静沈着に見つめ直すことを目的としています。ですから、人間形成に有効で、人間としての成長に欠かせない行為です。日々謙虚な気持ちを堅持することが内省力を高めます。内省力は自分の心を映し出すことで自己分析が可能となり、同時に他者に対する対応においても、客観的に冷静に対応することが可能となり、無用な摩擦を起こさずに、人間関係を構築維持することができるのです。
①ノートに心の気付きを書くことです。脳で思ったことを文字化表現することで、再確認・再認識ができます。②どうしてそこに気付いたのかを再考してみることです。③ ①②から確認できたことを次回に生かすことです。内省をデメリットとして捉えるのではなく、メリットとして捉え、自分の糧としてプラス思考で吸収することが大切です。例えば、自分の嫌な部分が気になった場合は、「人間は万能ではない」長所もあれば短所もあると、寛容に受止められるように内省力を高めていくことです。人生は山あり谷ありです。常に平穏な日々ばかりではありません。物事が上手く整わない時や、人間関係が円滑にいかない時こそ、内省をして自分自身を映し出してみましょう。内省を日々習慣付けることが大切です。内省は謙虚さです。内省力は自分自身を磨くことに繋がります。
予期不安について 2022/8/1
予期不安とは、一度突発的な精神的恐怖感を体験することで、また繰返すのではないかという精神的不安感が起こることを言います。
症状としては、またパニックが起こるのではないか!という不安感に支配されます。生死に関わる出来事が降りかかってくるのではないか。人混みにいると感染症に罹患するのではないか。搭乗予定の飛行機が墜落するのではないか。乗船予定の遊覧船が沈没するのではないか。暗いトンネルで事故が起きたら出られなくなるのではないか。電車の中で痴漢に襲われるのではないか。観劇中に生理現象が起きるのではないか。人前でのプレゼンテーションで恥をかくのではないか。面接で質問されて答えられなかったらどうしようか。さまざまな社会生活上で不安感が助長され、悲観的に物事を捉えます。結果的に、症状が重くなると外出することが困難になります。
不安症状に気付いたら躊躇することなく、病院で検査することが大切です。心療内科や精神科を受診して、適切な治療を行うことが肝心です。パニック障害になる人は1000人に7~9人程度です。男性よりも女性の方が多く発症します。また、鬱症状を併発するケースも検出されます。
予期不安を起こす人は、パニック発作が起こらない時も、常にまた起こるのではないかという不安状態を抱えて怯えています。ですから、日常生活、社会生活に支障をきたして悩み苦しんでしまいます。
不安障害では、薬物療法とあわせて、心理療法により不安感情に慣れるように改善していきます。薬物療法では、SSRI選択的セロトニン再取り込み阻害薬と、三環系抗うつ薬の投与ですが、現在では副作用の少ないSSRIが第一選択となっています。カウンセリングでは、認知行動療法や自律訓練法を行うことにより、誤った認識を是正し、自律神経の安定を培うことで自信をつけることができます。また、行動療法として、暴露療法という技法が用いられ、不安に立ち向かって乗り越えていく療法で、効果が裏付けられています。更に、身近な家族や周囲の人たちが、患者の立場を理解したうえで、精神的援助をすることも大切です。
投影(防衛機制)について 2022/7/20
投影は、無意識の心理的働きであり、自分が抱く否定的な感情を、他人のものとして映し出すことを言います。
自分の中にある、自分では受け入れられない側面を他人に投影することで、自分を無意識に防衛機制しているのです。一例を挙げると、不倫行為においては、パートナーがいる人の不倫行為は、防衛機制によってパートナーのいる側に問題があるのだと、無意識に投影されます。自身の否認によってその自己の罪悪感を打ち消し、代わりに相手を責める行為に向かいます。つまり責任転嫁です。
自分にとって好ましくないと思っている倫理観が、自分の脳裏にあることで、無意識のうちに情動となって出てきます。この時に、好ましくない気持ちを打ち消そうとして、投影という防衛機制となって用いられるのです。投影は、日常生活のあらゆる場面に起こっている心理的働きです。なんとなく好きになれない人物がいて、「あの人はいつも私に視線を向けて懐疑的に観察しているようだ。」実は自分が人に対して常に懐疑的に構えているという否定的な認めたくない面を体現していたということです。
投影が起こると、自身の脳裏に潜む自己否定感は、他者の中に投影されます。私があの人を嫌悪するのではなく、あの人が私を嫌悪していると認識することで、自身の心の負荷を軽減しようと無意識に試みるのです。
貴方は無意識に投影を試みていることはありませんか。この投影を克服するためには、人の行為を否定するのではなく、それを自分の性格として認識し、受容することで克服できます。自分を映し出す鏡を持っていることが大事です。投影を克服する一助として、カウンセリングは自分を映し出す鏡の役割として導いてくれます。
無意識の思い込みについて 2022/7/1
私たちは日常において、無意識に決め事を持って生活しています。「そんなことはない」とおっしゃる方もおられると思いますが、知らず知らずのうちに起こっているのです。無意識の思い込みは、アンコンシャスバイアスといいます。アンコンシャス(無意識の)バイアス(先入観)からその様に呼ばれます。
それでは無意識の思い込みについて、私たちの身近に起きている事例をあげてみましょう。「若い連中のすることは決まって・・・だ」「高齢者には・・・させることは無理だ」「女性なんだから優しく・・・しなさい」「男だったら怖がらずに・・・できるだろう」「スポーツマンだから・・・があるだろう」「男は仕事、女は家事に専念すればいい」「中高年はデジタル化やITに乗り遅れている」「女性は常に慎ましくなければいけない」「一流大学を出ているので仕事はできるはず」というような捉え方には、無意識の思い込みが反映していることが考えられます。
無意識の思い込みは、私たちの心理にどう作用しているのでしょうか。偏見や自己防衛心、価値観の偏重、自己肯定感、優越感などの心理的要因が作用しています。人間には多かれ少なかれ固定観念が存在します。物事への執着があります。人生で培った価値観が絶対的なものとなって人格が形成されます。自分の思考は正当だという固定観念です。ところが社会の変化はめまぐるしく価値観を覆していきます。例えば、世界中で叫ばれているマイノリティーの存在価値であるジェンダー問題LGBTQ+です。もはや性別の境界線がなくなろうとしている時代となりました。既成概念を打破できるかできないか、今までの非常識を常識と受止められるかなど、現在進行形の医学の進歩や社会倫理観の現実に気づかず見過ごしていることに、無意識の思い込みが根強く残るのです。無意識の思い込みは、正に時代の流れに乗り損なったと言っても過言ではないでしょう。
自分は冷静に公平に物事を俯瞰して判断していると思っている人でも、思い込みはあるはずです。自分の中に無意識の思い込みが存在することに向き合う(知る)ことが大事です。また、自分を鏡に映し出し、偏見や先入観で捉えていたことはないか、客観視する(気づく)ことが無意識の思い込みを払拭する対処法でしょう。男尊女卑、パワハラ・セクハラ・モラハラという社会問題に起因していることを認識することです。
多様化する人間関係の中で、無意識の思い込みによる弊害を防止するためにも、慣習や経験値にとらわれることがないように努めることが大切です。
摂食障害負のスパイラルについて 2022/6/22
摂食障害は、食物摂取において精神的問題が生じる病気です。例えば、体重を気にする過剰ダイエットや他人の評価に対する過剰意識など心理的要因が存在しています。摂食障害は一つの要因だけで発症するわけではありません。複数の要因が混在していることを知ることです。
摂食障害は強迫観念が強くなります。「これ以上太ることは許されない」「モデルのように細くならないといけない」というように、今の自分を許容できない強迫観念が脳裏を支配します。
摂食障害には、神経性食欲不振症と神経性過食症があります。どちらか一方を発症する患者がいますが、両方を併発する患者も多くいます。
事例をあげてみます。ある一流長距離スポーツ選手ですが、より速く走るために、自分の体重を軽くしなければなりませんでした。それは監督コーチからの絶対命令でした。パーソナルベストを常に念頭に置いて、日々トレーニングに励むことが使命となりました。朝昼夜と毎日三度の体重測定をして、体重の増減をチェックするわけです。それは身体にとって悲鳴を上げるほど過酷なものでした。その結果、徐々に身体は食事を受け付けなくなり、神経性食欲不振症になっていきました。スポーツ選手で体力を使いますので、消費エネルギーも多いわけです。ところが、消費した分の栄養補充ができないため、心身ともに疲弊して、逆に記録は悪くなりました。食べれば体重が増える。食べなければ体力が維持できない。この精神的葛藤の中で、どうすれば体重が増えないですむか!本来の食欲を無理矢理抑えるという精神的抑圧が反動となりました。その結果、食べたものを嘔吐することを繰返すことで、体重を増やさないという行為を繰返し、神経性食欲不振症から神経性過食症に移行してしまいました。つまり、神経性食欲不振症と神経性過食症は表裏一体であるということです。この代償はますます心身を蝕むことになりました。体重が軽くなれば速く走れるという強迫観念が、神経性食欲不振症を発症させ、その末路は、身体を蝕むことになり、逆に過剰に食物を摂取する行為に転化され、その罪悪感に嘔吐することで、精神状態を相殺するという、負のスパイラル(連続性)に落ちていったのです。
摂食障害は、その発端となる要因が人により異なります。そこで、それぞれの原因を突き止め、見極めて適切な治療と対応が必要です。患者に精神的安定を施し、寄添う気持ちが大切です。そのためには、医師と患者と家族が三位一体となって治療に向き合うことが重要です。また、カウンセリングを通して、カウンセラーに自身の苦悩を明らかにすることも心の解放という点で大切です。治療としては、対人関係療法、認知行動療法、家族療法などがあります。自分の心身の大切さを再認識することが大切です。
燃え尽き症候群について 2022/6/1
燃え尽き症候群は、バーンアウトといい、アメリカの心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが1970年代に提唱しました。積極果敢に仕事に勤しむ社会人や、受験勉強に邁進していた受験生、また、育児子育てに献身的に励んだ主婦などが、あるきっかけで突然やる気を失い、脱力感から無気力になってしまう精神状態のことです。ひたむきに社会生活日常生活をおくっていた人が陥るのです。
燃え尽き症候群は、3つのステップに分類されます。①情緒的消耗②脱人格化③個人的達成感の低下です。
①情緒的消耗は、会社への忠誠心により、骨身を削って仕事に邁進し成果を出そうと努力を積み重ねますが、なかなか努力に見合う結果が出なかったという、自己否定感に向かってしまうことにより生じる精神的ダメージです。
②脱人格化は、自己否定感により、常に物事を悲観的に捉えるようになり、対人関係において否定的な態度をとってしまう精神状態に陥ります。本来は良好な人間関係を維持できた人が、情緒面において不安定になります。
③個人的達成感の低下は、情緒的消耗や脱人格化によって自信を失った結果、物事に対する意欲が喪失し目的を見失います。結果として自尊心を失うことになり、やがて喪失感が支配し無気力となります。
燃え尽き症候群の要因は何でしょうか。生真面目・完璧主義といった、100%の結果を求めることにこだわる人は要注意です。また、達成目標が高すぎたり、実力以上の到達目標を設定することも要注意です。いずれも息切れ状態となり、ストレスが負荷され蓄積されることにより陥ります。一方、高い目標を達成しそこが終着点となって、精神的に完全燃焼したため、精神的疲労困憊状態に陥ることもあります。そのケースでは、次の目標を見出せず無気力になります。
燃え尽き症候群にならないためには、等身大の自分を確認することです。無理強いをしない自分を確立することです。無理強いをしてもそれを永続できないことを知ることです。オンとオフの切替えを身に付けることです。
燃え尽き症候群になってしまったら、第一にすることは精神的休養をとることです。つまり、精神的枯渇状態を回復させるために、活力の滋養、精神的エネルギーの充電期間を設けましょう。人により充電回復期間は異なりますので、焦らずにマイペースを維持することが大切です。また、一端その環境から離れることが大切です。
心療内科や産業医、カウンセリングを通して、薬物療法や精神療法を併用して焦らずに治療を行うことが大切です。心身の不調を放置することが一番危険です。早期の対処が回復への近道です。
共感疲労について 2022/5/1
共感疲労とは、人を援助したり世話をしたり、相手の気持ちに立ち、寄添い続ける立場の人が、精神的疲労の蓄積により、体調疲労に陥ることをいいます。一生懸命のあまり、身を焦がしていることに気づかないことが多いのです。
共感疲労は、近年特に介護での事例が多くなりました。日本の65歳以上の高齢者の人口は3,617万人と、前年に比べ30万人増加し最多です。人口に占める割合は28.7%と、前年比0.3ポイント上昇し過去最高となりました。今の日本社会では老老介護という言葉は当たり前となり、働きながら介護もしなければいけない家庭が多くなりました。
また一方で、学校に通いながら、祖父母や親の介護や、幼い弟妹の世話をしなければならない18歳未満の青少年がいます。ヤングケアラーと呼ばれ、高齢化の進行や貧困、ひとり親家庭の増加などが要因となり、大きな社会問題となっています。本業の勉強や部活動の時間が介護や世話に割かれ、人並みの日常生活が送れず、ストレスが蓄積され精神的肉体的に疲弊するヤングケアラーが増えています。
共感疲労の症状としては、食欲不振、不眠、気分の落ち込み、倦怠感、不安感などが表われ、徐々に重症化していくと、抑鬱状態に進んでしまいます。早めの対応が求められますし、周囲の人が気づくことが重要です。
自分の楽しみの時間を作る。共感し寄添うことは大切なことですが、あまりにも責任をひとりで背負ってしまったら、やがて精神的肉体的に疲弊してしまいます。一時その使命感を横に置いて、自分のことを第一に考える時間を生み出すことが大切です。気持ちがリセットされることで、精神的充電ができます。適度な距離感で、介護世話する側とされる側が共にストレスを溜め込まないようにすることです。
また、辛い気持ちをひとりで溜め込まないで、身近な人に辛い気持ちを打ち明けることも重要です。カウンセリングを受けることで、苦しい気持ちを受止めてもらい、心の重荷を聞いてもらえることで、精神的負担は軽減されます。何より苦しみを溜め込まないことが重要です。
天気痛による体調不良の対処法について 2022/4/14
気分が落ち込んだり、肩こりや頭痛がひどくなったり、憂鬱な体調不良に見舞われる方は非常に多くいます。鎮痛剤を服用して一時的には痛みは和らぎますが、しばらくするとまた痛み出す、倦怠感が再発するという辛い状態が繰返される経験があると思います。病院で診察を受けてもはっきりとした原因がつかめないために、益々気持ちが落ち込んでしまうのです。実は天気痛が原因であることが考えられます。
天気と体調の因果関係を探ることが解決の糸口になります。実は、気圧の変化が人間の身体に反応するためです。特に季節の変わり目に天気痛が多くなります。それは気圧の空気の重さが激しくなる時期だからです。この気圧の重軽に敏感に反応するのが、自律神経の交感神経と副交感神経です。交感神経と副交感神経に作用する器官が耳の内部にある内耳です。内耳が気圧の急激な重さに反応し、更にその奥の前庭神経も刺激され、神経伝達物質が放出され、脳の血管が炎症を起こすことで頭痛となります。また、自律神経に刺激を与えることで、自律神経のバランスが崩れ、痛みの神経を刺激するというメカニズムで、頭痛や肩こりめまい倦怠感などの症状となります。
そこで、このメカニズムの相関関係を調べることが大切です。1つの方法としては、カレンダーに今日の天気マークを記し、低気圧か高気圧かを記しましょう。そしてその日の体調を記します。【記入例 ☁~☂・低気圧重・頭痛強】この様に毎日記録していくと、天気気圧と体調の相関関係が浮き出てきます。次の1週間の天気予報を予め確認しておくと、体調不良の予知に役立ちますので、早めの予防が可能となります。
①耳のマッサージで内耳の血行促進
耳のマッサージを行うことで、内耳のリンパ液を潤滑させることができます。それによって、血行が促進され、あわせて自律神経のバランスがよくなることで、体調不良が緩和されます。
【耳のマッサージ方法】①両耳の上を摘まんで、上に引っ張り上げます。(5回繰返す)②両耳の横を摘まんで横にぴっぱります。(5回繰返す)③両耳たぶを下に引っ張ります。(5回繰返す)④両耳の横を摘まみながら、後ろ回りにぐるぐる回します。(5回転)予防効果が期待できますのでお試し下さい。
②自律訓練法で自律神経のバランス調整
自律神経(交感神経アクティブ時)と、(副交感神経リラックス時)のバランスをとることにより、1日を安定した精神状態で過ごすことができます。体調維持に効果的です。自律訓練法の具体的実践はカウンセリングルームこころ日で指導しております。お気軽にお問合せ下さい。
未成年者とスマホの係わりについて 2022/4/1
私たちにとってスマホは絶対的生活必需品となりました。大人の必需品であったものが、今や未成年者まで必需品となるまでになりました。スマホが手元にないと不安に駆られるという、心理を感じたことはどなたにもあると思います。例えば、現金がなくてもスマホでOK、キャッシュレス化です。もはやスマホは精神安定剤となっているのです。人間の心を支配している魔法のアイテムといっても過言ではありません。それだけに、扱いを間違えると取り返しがつかないことに気づくことが大切です。
未成年者にスマホを与えることは、保護者に責任があります。保護者の管理の下で、正しく使用させなければいけません。ところが、未成年者にスマホを与えっぱなしで、放置してしまう保護者が多いことに驚かされます。スマホを与える功罪について確認します。
未成年者にスマホを与える長所としては、①緊急時の安否確認連絡手段です。電話やLINE、ショートメッセージによる伝達ツールです。②SNSによる情報収集です。FACEBOOKやTwitter、Instagramなどによりグローバルに人と繋がります。リアルタイムに対応してくれるスマホは手放せない分身です。
とても便利なものですが、扱いを一歩間違えると厄介なことになってしまいます。スマホに支配されてしまう危険性が高いということです。ゲーム依存が代表例です。ゲームは誘導性が高く、人間の欲に深く進入してきて中毒性が懸念されます。また、課金という罠が張り巡らされていますので、その網の目に引っかかって取り返しがつかない事態に発展するリスクが生じます。扱い方を一歩誤るとスマホはトラブルメーカーとなります。ゲームに熱中するあまり、家族との会話は減り、勉強時間も激減する悪循環が生じます。親子のトラブルの90%がスマホに係わっているのです。
未成年者にとって、スマホのトラブルは、学齢によって異なります。小学生の場合は、取り扱いの不備から故障や紛失が多いのですが、中高生になると、ゲームによる課金トラブル、有害成人向けサイトへのアクセス、出会い系サイトによる顔の見えない繋がり、SNSによる誹謗中傷トラブル、スマホ依存症、セルフコントロールなど、事態は深刻になっていきます。
保護者よりも未成年者の方がスマホのテクニカルを会得しています。スマホを与える側の保護者がスマホという機器を未成年者に与え放置、後追いで対応している現実があります。それでは、未成年者のスマホトラブルは解消されません。保護者のスマホに関するリテラシー(適切に理解解釈する力)を養い、スマホの安全性について親子で話し合うことが初めの一歩となります。後手になる前に、スマホの罠にはまらないように心掛けることが肝心です。
令和4年4月1日より、18歳成人となり、親の同意がなくても自分の責任で契約ができるようになるということです。返せば、一定の責任が課せられます。多くの18歳成人の方々は自己収入がないわけですからトラブルになる前に、セルフコントロールからペアレンタルコントロール(家庭内における親子で話し合ってルールを作る)を心掛けて下さい。
スマホ依存症は、カウンセリングによる心のメンテナンスを行うことをおすすめします。
適応障害の見極めについて 2022/3/15
現代社会において、適応障害という言葉を耳にする機会が多くなりました。時間軸のスピードが速くなり、情報が氾濫し、成果主義による目標達成という両刃を突きつけられる世の中になり、ふと気づくとその渦中に飲み込まれている自分がいることに呆然としてしまいます。
今の社会構造では、誰もが適応障害に罹り得るのです。他人事ではない社会病と言っても過言ではありません。
適応障害は、「とらわれ」によって起こる障害です。社会的人間関係や家族関係、経済的環境などによる「嫌な思い」「辛い思い」に「とらわれ」から端を発します。「今の社会構造では、誰もが適応障害に罹り得る」と記しましたが、つまりは、私たちの心身には常にストレスが負荷されています。そのストレスを感じる強弱が適応障害発症の境界線となります。
一例として、職場にてチームで仕事をしていて、上司からミスを指摘され叱責されても、Aさんは、次取り戻そうと発憤しましたが、Bさんは、深刻に受止めすぎて意気消沈してしまいました。その結果、チームから離脱したばかりか、思い詰めて出社できなくなり休職となりました。まさに「とらわれ」です。この様に、人によりミスによる叱責の受止め方やストレスの感じ方が異なることにより、適応障害に向かってしまうわけです。Bさんは職場を離れたことで、そのストレスから解き放たれ、普段の自分を取り戻しましたが、いざ出社となると「とらわれ」から気持ちが沈んでしまうのです。同僚は「怠けているのか」「甘えているのか」とBさんのことを勘ぐり、なかなか理解してあげる事はできないわけです。実際は決して怠けているわけではありませんが、周囲の理解が得られないまま、冷たい視線に耐えかね結局退社に追い込まれました。
この事例のように、人間は受けるストレスに対処できる適応能力の人と、対処できない適応能力の人がいることを理解することです。それは積み重なるストレスの重軽によっても異なります。適応障害の見極めはストレスへの抵抗力(耐性)を見極めることです。
限界まで頑張りすぎると自律神経が乱れて心の安定バランスが崩れます。ですから、日頃からストレスを溜め込まないように、メンタルヘルス、セルフコントロールを心掛けることが大切です。
カウンセリングによる心のメンテナンスを行うことをおすすめします。
潜在意識と日常行動について 2022/3/1
潜在意識は脳裏に潜んでいて、日常生活における言動や思考を支配しています。人間の意識全体の90%を自覚できない意識が締めています。
潜在意識は、人間の誕生から幼児期までの間に習得した体験が脳裏に固着し、その情報が日常生活における言動や思考また行動に無意識に反映されます。ですから、幼児期の教育は非常に大事になりますし、その後の人間形成に良きも悪きも大きな影響を与えます。人間には恒常性(生理機能が一定に保たれる性質のことで、例えば、神経系や内分泌系の機能連関により維持されること)があり、常に恒常性の範囲の中で日常生活を営んでいます。ところが、想定外の事態が自分に降りかかってきた時に、そこから逃れたい、回避したいという行動に表出します。この心理状態も恒常性の表れで、自身の潜在意識が働いているのです。また、人間は自分の実力を潜在意識の中でコントロールしています。ですからこれ以上は無理との認識が行動や言動を制約します。
自己否定はまさに過去の潜在意識から発生していることに気づくことです。起こってしまった過去の出来事は変えられませんが、自己否定から自己肯定へと意識をシフトチェンジすることは可能です。例えば、「できない」から「できるようになる」という意識、「どうせ駄目だろう」から「継続は力なり」という意識、「でも!また」から「よし!今度こそ」という意識など、ポジティブな言葉で脳裏に潜む潜在意識に上書きすることで、意識改革が可能となります。
理想の自分像を描くことが大切で、その意識付けを心掛けることです。前向きな日常生活における言動や思考を心掛けることです。そして、疑心暗鬼になっている自分から、自分を肯定し信じる気持ちを持つことが潜在意識を克服するきっかけとなります。人間の脳裏を支配している潜在意識は90%です。その潜在意識を捨て去ることで、これからの日常生活における可能性は90%拡大することを心にとどめてください。以前事例紹介で記した自己教示法により、潜在意識の固着から解き放たれて、自分の未来像を描き進んでいく顕在意識付けができるでしょう。
フレイルの予防について 2022/2/16
フレイルとは、年齢的加齢や基礎疾患の持病を持った方が、ストレスを感じ、免疫力の低下を引き起こす心身の機能低下に陥る状態のことです。糖尿病・高血圧・心血管疾患・慢性腎臓疾患などの持病を抱え治療中の方々は留意が必要です。
フレイルによるリスクは、心身機能の低下に伴い生活機能が困難になっていくということです。このリスクを軽減するためには、生活習慣の改善や治療、リハビリなどにより改善できることがわかってきています。フレイルは、介護が必要とまでには至らない心身の境界線状態ということになります。
フレイルの原因としては、心身の状態と社会的状態があります。心身の状態では、認知機能の低下や運動機能の低下が見られます。また、社会的状態では、心身の状態の悪化により、外出が困難となり、家中に留まる生活が多くなります。外的刺激が少なくなることで、認知症が進行し、自閉的な精神状態になります。ですから、フレイル状態になる前に、早期発見早期治療が大事になります。
フレイル状態における注意点は、転倒による骨折、頻尿、神経衰弱、動悸、高血圧症、認知機能低下などが顕著に表われてきたら要注意です。
フレイル状態の診断基準は、ジョンホプキンズ大学のリング・フライド氏が提唱する基準が用いられます。
①体重減少②倦怠感③筋力低下④歩行速度減速⑤身体活動量の低下の5項目中3項目以上該当するとフレイル状態と判断します。また、基礎疾患があり、特に脳梗塞・内臓疾患・心臓疾患・高血圧症などがある場合は、CT・MRIや血液検査による診断が大切です。
フレイル状態を改善する特効薬はありませんが、基礎的な生活習慣の見直しによる改善や身体機能訓練などにより、現状悪化を防ぐことが大切です。①食生活では栄養バランスに留意する。②適度な運動を心掛ける。③人との係わりを持つ。④良質な睡眠を維持する。などを心掛けることです。大切なことは、フレイル状態に至る危険因子を摘み取ることです。そして、心身の機能が低下しないように日々の生活に気をつけることです。普段と違う心身の状態が検出されたなら、病院で検査をすることです。毎日の健康管理を怠らないようにすることが大切です。心に不安を感じるようになったら、カウンセリングを受けて、心の不安に寄添ってもらうことも大事なことです。
自分ひとり時間と機嫌の関係について 2022/2/3
誰にも制約されずに自分時間を満喫できた時は、充実感や満足感で心情的に機嫌が良くなるものです。時間に制御されるのではなく、時間を制御できるからです。時間の使い方を自分で優先順位を付けて埋めていけるからです。
ところが現実は、私たちの日常生活ではなかなかその様にはいきません。それは自分を取り巻く外的要因が時間を制御しているからです。例えば、毎日のスケジュールが予めセットされているために、その制約にあわせる必要が出てきます。それは自分の義務責任としての行動になり縛りとなります。嫌でもスケジュールを熟さなければいけないわけです。そこにフラストレーションやストレスが付加されます。
やらされているという気持ちが不機嫌にさせるのです。社会生活を営んでいる以上仕方がないことですが、諦めずに少しでも自分のひとり時間を取り戻して、機嫌の良い自分を取り戻したいものです。
1日24時間の中で、自分ひとり時間を如何に作り出すか!自分ひとり時間とは、自分と向き合う時間のことで、いくつか列挙します。
①朝1時間早く起床して、その1時間を自分のやりたいことに費やしましょう。
②時間を決めて、スマホの電源をマナーモードやOFFにすることで、外的刺激をシャットアウトして、自分に意識を集中させましょう。
③休日は、日常のルーティンワークから自分を解放して、好きなだけ自分ひとり時間を趣味や普段できないことに費やし、自分の心を解きほぐしましょう。
④自分の居場所を確保して、ひとりになれる時間を演出する。自分と向き合い静寂の中で、心を整える時間を作りましょう。
⑤バスタイムでリフレッシュすることも、大事なひとり時間になります。全身を洗い流すと同時に、今日不快に感じたことや、嫌な思いを同時に洗い流して、気分転換することもいいでしょう。
ひとり静かな環境で、自律訓練法をすることは、自律神経の安定をはかるのに最高の方法です。1日5分から10分程度の自律訓練で、交感神経の高揚を鎮め、副交感神経優位にすることで、気持ちが落ち着きます。不機嫌な気持ちを機嫌の良い自分に回復してくれます。
自律訓練法は、心の中で言語公式を唱えますが、前向きな言葉を発することで、ポジティブな心理状態に誘導してくれます。自分のご機嫌を自分で作ることができます。自分ひとり時間は、誰からも干渉されない唯一無二の時間です。素の自分になれる時間なのです。わずかな時間ですが、ひとり時間を作り出せる人ほど、機嫌の良い自分でいられます。
ミドルエイジからの4つの生き方について(Part4) 2022/1/30
人生も中間点に差し掛かろうという40代以降の人生設計をどの様な価値観に基づいてプランニングしていくのか、第二の人生設計を練る時間を作って下さい。
真理探究型のプラン
物事の本質を探求するタイプの人は、どうしても自分の思考に固着して融通が利かないケースが出てきます。従って、職場においても相手の立場や、意見に対しても軽視する傾向が顕著で、なかなか共感を得にくい立場に追いやられてしまいます。「自分の考え方が正論である」と一歩も譲らない姿勢が、周囲との関係を益々悪くしていきます。やがて、職場でのコミュニケーションが円滑に図れないことで、心理的ストレスが溜まり、孤立状態から鬱になるケースも出てきます。
論理的に考え、自分の言っていることが正論と決めつけてしまうことが、自分自身を追詰めてしまうことに気付いてほしいものです。少数でもいいので、自分の考え方を理解してくれる人や、時に諫めてくれる人を作ることが大切です。ただし、その前提条件として、相手の話に耳を傾け、相手の意見を理解しようとする寛容さを持つことです。【自分の考え方が正論】という固着を捨て、【自分の考え方も一案】という思考に変えることが大切です。
今までの考え方から、物事の視点を変えてみる。考え方の固着から脱却することで、第二の人生設計を練ってみることも必要です。物事の本質を探究することが得意なタイプの人は、資格検定やライセンス取得を志すこともいいでしょう。40代以降から、自分の誇れるライフワークとなるに相応しい資格を取得して、第二の人生にそして自身のキャリアに華を添えましょう。
ミドルエイジからの4つの生き方について(Part3) 2022/1/25
人生も中間点に差し掛かろうという40代以降の人生設計をどの様な価値観に基づいてプランニングしていくのか、大切なのは、自分のペースでスキルアップを図っていくことです。
社会性重視型プラン
人との絆を大切にし、社会に尽くすことに価値観を感じるライフプランニングです。社会性重視の人は、ボランティア活動や奉仕活動を行い、地域の人々とのコミュニケーションを大切に育むために積極的に活動するリーダー的タイプです。
ただし、人間関係で気を遣いすぎたりすることで、精神的なストレスが溜まることがあるので、無理をしないことが肝心です。【自分の力量で可能な範囲で楽しく】を原則とすることが大切です。平日は本業の仕事をやりこなした上で、休日はボランティア活動や奉仕活動を行うことで、趣味嗜好の共通する人と関わり、喜びを感じられるような時間を共有できることが大切です。
ボランティア活動の四原則とは、①自主性②社会連帯性③創造性④無償性です。
活動の領域としては、①環境関係②災害援助関係③訪問交流関係④朗読演劇関係⑤募金関係⑥制作技術関係などです。
ボランティア活動の心得としては、①自分の身の回りから②相手の気持ちに立脚③無理をしない④守秘義務⑤誠実公平⑤家族や職場の理解を得るなどです。
自主的に無報酬で行う活動で、人と人との結びつきを通して、互いの感謝の気持ちを共有・共感し合うことで、新たな出会いや発見、充実感が得られます。生き生き充実ライフを目指しましょう。
ミドルエイジからの4つの生き方について(Part2) 2022/1/13
人生も中間点に差し掛かろうという40代以降の人生設計をどの様な価値観に基づいてプランニングしていくのか、ライフプランをしっかり立てて、主体的に前進する気持ちが大切です。
趣味追求型プラン
趣味的な側面を最優先したライフプランニングです。文芸やスポーツなどインドア・アウトドアにかかわらず、自分が趣味として熱中できることを人生の最重要価値観として追求していくライフプランです。
勿論ケアしておかなければいけない大事な点は、本業の仕事を第一にすることです。第二に、趣味に所得をつぎ込んでしまい、基本生活に係わる経費を度外視するようなことは避けなければなりません。本業と趣味との収支バランスが均衡であれば理想的です。
ミドルエイジからスタートした趣味追求が、シニアそしてシルバーと年期を重ねることで、熟練した技を身に付けることができます。自己にライフワークとしての付加価値を付けることができるのです。
また、趣味を徹底的に極めることにより、本業にも励みとなり、相乗効果が期待できるのです。例えば、趣味を通じて習得したノウハウを本業にも応用できる可能性があります。益々人生の夢は膨らんでいくことになります。ミドルエイジからのわくわく感が芽生えますし、自己肯定感がみなぎります。
留意点としては、趣味が高じて家庭を顧みなくなるような人生は危険です。単身で誰にも迷惑がかからなければいいのですが、家族を路頭に迷わすことだけは避けなければいけません。
本業での人間関係に止まることなく、趣味から生み出されたヒューマンネットワークの広がりにより、より充実したライフワークが構築されます。本業と趣味の二足のわらじで魅力的な人生が送れることでしょう。
ミドルエイジからの4つの生き方について(Part1) 2022/1/7
人生も中間点に差し掛かろうという40代以降の人生設計を、どの様な価値観に基づいてプランニングしていくのか、大切なのは自分の価値観をしっかりと持つことが求められます。
経済優先型プラン
経済的な側面を最優先したライフプランニングです。リーマンショックを経験した世代でリストラや非正規雇用、経済的不安を抱えた世代にとって、今後経済的安定は最優先課題です。
先ずは、定年までの今後の生涯獲得賃金や、その後の基礎年金と厚生年金額を把握することが大切です。更に現預貯金額を確認することです。
先々遺産相続という大きな精算作業により、精神的ストレスも溜まります。あらかじめ対応策をシミュレーションしておくと精神的負荷は軽減されます。【備えあれば憂い無しです。】
経済優先型では、より合理的な人生設計を立てることも可能です。早期退職によって得た退職金を起業や投資運用に舵をとり、運用益を増やすという方法も考えられますが、一歩誤ると、莫大な損害を出しすというハイリスクを背負うことにもなります。つまり目の前の細かい利益や数字に囚われすぎて、冷静な客観的判断ができなくなることになります。留意すべきは、ハイリターンの裏にハイリスクが存在することを知っておかないといけません。落とし穴には気をつけましょう。
ミドルエイジ、その後の人生設計に必要なのは、お金の使い道が人生の豊かさを左右明暗を分けるということを肝に銘ずることです。心に潤いのある人生設計を心掛けて下さい。
カサンドラ症候群について 2021/12/12
そもそもカサンドラの由来は、ギリシャ神話に登場するトロイの女王の名前です。彼女は予言者でありながら、呪いをかけられることにより、彼女の予言を誰も信じなくなってしまったのです。
発達障害の中で、アスペルガー症候群(自閉症に見られる特徴として、社会的コミュニケーションの障害や興味や活動の偏りがあり、知的障害や言語発達の遅れがないことで、自閉症と区別され、ちょっと変わった人程度に見なされてしまう)があり、女性よりも男性にアスペルガーが多いため、夫への苦悩を他人に説明しても軽視されてしまい、精神的身体的な支障が生じることで、前出のトロイの王女の名前から、カサンドラ症候群という名前が付けられました。男性よりも女性の発症が多いのです。
カサンドラ症候群は、アスペルガーの夫に対して、うまく距離感を保てず、意思の疎通が困難な状態に行き詰まり、相互関係が上手くいかず、不安や鬱的状況に陥ってしまう状態のことです。つまり、当事者が精神的苦痛を抱えたまま、孤立した状態におかれることなのです。
カサンドラ症候群は病名ではありません。夫婦間意外にも、家族間や職場での人間関係においても生じます。カサンドラ症候群になりやすい人の性格には、真面目・辛抱・我慢強い人に多いようです。アスペルガーの夫に対して、献身的に尽くし我慢強く理解しようとする気持ちが機能せずに、夫との距離感が上手に保てなくなることで、不安症・気分障害・鬱的症状が表出してくるのです。
不安症や鬱的症状が表出したカサンドラ症候群に対する治療としては、薬物療法や認知行動療法による対応が出てきます。薬物療法は対処療法ですので、夫婦互いの理解と思いやりを共有することが大事であり、そのためには心理療法によって精神的なサポートを行う側面から、カウンセリングが有効な改善方法と言えます。カウンセリングによる認知行動療法でアプローチすることが一手となります。第三者(カウンセラー)入れることで、アスペルガーの夫とカサンドラ症候群の妻とのコミュニケーションの融合をはかることも有効です。互いの行動の理解を深め、互いに尊重し合う絆を持つことが大切で、夫婦で孤立しないことが肝心です。
社会不安症(対人恐怖症)を乗り越えるについて 2021/12/1
社会不安症とは、以前は対人恐怖症と呼ばれていました。対人恐怖症は、正式な疾患名ではないのですが、両者の位置づけについては、医学界でも考え方は異なり、曖昧な部分が残っています。
この疾患は、日本人の場合、日本の社会生活習慣や日本文化の思想に影響を受けています。「恥じらい」「奥ゆかしく」「控えめ」と言ったように世間体や人目を気にする気質が反映されています。
自分が他者を不愉快にさせていないか不安?どう思われているか心配?他者の視線を感じるあまり、不安感に苛まれるといった、思考や感情が反映されます。
どなたにも緊張する場面はあります。壇上に上がって表彰された時、人の前で自己紹介やスピーチをする時などは、視線が注がれるだけに緊張するものです。「失敗したら恥ずかしい」「みっともない」と言った自己否定の感情が脳裏に出てきます。そうすると、緊張状態が過度になり、身体的症状としては、震えや貧血、動悸、恐怖感などが襲うようになり、その反映として常に社会生活に悪影響が生じるようになると、もはや、疾患(社会不安症・対人恐怖症)と言うことになります。
また、社会不安症や対人恐怖症を度々繰返すことで、精神的症状としては、他人の視線を意識し恐れる(強迫観念)ようになり、他人に気づかれまいとおびえ、更に不安は増大(負の連鎖)するのです。
社会不安症や対人恐怖症の原因としては、以前人前で恥をかいて恥ずかしい思いをした事が記憶として脳裏に残り、PTSD心的外傷後ストレス障害を引き起こすことが要因となることがあります。
治療法としては、心理療法として認知行動療法が効果的です。物事を自己否定的に捉える事が要因ですので、物の考え方や捉え方、見方を現実的に捉える事により、自己を肯定するように仕向け(暗示)、不安感や恐怖心を克服していくトレーニングを行っていきます。
一方、薬物療法としては、抗うつ薬や抗不安薬などで、不安や恐怖心を和らげる効果が期待できますが、根本的に治すことはできません。
心理療法と薬物療法を併用することにより、症状を軽減させながら、成功体験を積み重ねていくことで、人前でも自信を得ることができます。自己肯定感を獲得することで、不安は解消されていきます。慌てず一つ一つの場面をクリアして自信をつけていくことが大切です。
過保護から一転突き放しへの弊害について 2021/11/19
父親が単身赴任や家庭を顧みない仕事優先の家庭環境においては、母子関係が強くなり、母子共生的な絆が生まれます。幼少期には取り立てて問題は起こりませんが、12歳前後から思春期に入る子供達は、自我の目覚めから自立心が芽生え、徐々に親離れをしていきます。とりわけ母親からの離脱が顕著です。
思春期までに過保護に育てた子供の場合は、厄介な問題に突き当たるケースが多くなります。その1つが家庭内暴力というかたちで表出します。その要因が、幼い時に親が何でもかんでも手を出してお膳立てしてしまう事に起因します。子供が失敗しないようにという親心なのでしょうが、その心配症が災いを生んでしまうのです。そもそも、子供は失敗を繰返しながら教訓を勝ち取り、創意工夫をして成長していきます。時間はかかりますが、それが思春期を迎え、自立するための礎となるのです。幼少期の過保護により、親はそのチャンスを子供から奪ってしまうことになります。
過保護に育てられた子供は、社会性や協調性、また、基本的な生活習慣が身につかないまま、成長してしまいます。
思春期を迎えた子供の反抗は、親にとってはなすすべがありません。対応に苦慮し、挙げ句の果てには、過保護から突然の突き放しへと態度が一変するのです。ところが、子供は今までべったりの母親が急に放任するかのような態度をとり続けることに対して、自分は見捨てられたと誤認し、親を逆恨みするようになるのです。その結果、言語的発達と動作的発達とのアンバランスから、親への暴力となって表出します。
思春期の子供の心は不安定に揺れ動いています。身体と心のバランスが均等に保たれていません。親が心掛けることは、過保護養育から子離れへのプロセスを誤らないようにすることです。親は子供の発達年齢を考えながら、子供との距離感を少しずつ離していくことが大切です。
成長過程にある子供の心は大変ナイーブです。親の対応次第で、子供の未来は大きく変わります。子供の健やかな成長を願うのが親の本望です。思春期の子供の心模様を敏感にキャッチしてあげることが何より大切です。
基本は内臓健康と必修食品の摂取について 2021/11/3
脳と腸は神経細胞を介して相関しています。ですから、腸内細菌は内臓の健康のために大変重要な役割を果たしています。腸には免疫細胞の60%が存在しているというデータが示されました。内臓は生命の礎ということです。
初めに、腸内環境を考えた食事では、根菜類に含まれる食物繊維を沢山摂取することが大切です。根菜類意外では、玄米・五穀米・押し麦・発酵食品・そば・根菜・緑黄色野菜・青魚・海藻などがあります。調理方法を変えることで、飽きずに食べることを心掛けて下さい。これらの食物には、食物繊維が豊富に含まれています。また、腸内細菌の餌になる食物繊維も豊富に含まれています。アジやサバには不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
次に、腸内環境を考えた生活では、生活習慣を規則正しくすることが重要です。その中でも睡眠時間は十分にとり、自律神経を休めることが大切です。また、適度な運動もストレスを軽減させる効果があり、腸内の活性化に大きな役割を果たします。
脳腸相関は、脳の調子が腸に作用し、逆に、腸の状態も脳に作用すると言うことです。食事を摂ることで生命を維持しますが、身体に悪い物を摂取することで、健康を害してしまいます。健康に有用な食品を摂取することで、健康な身体が維持できるのです。突き詰めれば、毎日食べる食物を消化吸収する内臓の働きが基本となります。従って、内臓の健康は脳の健康へと繋がって行くのです。
大事なことは、今まで軽視していた生活習慣を見直して、改善する努力をすることです。何事も行動に移さないことには始まりません。
鬱病予防の食事について 2021/10/23
以前、脳腸相関関係について記しました。脳と腸は密接に連携しています。脳の働きを健全に保つためには、健康な腸の働きが欠かせません。
鬱病は、精神伝達物質であるセロトニンの不足が原因となります。セロトニンの中でもとりわけドーパミンの放出が損なわれると、意欲や集中力ややる気が失われます。
そこで、セロトニンの活性化を促す食品として、次の5品目を摂取することを心掛けて下さい。
①野菜(葉物・にんじん・ブロッコリー・アボカド)②果物(バナナ)③豆類(大豆食品)④穀物(玄米)⑤魚(マグロ・青魚・海藻)
鬱病は、生活習慣病です。一日の食生活が乱れがちな人に多く検出されます。特に朝食を省いたり、偏食を繰返す人に多く検出されます。
大切なことは、一日の始まりは朝です。朝食をしっかりとることで、身体の活動に十分なエネルギーを供給することです。つまり、朝食を軽視することは、健康な心身を維持できないと言うことです。
そもそも人間の体内時計は、起床後に太陽紫外線を浴びることでリセットされます。自律神経の交感神経が活動します。また、人間の最も有効な活動時間は午前中なのです。ですから、朝食をしっかり摂取することで、身体にエネルギーが行き渡り、活発な働きが可能となるのです。
朝食の内容としては、洋食であれば、パン(全粒粉)です。和食であれば、玄米食です。どちらもビタミンが豊富に含まれています。副菜としては、サラダ(葉物)、味噌汁(わかめ)などには、葉酸や鉄分が豊富に含まれています。アジの開き(DHA・EPA)、納豆(亜鉛)、卵料理(アミノ酸)などが含有されています。ヨーグルトはビフィズス菌の善玉菌によって腸の活性化を促します。
健康な心身を維持するための大事な一歩が朝食と言うことをご理解頂ければ幸いです。あわせて、規則正しい生活習慣を心掛けることも大事な予防になります。
心の不安はデリケートです。気持ちの落ち込みが大きい時には、カウンセリングを受けることをお勧めします。
自律神経自己診断とセルフコントロールについて 2021/10/12
自律神経の状態を以下の項目で自己診断しましょう。当てはまる項目が3つ以上あれば自律神経が乱れている可能性がありますので、セルフコントロールをして調整することをおすすめします。
【自己診断】
□目覚めが悪い □起床後も疲れが抜けない □朝食食欲不振
□朝やる気がおきない □気が重たい □顔色が悪い
□肩や首筋がこる □頭痛がある □腰痛 □不安を感じる
□動悸がする □下痢や便秘で整腸不良 □胃がもたれる
□冷え性 □緊張しやすい □気分がイライラする
□集中できない □微熱が続く □寝付きが悪い □寝汗をかく
【セルフコントロール】
1:朝食前に120㏄の情温水を飲みましょう。
胃腸が刺激され、副交感神経の働きが高まり、自律神経のバランスが調整されます。
2:1日3回の深呼吸を行いましょう。
ゆっくり吸って、ゆっくり長く吐く(1:2の割合)で、1回1分間繰返します。
3:遠方の景色を眺めましょう。
気道が広がり、呼吸が楽になります。同時に酸素量が増えるので、血管が広がり血液のめぐりが良くなります。
4:今日の課題を決めましょう。
今日中にやることを1つ決めて、必ずやり遂げることで、達成感を得ることができます。集中力を高めストレスの解
消となります。
5:スローライフを心掛けましょう。
慌てない・焦らない・急がない、を心掛けて行動しましょう。慌てることで自律神経の交感神経が高ぶり
血圧が上がってしまいます。
6:軽い運動を行いましょう。
ウォーキング・体操など有酸素運動を行うことで、血行を促進させます。
7:今日のことは今日のこととして完結させましょう。
今日一日の出来事を明日に引きずらず、気持ちの切替えを心掛けましょう。
心と身体の調和を保つ自律神経について 2021/10/1
気持ちがイライラする。気分が落ち込む。身体がだるい。気力が出ない。食欲がないなど身体の不調を感じるときは、自律神経の疲弊が原因ではないかと疑ってみることです。
自律神経は交感神経と副交感神経によって機能しています。交感神経が集まって塊となっているところが太陽神経叢と呼ばれています。太陽神経叢の場所はお臍の奥の方で、中枢は視床下部にあり、脳と内臓を結びつけています。ですから、自律神経が不調になると内臓の働きが悪くなるのです。
交感神経は活動しているときに優位に働きます。逆に副交感神経は就寝時などに優位に働きます。ですから、交感神経と副交感神経が交互に優位に調和された状態が、人間にとって快調な状態といえます。
1日24時間を3分割し、仕事勤労が8時間、睡眠時間が8時間、余暇が8時間とします。仕事時間は交感神経が優位な状態です。睡眠時間は副交感神経が優位な状態です。余暇の時間は交換神経と副交感神経が互いに優位な状態を作り出します。自律神経の調和(バランス)がとれているわけですが、残業続きで仕事勤労が12時間、睡眠が6時間、余暇が6時間では、交感神経優位の時間が副交感神経優位を上回り、その結果として、心身に疲労が蓄積されることにより、体調不良を引き起こす要因となります。ですから、規則正しい生活習慣を維持することが、自律神経を安定に保つ秘訣と言うことになります。現代社会の場合、さまざまなストレスやフラストレーションが私たちにのしかかってきます。心身のセルフケアを心掛けることが重要になってきます。
例えば、ウィークデーは交感神経がどうしても優位になりがちで、自律神経が乱れがちになります。ホリデーにセルフケアやメンタルケアを意識して行うことで、副交感神経を優位に保ち自律神経の疲弊を回復させることが大切です。睡眠・散歩・レクリエーション・趣味満喫など、リラクゼーションすることで、副交感神経を優位に保つように心掛けることが大切です。
10代20代は若さでリカバリーできますが、男性は30代、女性は40代を過ぎると、副交感神経の機能が落ちますので、その結果、心身の調和を保つことが難しくなってきます。年齢を重ねるごとにその状態は顕著になっていきます。
コロナ禍での生活様式の変容も、自律神経の乱れに追い打ちをかけています。自律神経の調和は心身の健康維持には欠かせません。調和が乱れることによって、免疫力も低下します。免疫力の低下は、抵抗力を失いますので、ウィルスに感染しやすくなってしまいます。
自律神経は、身体全体のコントロールを担っているわけです。従って、私たちは日々の生活習慣を再チェックすることで、リスクを回避することに努めたいものです。
カウンセリングルームこころ日では、自律神経の調和を保つための自律訓練法を行っております。
レジリエンス(精神的回復力)について 2021/9/9
レジリエンスとは、精神的回復力のことで、自発的治癒力を意味します。言い換えると【生き抜く力】と言えます。
人生には、さまざまな障害がつきまといます。特に予期せぬ事態に遭遇した時に受ける精神的ショックは、その後の人生に大きく作用します。新型コロナウィルスの猛威はまさに予期せぬ事態です。
天災人災問わず、私たちの心のより所を取り戻すためには、多くの時間を要しますし、人によって精神的回復力には違いが生じます。
困難に遭遇したときに、すぐさま克服する術を模索する、前向きな精神力を養うことが大切です。
レジリエンス(精神的回復力)は、トレーニングによって会得することができます。そもそも、人によって精神力には強弱があり同一ではありません。打たれ強い人もいれば、心が折れやすい人もいます。つまり、困難に遭遇した時の受止め方で、レジリエンスが異なってきます。わかりやすく表現すると、ポジティブ【プラス思考】かネガティブ【マイナス思考】か、ということです。困難という壁に対して自分がどう向き合うかで、その後の展開は大きく変わっていきます。自分の思考ひとつで肯定感にも否定感にもなるのです。レジリエンスはまさに自身の精神状態をプラスにコントロールする力です。
困難に直面した時の受止め方や考え方が、マイナス思考になりがちな人は、自分の受止め方や考え方を修正することで、自身の精神状態やストレスを回避することがでるでしょう。
例えば、「もはや策がない、万事休す、目の前が真っ暗だ」と悲観的になってしまうことで、立ち直ることが困難になりますが、「自分一人で悩んでも解決の糸口が見つからない、人のアドバイスを聞いてみよう。何か解決のヒントが得られるかも知れない」というように、捉え方を変えることで、困難に対するレジリエンス回復力が強くなるのです。
困難に対する精神的弾力性及び自然的治癒力を備えることで、ストレスに対する適応力をつけることができます。
先ずは、自分の思考傾向を理解することで、困難を克服するレジリエンスを身に付けることが大切です。
ストレスマネジメントについて 2021/9/1
ストレスは外的刺激によって、心身の内部に生じる反応です。その反応にはさまざまな症状があります。ストレスに対して、上手に対処し回避することをストレスマネジメント(ストレス管理)と言います。
ストレスを感じる背景に、ストレッサーがあります。このストレッサーの作用によって、私たちの心身にはさまざまな症状が表出します。このストレッサーの正体を知ることがストレスマネジメントには重要なポイントとなります。
ストレッサーの正体を大きく5つのカテゴリーに分けました。
①肉体的ストレッサー ②生活的ストレッサー ③環境的ストレッサー ④疫学的ストレッサー ⑤物理的ストレッサー この5つのカテゴリーの中で、私たちが強く反応するストレッサーがストレスとなって心身に表出します。
例えば、①に起因(肉体的ストレッサー)する人は、生活習慣の不摂生によって、頭痛・めまい・不眠・偏食・倦怠感などのストレス反応が出ます。②に起因(生活的ストレッサー)する人は、人間関係や過重労働によって、鬱・不安・集中力低下・気分変調・偏食・不眠などのストレス反応が出ます。③に起因(環境的ストレッサー)する人は、身の回りの生活環境によって、イライラ・恐怖心・鬱・不安・気分障害などのストレス反応が出ます。④に起因(疫学的ストレッサー)する人は、免疫力の低下によって、食欲減退・不眠・鬱・性欲減退などのストレス反応が出ます。⑤に起因(物理的ストレッサー)する人は、さまざまな制約によって、イライラ・不眠・気分障害などのストレス反応が出ます。
この様なストレス反応を最小限度に回避することが大切です。ストレスマネジメントの方法には多種ありますが、ここでは、オーソドックスな方法を1つ紹介します。
①現在の自分の状態を確認する。→失業状態⇔不安
②何が原因となってストレッサーを感じるのかフィードバックする。→仕事に就きたいが、仕事が見つからない⇔焦り
③そのストレッサーから起こるストレスの状態を確認する。→不安で不眠状態・気分の落ち込み・鬱・イライラ⇔苛立ち
ストレスマネジメントの効果は、現在の状況を客観的に俯瞰的に確認することで、①慌てても事態は好転しないことを認識する。②じっくり腰を据えて、求人を探す努力をすることが最善の解決策であることを悟る。①②により、精神的圧迫を回避することができますし、プレッシャーからの解放によって、気分が楽になるなどの精神的効果が期待できます。
コロナ禍における楽観バイアスについて 2021/8/15
新型コロナデルタ株の猛威によって、首都圏を起点として全国各地へ感染が拡大し、災害的危機とまで言われています。もはや医療崩壊により、病床並びに医療従事者の確保が困難な状況にまで及んでいます。8月14日には全国の重症者が1521人となり、中等症・軽症の患者の多くは入院できずに、自宅療養を強いられている現状です。デルタ株の感染力の強さは言うまでもありませんが、ここまで感染が拡大した要因は何でしょうか。
実は、人間の心理を大きく左右する【楽観バイアス】があります。バイアスとは、物事を現実とは異なる歪んだかたちで認識してしまう現象を言います。楽観バイアスとは、物事を自身にとって都合良く解釈してしまうことです。危険な物事を目にしても、自身に危険が無いと考えてしまうことが楽観バイアスです。日常生活における心理的ストレスを軽減するため無意識に行われると言われています。
緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発せられている都道府県でも、一向に感染拡大が止まりません。特に20代・30代の感染が突出しています。その背景には、行動範囲の広さや、コロナに対する危機意識の希薄があります。「若者は重症化しない。感染しても無症状」という意識が蔓延していることが影響しています。これは、SNSなどで拡散された情報を自身の都合に合わせて解釈してしまうことが背景としてあります。情報の中身を精査せずに、自身の都合のいいように受止めてしまうのです。ワクチン接種にしても然りです。ワクチン接種による効能より、副反応が怖いというSNSからの情報やデマ・噂を優先してしまうケースが大変多いため、一向に若年層へのワクチン接種が進まないことが起因しています。
コロナ禍において、不要不急の外出自粛や、多数の会食の制限、マスクの着用など、さまざまな制約が出される中で、人々の忍耐にも限界が来ています。一方でSNSから発信される不特定多数の根拠のない情報が拡散され、人々に訴求します。そうすると人々はとっつきやすい方、自分が聞きたい方を心理的に取り入れるのです。この様に楽観バイアスとして存在していることを見逃すことはできません。
誰にでもある楽観バイアスですが、コロナ禍における楽観バイアスに対する対策の必要性を強く感じます。何事も冷静に客観視することが大事です。
コロナ禍で女性の7割が不安を抱えているについて 2021/8/1
東京新聞首都圏ニュース群馬版に掲載された記事を抜粋掲載します。
県ぐんま男女共同参画センターが実施(10代から70代)した「新型コロナウィルス感染拡大が女性に及ぼす影響に関するアンケート」で、約7割の回答者が「心身の変化があった」と回答していることが分かったと言うことです。
具体的な心身の変化について、「不安な気持ちで落ち着かない」(55.6%)、「ストレスから身体の調子が良くない」(36.6%)、「仕事に行きたくない」(23.3%)、「ささいなことで落ち込む」(22%)でした。
女性がコロナ禍で抱える精神的重圧が数値となって表われています。
また、生活や行動の変化については、「友達に会えなくなった」(75.1%)、「やりたいことができなくなった」(67.7%)、「食事の支度や掃除などの家事負担が増えた」(29.8%)でした。
コロナ禍で国や地府自治体から、不要不急の外出の自粛要請により家庭に籠もりがちになり、また、在宅勤務(リモートワーク)による自宅での食生活の負荷によって、女性の家事労働の時間が増えることで、肉体的・精神的に疲弊していることが数値となって表われています。
生活などの変化に関する自由記述では、「外出できず、家庭内で問題が発生した時に逃げられる場所がない」、「家族全員ストレスが徐々に溜まり、けんかが多くなった」が出ました。
四六時中顔を合わせることで、ストレスが溜まり、気分転換(リフレッシュ)する機会が失われることが、トラブルの要因となっていることが分かります。精神的に解放される、行き場・逃げ場が無くなり、八方塞がりとなっていることが分かります。
コロナ禍での日常生活の変容がもたらす、私たちの精神に及ぼす影響が、このアンケートからはっきりと読み取れます。不要不急の外出の自粛という要請が、無意識のうちに私たちの行動を萎縮させ、我慢することがストレスという精神的圧力となって出てきていることが分かります。
大切なことは、孤立しないことです。周囲にいる人との会話をなさって下さい。コミュニティーが心と心を繋ぎとめます。悩みを共有して、互いに励まし合うことで、気持ちが解きほぐされ、心が楽になります。自分一人で我慢する、堪え忍ぶことが精神的に一番よくありません。リスクコミュニケーションを心掛け、「助けて」と言える勇気を持って下さい。
人間関係を円滑にする為のスキル【エンパシー】について 2021/7/12
あらゆる場面において、人間関係で悩んでいる人は多いと思います。不登校・出社拒否・引きこもり・対人恐怖症・パニック障害・不眠・鬱病と人間行動にさまざまな症状が表出します。私たちが日常生活を営む上で、他者との関わりを断ち切ることはできません。そこで、エンパシーのスキルを身に付けることで、人間関係を上手に立ち回ることを知って頂きたいと思います。
エンパシーとは、他者の気持ちを思いやることで、そのために感情移入することです。例えば、子供が転んで骨折をした。その時、親は「痛いね、痛いね」とその痛みを共有します。子供は「親は自分の痛みを理解してくれている」と精神的ショックから解放されます。
あらゆる場面で役立つエンパシーについて、事例を挙げて考えてみます。
人間は物の捉え方も価値感も解釈も異なります。つまり、ベクトルが360度360方向に向いています。当然、ベクトルの方向が異なりますので、意見の対立による摩擦が生じます。そこで、エンパシーを発揮して頂きたいと思います。いきなり自分の主張を訴えるのではなく、相手の立場に立ってみる。相手は今どの様な立ち位置なのかを想像して、そこに自分を置き換えてみる。そして理解できる部分があることを認知する。これがエンパシーの【共感】と言うことです。
【上司と部下の関係のケース】
上司:「プレゼンの原稿は進んでいるのかな。進捗状況を教えてくれないか」
部下:「安心して下さい。進んでいます。」
上司:「期日が迫っているけど大丈夫かな」
上司は部下の返答に疑心暗鬼になっていきます。
上司:「プレゼンの原稿は進んでいるのかな。進捗状況を教えてくれないか」
部下:「安心して下さい。進んでいますよ。締め切り日が3日後なので、2日前には原案をお見せします。その時は原案の修正をお願いします。」
上司:「了解した。期待している。仕上がりを楽しみにしている。」
これで、上司と部下のエンパシーは共有され、信頼関係が整います。
【プロジェクトチームのケース】
メンバーA:「こんな重大なプロジェクトを任されたができるのか不安だ」
メンバーB:「不安は自分も同じ。君一人で行うわけではないから、チームの知恵を結集しよう。」
メンバーA:「確かにチームワークで頑張るぞ」
メンバーBはAの不安を感じとり、自分に置き換えて不安を共有しています。メンバーAはプロジェクトチームとの信頼関係を強く感じることができます。
エンパシーは、相手の立場に立って物事を考え、最良の答えを導き出すことで、互いの確執を回避することができるスキルです。このことで、人間関係が少しでも円滑に運べれば、頭を抱えて悩むことも、ストレスを溜め込むことも軽減されます。
依存症の怖さについて 2021/7/2
依存症とは、「やめたいのにやめられない」深刻な病気です。自分も苦しみますが、他者を巻き込んでしまう怖い病気です。特定の物に心を奪われて自分を見失い、底なし沼にはまり込んでしまいます。依存症は心の病です。
依存症には2種類あります。【物質への依存】と【プロセスへの依存】です。
物質への依存は、アルコール・煙草・禁止薬物など精神欲求に依存するケースです。一方、プロセスへの依存は、特定の行為から得られる高揚感や刺激に中毒症状をきたし、慢性化する状態です。プロセスへの依存は別名【行為依存】と呼ばれています。
依存症の恐ろしいところは、依存することにより日常生活が破滅することだけではなく、依存症患者の脳細胞に大きな障害を発生させます。このことは近年の研究で明らかになってきました。
さて、プロセスへの依存にはどの様なケースがあるのでしょうか。ギャンブル・株投資マネーゲーム・PCゲーム・通販買い物・不純性交・万引き・自傷行為などが代表的な事例です。
アルコールや煙草や禁止薬物などは、初めは少量を摂取しますが、刺激を求めて徐々に量を増やすことで、より強い過剰な刺激を求めていき、際限がありません。
一方、ギャンブル・株投資マネーゲーム・PCゲーム・通販買い物・不純性交・万引き・自傷行為などは、特定の過程や行為に過剰に夢中になる事で刺激を得、その行為にのめり込んでしまう情動です。
物質への依存もプロセスへの依存も、人生を破滅へと向かわせる危険性があります。まさに精神疾患です。
人生を破滅へと向かわせる危険性とは何でしょうか。それは、日常生活の優先順位を狂わせると言うことです。依存症に陥ることにより、その行為が絶対的最優先順位となります。依存症は昼夜問わずその行為に没頭します。人間生活の基本であるところの食事・睡眠・勤労がないがしろになるのです。
依存症は、進行性という怖い病気です。放置してしまうと、脳の回路が変異して、いざやめようと思っていても、もはや自分の意志では自重できない状態(コントロール不能)になってしまいます。
普通脳内で放出されるドパミンという快楽物質が、依存症により異常に放出されます。そして、中枢神経を刺激して快楽的な精神状態に誘導します。常習化することにより、その快楽的な精神状態を脳が認知し、絶えずその状態を維持しようとするのです。そして、それだけには止まらず、慣れてしまった興奮や快楽に対してより強い刺激を求めるようになっていきます。これが依存症の怖さです。
依存症は慢性疾患です。一度治ったかに思えても再発します。依存症患者にとっては、孤立することが一番危険です。周囲のサポートが大切です。自分をコントロールできなくなる前に、早めに専門医療機関に相談して下さい。
世代によって異なる鬱病の型について 2021/6/19
現在国内には約90万人の鬱病患者がいるといわれています。勿論、軽度・中等度・重度の違いはありますが、鬱病を発症することで、社会生活に支障をきたすため、患者は苦しんでいます。
症状としては、気分の落ち込みと、意欲低下、慢性的倦怠感や不眠症状、そして食欲減退といった症状が表出します。早期発見・早期治療が求められますが、なかなか自分では気付かずに放置して、重症化してしまうことがありますので、注意が必要です。
鬱病は、中高年期に多く発病すると言われてきましたが、近年では、青年期でも多く発病しています。その要因としては、社会構造の変革や、コロナ禍に起因する生活様式の変容や規制による孤立化など、人間の心身に多大なストレスの負荷が挙げられます。
鬱病の型には、大きく分けて2つあります。従来型鬱病と現代型鬱病です。
従来型鬱病は、40代以降の中高年者に多く見られます。従来型鬱病は、縦割り社会で上意下達の関係から、部下は自責の念が強くなり、自信喪失により自己否定することで、自らを精神的に追い込んでしまうのです。中高年という社会的責任を負わされる立場が背景としてあります。
一方、現代型鬱病は20代30代に多く見られます。外罰反応が特徴で、上司を批判したり、規制の枠からはみ出して抵抗したものの、思い通りには行かず、ストレスが溜まり、精神的抑圧が生じることが背景としてあります。
治療としては3つの方法があります。①心療内科や精神科で診察、投薬療法で治療します。②心身の休養です。③カウンセリングによる心理療法です。
①診察では、抗うつ剤を処方します。個人にとって合わない薬(副作用が強い)があるので、医師の指示に従って、正しく服用することが大切です。抗うつ剤にも従来型と新しい新薬型がありますが、どちらも症状の緩和が目的です。新薬型の方が副作用が少ないようです。
②心身の休養で大切なことは、良質な睡眠をとることです。十分な睡眠がとれない場合には、専門医の診察を受け、睡眠導入剤や抗不安薬を処方されます。何より自律神経を休めることが大切です。
③カウンセリングは、患者の気持ちを受止めてもらうことで、精神的に安堵することが可能です。患者は理解者がいるという精神的安堵感を持ちます。カウンセリング療法の代表的手法としては、物事の受止め方や、考え方を見直して、自分の考え方を修正していく認知行動療法が用いられます。
男性更年期障害について 2021/6/1
コロナ禍で男性の更年期障害が急増!記事に目がとまりましたので紹介します。
順天堂大学付属病院の堀江重郎教授のご指摘です。
「コロナ禍で生活の変化が引き金になっている」とのことです。
堀江教授によると、「男性の更年期障害は、テストステロンというホルモンの減少で起こる。このホルモンは、加齢や運動不足、ストレスフル、達成感や他人からの評価が得られない環境が続くと減ってしまう。コロナ禍での在宅勤務や業績悪化、外出の自粛によって、テストステロンが減少し、心身の不調を訴える男性が増えている」という指摘です。
このテストステロンは男性ホルモンの一種で、筋肉量や体毛、生殖機能の向上、肉体面や精神面の健康などに関与する物質で、その役割は多岐にわたります。
堀江教授によると、具体的には「人間のやる気を促し、筋肉や骨格を増強して、認知機能の維持にも役立つ重要なもの」と述べています。また、「会社の仕事が面白くないと達成感が得られず、テストステロンの分泌が減る。一方で仕事がうまくいって周りから評価されると多く分泌される。ホルモンが増えるとますますやる気になり、逆に減ると更に意欲が低下するという悪循環をもたらす」と述べています。
男性更年期は、女性以上に期間が長く、発症は40代から60代までさまざまです。丁度男性の社会的責任とリンクする時期といえます。
精神的に憂鬱感や愁訴を感じるようでしたら、自律神経の不調を疑ってみて下さい。イライラしたり、集中力が無くなったり、気持ちが落ち込んだりすることがしばらく続くようであれば、男性更年期障害の疑いがある可能性があります。早期の治療が大切ですから、専門医の診断を仰ぐことが大切です。
男性更年期障害が重症化しないための事前の予防は、どの様にすればよいのでしょうか。規則正しい生活リズムと生活習慣の維持、食生活のバランスと適度な運動、家族とのコミュニケーションをとることで、ストレスフリーな日々を送ることが大切です。
気持ちが沈んで息苦しい時には、心理療法としてカウンセリングを受けることをお勧めします。
いじめ~子供のサインを見逃すな~について 2021/5/15
新学期が始まって1ヶ月が経ちました。そろそろ学校生活にも慣れて、新しい友人もできる頃です。一安心と思いきや、この頃の学校生活は、誰もが不安になっている頃で、互いに手探り状態で生活している時期でもあります。毎日の学校生活の中で、勉強・部活・学級活動・遊びなどで、徐々に互いの力量が判明されてくる時期でもあります。それまでの対等な関係が徐々に序列化されていきます。実はこの時期からいじめが発生してくるのです。いじめは、鬱積したストレスの発散で、相手に対する優越感を示す手段として表出し、徐々にエスカレートしていきます。
今回は、被害者となった子供のサインについて焦点を当てます。
被害者の子供の立場になりますと、新学期早々、親の期待に応えよう、親に心配をかけたくない、いじめられる惨めな自分を親に知られたくないというように、苦しい自分の姿を現さずに何事も無いかのように普段通り通学することで、その場を凌いでいるのです。しかし、それも限界に達してしまうと、最悪の事態に進んでいくことが予想されます。その様な悲惨な結果に至らぬように、事前に子供のサインを見逃さないように、日々観察してほしいものです。
サイン1:不眠で朝起きられない。
サイン2:今まで頭痛など無かったのに、頭が痛いと言い出す。
サイン3:口数が減り、笑顔が消える。
サイン4:食欲不振。
サイン5:学校の話や友人の話をしたがらない。
サイン6:遅刻早退、学校を休みがちになる。
サイン7:感情の起伏が激しくなり、イライラ感が強くなる。
サイン8:物にあたる。
サイン9:身体に擦り傷や、打撲痕がある。制服が破ける。
サイン10:下痢や微熱が続く。
この様に心身に変化が出始め、しばらく続くようであれば、子供の精神的プレッシャーのサインであると判断して、思いつくサインがあれば、速やかに対応することが大切です。
子供はなかなか本音を親に言わないものです。親の側から、心の扉を開いて受止める準備をすることが肝心です。
子供を問い詰めることは厳禁です。それで無くとも、子供は親に申し訳ないという気持ちがあるわけですから、親は優しくさりげなく、遠回しに話しかけ、子供の話を聞く立場に立って寄添うことを心掛けてほしいものです。
一番辛い毎日を過ごしているのは、子供であることを忘れないで下さい。我子を守れる立場にいるのはご両親です。
自己固定観念を改善するリフレーミングのすすめについて 2021/5/1
リフレーミングとは、ある枠組みで捉えている物事を、別の枠組みに置き換えて捉えてみることです。自分の固定した考え方を柔軟に転換することで、より広い視点に立って状況判断出来るようになります。
簡単に言いますと、リフレーミングは【置き換え】と言うことです。物事を一方向から見るのではなく、他方の視点から眺めてみることで、別の捉え方が見えてくるわけです。これは心理学の手法の1つで、【視点を変える】と言うことです。
事例を紹介します。
コップに水が七分目まで入っています。Aさんは「まだ七分目しか入っていない」と捉えました。Bさんは「もう七分目も入っている」と捉えました。AさんとBさんでは、コップに入っている七分目の水に対する捉え方が、異なることが理解できます。人によって、物事をネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるかさまざまなのです。物事を柔軟に捉える事が大切です。ネガティブな捉え方の反対側にはポジティブな側面が必ずあります。
自分は意志が弱い。→物事に執着しない柔軟性なんだ。
目移りする。→いろいろなことに好奇心が旺盛なんだ。
そわそわして落ち着きがない。→活発で行動力がある。
失敗を恐れてしまう。→慎重に物事を進めようと考えられる。
計画性がなく、思いつきで行動してしまう。→能動的に臨機応変に対応出来る。
相手に否定されるのが怖い。→相手からの助言と受止めればいい。
根暗な性格である。→落ち着きがある。
職場に相性の悪い同僚がいる。→人間そもそも性格は十人十色だ。
社交性がない。→迎合しない自分を持っていることに誇りがある。
外で遊ぶより家にいる時間が長い。→家がくつろげる居心地のいい空間だ。
友人が出来ない。→信頼できる友人を見つけるのに焦ることはない。
この様に、リフレーミングは【置き換え】【視点を変える】ことで、物事を柔軟に捉える事が可能となります。人間は、お追詰められることで、自己の固定観念に支配されます。そこから抜け出すことが困難になります。別の抜け道があることを見失い、迷路に迷い込んでしまうのです。
常に自分を悲観的に捉えるのではなく、【置き換え】によって、肯定的に捉える事を心得て下さい。
リフレーミングすることで、自分の短所を長所として置き換え受け入れることがキーポイントです。固定観念を捨てて柔軟で多角的に物事を俯瞰してみては如何でしょうか。今までとは違う自分が見えてくることでしょう。
ストレスを溜め込まないための4つの捉え方について 2021/4/13
心身にストレスが溜まり続けることで、イライラした感情がついに噴出し、身体の外に放出されます。その形として、怒りや物にあたるといった行為となって発散します。ことわざに「堪忍袋の緒が切れる」と言うように、ストレスを身体の中に溜め込む許容量には限界があるのです。そこでストレスを上手にセルフコントロールしてあげる事が大切です。
第一に、「ストレスは溜まるもの」という捉え方を見直しましょう。「ストレスを逃がせば溜まらない」というように捉えましょう。許容量には限界があるわけですから、吐き口を大きくすれば良いのです。言い換えると、ストレスの元凶となっている事柄を吐き出すことです。一言で言うと「溜めずに吐き出す」ことです。勿論、怒りや物にあたって解消することではありませんので誤解のないようにして下さい。
第二に、元凶となっている事柄をノートに書留めることです。今何でイライラしてストレスが溜まっているのか、その訳を文字化し書出すことで、自分自身を見つめることが可能となります。冷静になって自分を客観視することが大切です。書留める時間がインターバルとなって、自分と向き合う時間が生まれます。
第三に、自分の弱点をさらけ出すと言うことです。人間は万能ではありません。長所もあれば短所もある。短所=「弱み」です。人間は元来弱みを隠そうとします。自分の「弱点を認識する」ことが重要です。ことわざに「知らざるを知らずと為せ、是知るなり」とあります。素の自分をさらけ出すことで、気持ちが楽になります。虚勢を張る必要がなくなります。
第四に、焦らないことです。結果を急がないことです。焦ることで冷静さを失い、物事の本質を見失うことになります。負のスパイラルに陥ります。「為すようにならないで、なるようになる」、ことわざにも「人事を尽くして天命を待つ」とあります。何事も自然体が大切です。
1:ストレスを我慢しない。ストレスの元凶を吐き出す。
2:何にストレスを感じているかを、文字化し書留め、自分の心と向き合う。
3:自分の弱点をさらけ出して、身の丈を現す。
4:焦らない。
自分の弱点をさらけ出して、身の丈を現すと言いましたが、心理学用語に「アンダードッグ効果」があります。その人が一生懸命頑張る姿や、損得抜きで行動していると、応援したくなるという人情・感情が沸いてくるという効果のことです。つまり、他者が自分を理解してくれるという安心感が情操されストレスの軽減になります。ことわざにも「判官贔屓」とあります。
PTSD心的外傷後ストレス障害について 2021/4/1
トラウマは、過去に体験した恐怖や精神的ショックがいまだに記憶に焼き付き、時に思い出される心が苦しくなる症状です。この精神的疾患をPTSD心的外傷後ストレス障害と言います。「心の傷」と言われています。
PTSDになる原因はさまざまです。自然災害・交通事故・凶悪犯罪・DV・虐待など、怖い体験をしたことで、強い恐怖感を持ち、精神的動揺からパニックになる病気です。具体的には、フラッシュバック(出来事が鮮明に蘇る)や、極度の恐怖感・緊張状態・頭痛・不眠・食欲不振・パニック状態(発作的に起こる恐怖心や不安感)などの症状が出てきます。ショック体験からどんなに月日が経過しても、PTSD心的外傷後ストレス障害は消え失せません。むしろ症状は悪化し慢性化することもあります。例えば、鬱病や不安障害・パニック障害を併発するケースが多く見られます。
心の傷を癒すには、相当の時間を要します。焦らずに治療することが大切です。自責の念は禁物です。老若男女・精神的強者・弱者問わず、誰にでも起こりうる病気なのです。
PTSD心的外傷後ストレス障害の対応については、フラッシュバックや恐怖感・緊張状態・頭痛・不眠・食欲不振・パニック状態などの症状が表われて、1ヶ月も続くようでしたら、専門医療機関を受診することです。
行政機関では、精神保健福祉センターが相談窓口です。病院では、心療内科や精神科を受診します。また、心理カウンセラーによるカウンセリングを受け、精神状態を整えます。
持続エクスポージャー療法
トラウマとなった場面を再現し、そこに身を置くことで、「大丈夫だ」という確信を持たせる治療法です。専門家の指導の下で治療します。
認知行動療法
トラウマとなった記憶や認識を、別の視点から眺めることで固定観念を見直すように導く治療法です。過去の体験に基づく誤った認識だったと「気づく」ことができれば、回復への足がかりとなります。専門医やカウンセラーの指導の下で行う療法です。
グループ療法
同じようなPTSDで悩みを抱えていた人たちと語り合い、苦しみを共有することによって、乗り越えて行く方向へ導く療法です。
薬物療法
抗うつ薬や抗不安剤の投薬により症状の緩和をはかっていきます。専門医の処方に従って下さい。
予防としては、日頃から無理のない日常生活を心掛けることです。身近なところに理解者がいることで、精神的安定が保たれますので、不安を感じたときは、すぐに相談することです。自分一人で抱え込んで解決使用としないことが大切です。
辛抱と我慢の使い分けについて 2021/3/26
辛抱も我慢も共に【じっと堪え忍ぶ】と言うことですが、精神的苦痛という点では大きく異なります。
辛抱は、「今苦境に立っているが、やがてこの苦境が実を結ぶことになるのだ。その日のために今しばらく辛抱しよう。」という、今の現状を【受け入れる】と言うことです。辛抱することを受け入れると言うことは、自分がポジティブに受止めている証拠です。つまり、未来に向かって前進していく意志の表れなのです。自分の信念・意志を強く持つことができるのです。
辛抱することは、時に辛いことですが、将来の自分にとって糧になる事でもあり、取り巻く人たちの為でもあることがわかっているからこそ、辛抱するのです。
事例として、「今コロナ禍で、社会生活に制約がかけられているが、一人一人の辛抱によって、必ずコロナに打ち勝ち、正常な日常生活を取り戻すことができるはずだ。」という、物事を前向きに捉える事が辛抱です。前向きな目的に向かっていく時に、辛抱という言葉が使われます。
一方我慢は、怒りや苦痛または欲望に耐え、今の現状を受け入れがたく自分の本心を抑え込む事です。我慢すればするほど、ストレスが溜まり、最後には「堪忍袋の緒が切れる」こととなり、感情が爆発します。我慢の許容量には限界が有り、短期的です。また、我慢はやむなく自分の意志を押し殺して堪え忍ぶことになりますので、ネガティブな状態です。つまり、現実を受け入れることに対しては、否定的な状態です。
事例として、「今コロナ禍で、社会生活に制約がかけられて自粛しているが、一体何時になったら、コロナを制圧できるのかわからない状態で、もはや精神的にも忍耐力も限界に達してきた。」というように、物事を後ろ向きに捉える事が我慢です。自身の気持ちの中に【受け入れられない】という前提があるからです。途中で心が折れることもあります。消極的な受動的な状態の時に我慢という言葉が使われます。
辛抱とは、目的を達成するために堪え忍ぶこと。
我慢とは、嫌なことをただ堪え忍ぶこと。
物事は、捉え方でポジティブにもネガティブにもなります。皆さんは辛抱強いですか。それとも我慢強いですか。気長ですか。それとも短気ですか。長い人生では、辛抱することも、我慢することも出てきます。ストレスを溜め込まないためにも視点を変えて辛抱と我慢を使い分けて下さい。
人間関係で無駄に悩まない2:7:1の法則について 2021/3/13
どなたも人間関係で悩まない人はおりません。生理的に合わない・性格が悪い・話がかみ合わない・威圧感がある・挑戦的な態度である・空気が読めない・しつこくつきまとうなど、さまざまな理由から、避けたくなるような人が周囲には必ず存在しています。そういう人間と係わらざる負えない場合に知っておく法則が2:7:1の法則です。
アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが唱えた法則です。この法則を知ることで、人間関係でくよくよ悩むことは解消されます。それでは、2:7:1の数字の持つ意味について説明します。
自分を取り巻く10人の人間がいると、2:7:1の数字の持つ意味は次のようになります。
2人は、あなたと意見が合う、心が通い合う人です。
7人は、あなたに対してどちらでもない人です。
1人は、あなたとの相性は良くなく、相反する人です。
この法則を頭に入れておくことで、人間関係において臨機に立ち回ることが可能となります。
会社の職場や会議・学校のクラス・PTAの組織会合・自治会役員・サークル活動など、人間集団によって構成されている所では、必ず人間関係に歪みが出てきます。その時、あなたは初めにこの2:7:1の法則を思い出して下さい。
あなたを取り巻く10人のうち、2人はあなたの味方となり、共感してくれますます。一方、1人はあなたを嫌いな人なのです。では、後の7人はというと、どちらでもない。さて、このどちらでもないという意味は、あなたの味方になってくれる可能性も有り、逆に嫌いになる可能性もある人達です。
従って、全員があなたに好感を示してくれるわけではないことを知っておくことです。むしろ少ないかも知れません。この法則を心得ることで、人間関係を無駄に悩まないことが大切です。
心底信頼できる友人は何人いますかと問われると、多くの人は10人以下でしょう。人生の中で多くの出会いがあったと思いますが、実は信頼関係が築かれている人は、10人に満たないのです。
社会では利害関係による軋轢が人間関係を悩ましいものにしています。つい他人に多くを期待したり、こびへつらったり、自分を良く見せようと見栄を張ったり、多くを求める傾向がありますが、所詮それは、精神的に疲弊するだけで、何の得にもなりません。どこにでもあなたに対して嫌悪感を示す人は存在するのです。ですから「そんなものか!」と自分に言い聞かせることです。
人間社会は、2:7:1の法則で成立っていることを心得ていれば、「周囲に自分を受け入れてくれない人間は沢山いるんだ」ということで、気持ちを楽にすることができます。くよくよすることはありません。2:7:1の法則の2(2人)を大切にして下さい。「2人しかいない!」ではなく「2人もいる」という見方・肯定感をなさることが大切です。
テレワークによる夫婦間のトラブルについて 2021/3/1
政府は、コロナ禍による感染防止策の1つとして、各企業に対してテレワーク(在宅勤務)70%の数値目標を打ち出し要請しました。
テレワークによる、感染防止というメリットはあるものの、在宅勤務による精神的デメリットの面について記します。
平常時であれば、自宅から出勤をして会社のオフィスで仕事をこなし、定時で退勤して帰宅するというのが通常のパターンですが、緊急事態宣言が出され、テレワークが義務付けられることにより、自宅にこもる生活を強いられます。独り身であれば何ら干渉されずにテレワークが可能で、波風立ちませんが、夫婦となると問題が生じることが出てきます。
テレワークで夫が在宅だと、妻は食事を三食作らなければいけなくなります。それにより、妻の自由時間が削減拘束されてしまい、ストレスが溜まってイライラします。夫は、自宅に籠もる時間が増え、また、在宅勤務状況の監視をされることで、イライラする精神状態となり、ストレスが溜まります。つまり、24時間狭い空間に一緒にいると、夫婦共々ストレス状態となるわけです。
例えば、夫が気分転換に「ちょっと外の空気を吸ってくる」という一言に対して、妻がさりげなく「どこに行くの?」という問い掛けをした途端に、夫は過剰な反応をしてしまうのです。「どこへ行こうと俺の勝手だろう!干渉するな」とつい語気を荒げてしまうわけです。当然妻は、「そんな言い方ないでしょ!何よ!あなたばっかり!私だって外出したいわよ」と怒鳴り合いとなり、互いに感情をぶつけてしまうことになります。最悪、DVへと発展する事態になるケースも出てきます。フラストレーションが溜まり、お互いの気持ちを理解する余裕がなくなっていることがわかります。
緊急事態宣言により、「不要不急の外出の自粛」という要請が、人々の心の中に楔となり、「我慢をしなければ」という抑圧が、正常な精神状態を蝕んでいるのです。
解決方法としては、互いに干渉しないことです。妻は「そうね!気分転換してきて」と夫の気持ちを先回りして理解してあげる事なのです。それだけの言葉で、その後のアクシデントは回避できます。
一方、夫は「ちょっと外の空気を吸ってくる」ではなく、「どこどこへ行ってくるよ!何時頃には戻るから」「君もゆっくりして・・・」と、妻を気遣う気持ちを具体的に伝えれば、妻も夫が留守の間、解放され気分転換できるので、それ以上の妻からの干渉的な言葉はなくなり、事が荒立つことはなくなるわけです。
コロナ禍、緊急事態宣言によって、大きく生活様式が変化しました。テレワークという勤務形態(社会生活の変容)によって、狭い空間で四六時中夫婦が向き合わなければいけない閉塞感の中で、互いにストレスを抱え込み、些細な言動が引き金となって、互いが激高しなければならなくなるようなコロナ禍の社会になっています。
夫婦が互いを信頼し合い、迷惑をかけない範囲で、1人になりたい時間を作ってあげる。解放された自由時間を保証してあげる事が、この難局を乗り越える為に必要な夫婦の気遣い思いやりですね。
アンガーマネジメントのメソッドについて 2021/2/9
アンガーは【怒り】でマネジメントは【管理】です。つまり、怒りを管理すること。
人は誰でもストレスやフラストレーションが溜まると、怒ったり、怒鳴ったり、暴言を吐いたり、物にあったたりと、自分の内面の鬱憤を他者にぶつけることで発散します。勿論、ぶつけられた方は、唖然として不愉快な思いをしてしまいます。しばらくして怒りが収ると、冷静さを取り戻し、自分の行き過ぎた行動に対して、後悔の念が出てきますが後味が悪い物です。
アンガーマネジメントは、そんな怒りの感情を事前にコントロールすることを言います。このテクニックを心得ることにより、対人関係が円滑に送れることになります。
アンガーマネジメント3つの心理的メソッドを実践して下さい。
【メソッド1】 衝動のメソッド
相手と対話をしていて、気に障ることを言われた時、「カチン」ときて、いきなり相手を怒鳴りつけてしまったら、その場は壊れてしまいます。そうなる前にその場を一時的に離れてみます。場面を切替えると言うことです。これにより気持ちがリセットされます。相手と離れることで、距離感が生まれ客観視できるわけです。また、離れることで空白の時間が生まれ、冷静になる猶予が生まれます。
【メソッド2】思考のメソッド
誰しも自分の人生哲学を持っています。生活習慣としてルーティンがあります。ところが、人から「こうしたら」「それは違うでしょう」と否定された途端に、「何言ってんだ」「決めつけるな」と頭に血が上って感情的に激高します。そんな時に、所詮誰しも思考が異なると言うことを理解しておくことが大事です。初めにそのことを心得ておけば、心の中に、相手の言動を受止める余裕を準備しておくことができるのです。
【メソッド3】関わりのメソッド
他者との関わりを確認することです。親子なのか、夫婦なのか、兄弟なのか、親戚なのか、友人なのか、同僚なのか、上司なのか、全くの他人なのか、それぞれの関わりの中で、言動を振る舞いを取捨選択することが重要です。どこまで立ち入るのか、踏みとどまるのか、感知しないのか、干渉しないのか、冷静になって自分にとってのリスクを考えることが大切です。ダメージリスクを負わないように心掛けましょう。
誰でも怒りはありますが、アンガーマネジメントのメソッドを心得ることで、人間関係を円滑に進めることができます。そのことによって、ストレスやフラストレーションを軽減させることができます。避けては通れない人間関係であるからこそ、アンガーマネジメントは私たちの身のこなしにはなくてはならない心理的メソッドなのです。後々不愉快な思いはしたくないものです。
サイレントうつについて 2021/1/19
コロナ禍が始まって1年が経過しました。新年早々首都圏では2度目の緊急事態宣言が発出されましたが、いまだにコロナ感染者数の大幅な減少には至っておりません。そんな中で、各企業では可能な限りテレワークを積極的に導入して感染抑止に努めています。ところが、このテレワークに別の問題が出てきました。それが【サイレントうつ】です。今、この【サイレントうつ】を発症する人が増えています。
この【サイレントうつ】は、テレワークで自宅勤務となり、自室で仕事をこなし、他者との関わりが希薄になることで、気分の落ち込みや顔色などを自覚できずに放置してしまうことで、精神疾患を患うという、気をつけなければいけない問題なのです。自分では異変に気づかないという弊害が急増しています。
そこで、【サイレントうつ】にならないための対処法を紹介します。
長時間のデスクワークを避けましょう。休憩時間を確保して、気分転換やティーブレイクの時間を確保しましょう。
出勤の時には、通勤という身体を動かす時間がありましたが、テレワークになるとそれが省かれます。その分運動不足になるということです。適度の運動は必要です。長い時間のデスクワークは禁物です。つまり座りすぎることで、血液の循環が悪くなり、血行障害に陥ります。それにより、肩こり・頭痛・眼精疲労など身体に負担を強いることになります。
また、別の観点からも精神的圧迫を受けることになります。つまり、在宅勤務によって、リモートで管理されるということになります。監視管理されるという精神的重圧が身体的ストレスとなり、体調に悪影響を及ぼすのです。テレワークの継続により知らず知らずのうちに心身に負荷重圧がのしかかっているのです。
更に、自宅でのテレワークでは、会社のオフィスでの音とは違う家庭の音が耳に入ってきます。その様な微妙な環境の変化も、実は精神的ストレスとなってくるのです。
リズムのあるテレワークを心がけることです。根を詰めないで、メリハリ(緩急)のあるワーキングを心掛けましょう。また、自己検診をすることをお勧めします。いたって簡単ですから実践してみては如何でしょう。
1:朝と就寝前に検温する。
2:朝と夕に血圧を測定する。
3:毎日の排便状況を確認する。
4:起床後の体調と就寝前の体調の差違状況を確認する。
5:三食の食欲状況を確認する。
以上の自己検診において、何か気になるところがあった場合は、家族に相談することが【サイレントうつ】予防の第一歩となります。
フラストレーションの特徴とストレスとの違いについて 2021/1/12
フラストレーションとは、日本語で言うところの「欲求不満」にあたります。どの様な時に欲求不満になるのでしょうか。
今、コロナ禍の中で、二度目の緊急事態宣言が発出され、行動の制限が国や都道府県から要請されました。それにより、仕事においてはテレワークや時短と言った制約、娯楽においては旅行や観戦、イベントなどの制約、外での飲食の制約など、私たちの通常の生活様式に足枷がついてまいりました。つまりそれは、自由に行動できなくなるわけで、自身の欲求を満たすことができなくなります。本来の自身の欲求が社会的事情によって制約されることで、私たちの欲求は満たされない状態に陥ります。
フラストレーションの感情としては、気分がイライラしたり、感情的になったり、八つ当たりしたり、不快な感情に苛まれます。また、自分のイライラを他者に見破られないようにするために、威圧感を与えて自分が優位に立とうとする態度に出ることも特徴の一つです。つまり、苛立ちは自分に対する欲求不満から形を変えて表出するわけで、苛立ちの捌け口を弱者に当たる行為に転化します。その場合、言葉によるパワハラや、過激になるとDVに至ることも有り、その様な事態にならないように、フラストレーションを溜め込まないことが重要です。
一方、ストレスは、仕事や人間関係・家事・育児・介護による過労や心労また気疲れなどによる精神的緊張感から自律神経のバランスが崩れ、精神的肉体的な緊張感が身体を襲う状態になります。
従って、フラストレーションとストレスの違いは、前者は自己欲求が充足できないことが要因となっており、後者は、さまざまな精神的肉体的な負荷により生じる緊張状態という事になります。
キーストン・ハビットについて 2020/12/16
聞き慣れない言葉ですが、キーストン・ハビットとは『要の習慣』と言うことです。この概念を提唱した人がジャーナリストのチャールズ・デュヒックという人です。私たちは、慣れ親しんだ習慣を繰返しています。その習慣にはメリットもデメリットもあります。これからキーストン・ハビット『要の習慣』についてお話しいたします。
健康診断で生活習慣病と指摘を受けることがあります。人間の抱えている病気の内で、生活習慣によって発症した疾病は非常に多いのです。例えば、暴飲暴食による肥満や高血圧、夜更かし朝寝坊などの睡眠障害、不摂生な食生活による内臓疾患や糖尿病など、さまざまな疾病が身体を蝕みます。
先ずは、あなたの最大の健康上のリスクポイントを知ることです。例えば、高血圧であれば、今までの生活習慣の中で、何が高血圧の要因なのかを確認することが大切です。辛党で塩分の取り過ぎなのか、過度のアルコール摂取なのか、その主要因を排除することで改善へと向かうのです。つまり、気付きです。今まで生活習慣としてきた『要の習慣』を変容させることが大事です。キーストン・ハビットを変えることにより、人間の悩みは解決すると言っても過言ではありません。
『要の習慣』を変えることにより、負のスパイラルから正のスパイラルへ人生を転換させることができます。『要の習慣』を変えることが正の相乗効果となるわけです。そのためには、キーストン・ハビット『要となる習慣』を見つけ出すことが重要です。
人間はなかなか長年の生活習慣を変えることはできません。それは、その人が一番居心地が良いと思っている無意識に習慣化している行動なのです。一例を挙げると、自宅から最寄り駅までのルートは、毎日決まったルートであると言うことです。あえて、生活習慣を変える必要性を見出せないためです。
この機会に、自分の生活習慣を振返り、改めてみる価値はあると思います。あなたにとって、『要となる生活習慣』の変化が、人生を大きく変える要因となることを知って頂きたいと思います。
社会性不安障害(SAD)の治療法について 2020/11/21
社会性不安障害(SOCIAL ANXIETY DISORDER)は、人前で、視線がこちらに注視される状況に対して、強い不安と恐怖感や緊張感が襲いかかり、失敗をするのではないかと極度な不安に陥り身体に症状が出ます。
社会性不安障害は、どの様な場面で起こるのでしょうか。事例をあげましょう。
・人前で意見を述べたり発表する時。 ・上司に説明をする時。 ・人前で質問された時。 ・異性と会話する時。 ・不祥事を起こしたときに謝罪する時。 ・今日これから大事な試験がある時。
この様な状況の時に、平常心に自分をおけなくなり、パニック状態に陥ってしまうため、日常生活に支障をきたしてしまうのです。
それでは、具体的にどの様な症状が身体に表出するのでしょうか。
・動悸 ・吐き気 ・腹痛 ・手足の震え ・顔面蒼白 ・めまい ・声が震える ・フリーズ状態
この様な症状が身体に表出しますが、社会性不安障害の人たちの共通の心理状態はどの様な状態でしょうか。
不安を抱き、恐怖心が心を支配します。しかし、本人はそのことを他人に知られたくない。人前で恥をかきたくない。羞恥心が不安や恐怖心に覆い被さるのです。もはや平常心を保つことはできません。
社会性不安障害の人の性格での共通項は、極度な心配症、自分に自信がない劣等感の持ち主、自意識過剰で羞恥心の塊、自分への背信、負い目が強いなどの特徴が見受けられます。
社会性不安障害の罹患状況は、全人口の10%~15%といわれています。年齢的には10代半ばから20代前半での発症が多く、女性に多いという特徴があります。
社会性不安障害のタイプとしては、①全般型で全ての社会状況の中で極度の不安に陥るタイプ。②いくつかの特定の社会状況において極度の不安に陥るタイプ。③ごく限られた社会状況において極度に不安に陥るタイプなどがあり、人により異なります。
薬物療法と精神療法があります。
薬物療法としては、日本では厚生労働省の承認薬フルボキサミンの投薬になります。
精神療法としては、(不安場面にさらす)、(社会技術訓練)により、極度な不安を感じる場面に順応できるようにトレーニングを重ねていきます。一方、認知行動療法では、極度な不安材料を洗出し、自分の今までの認知が正しかったのかを一つ一つ解決していくという方法をとっていきます。
社会性不安障害を改善するためには、時間をかけて根気強く治療に取り組むことが大切です。
共感覚の持ち主について 2020/11/13
共感覚(きょうかんかく)の定義は、「知覚の刺激によって、通常の感覚だけではなく、別の種類の感覚を生じさせる知覚現象」をいいます。勿論、誰にでも持ち合わせた感覚ではなく、ごく一部の人に見られる特殊な現象です。共感覚は個性です。
共感覚は数字や文字また音に色がついて見えたりする、普通では考えられない感覚が出る現象です。勿論、共感覚を保持している方にしか理解できません。
ただし、私たち日常生活の中で、よく口にする表現として、周波数の高いかん高い声を聞くと「耳に響く黄色い声」などと表現しますし、幸福感を「人生バラ色」と表現します。一方、挫折すると「目の前が真っ黒だ」と表現するのがわかりやすいでしょう。私たちはこの様に色で感情を表現しますが、共感覚の持ち主は実際に色が見えるということです。
共感覚の持ち主には、さまざまな感覚が存在します。心情・苦悩・不安・痛み・味覚・臭覚・音感・文字・数字その他100を超える多種の感覚に共感覚が存在します。
最近の研究では、人間の4%に共感覚を感じる持ち主が存在するといわれています。共感覚のメカニズムはわかっていませんが、一説には脳の神経伝達に関係しているのではないかと考えられています。
共感覚の持ち主の特徴としては、それぞれが独自の共感覚の現象を持っています。好き嫌い、得手不得手の感情が色感覚に反映されることもあります。また、共感覚は無意識で起こります。共感覚には一貫性があります。更に共感覚には自己の感情と関係があります。
共感覚は神経伝達の疾患と見なされることもありますが、精神障害診断便覧や国際疾病分類には掲載されていません。つまり、共感覚と疾患との関連性(因果関係)を裏付ける確かな論文はないのです。
共感覚の持ち主が、日常生活の上で支障をきたすことはないと言われています。更に、共感覚は個人によって、その現象は異なるのであり、1つの個性として受止めることが大切です。
一例ですが、過去の苦しい思い出が蘇り、そのことが色つきで思い出される。その色は80%が黒色、10%が黄色、10%が赤色の比で見えると言うことです。心の状態・葛藤が色として見えることも共感覚の持ち主なのかも知れません。
他者承認欲求が強い程ストレスが溜まる理由について 2020/11/5
そもそも他者承認欲求とは、「他者から認められたい。」「他者から信頼されたい。」という人間本来の欲求です。ところが、その欲求が極度に強すぎると、他者を意識しすぎ、人目を意識しすぎるあまり虚勢を張ることになります。常に頭の中で、他人を意識して、他人の評価を期待することになり、これでもかこれでもかと神経をすり減らして、本来の自分を見失うことになります。
他者承認欲求の強い人の性格として、自分が認められたいという欲求があります。つまり、他者と比べて秀でているということを自他共に認めることへの欲求なのです。そのために、自分の存在を他者に認めてもらうような行動に出ます。
一例を挙げましょう。がむしゃらに率先してノルマ以上の量の仕事を請け負うことで成果をアピールするというアクションです。また、同僚と比較して自分の存在感を見せつけ、優越感を持つということも特徴です。更に、他者に慕われる存在でなければいけないという意志が強く作用します。ですから、自分の意志に反して、嫌いなことでも率先して行うという行動をとり、他者に気に入られようとする意識が強くなるのです。当然ストレスが溜まり精神的疲労感が蓄積していきます。
他者承認欲求の強い人の多くは、子供の頃に次のような体験を持っていることが考えられます。
①良いことをすると、親が褒めてくれる。
②親の期待に応えると、親がご褒美をくれる。
③親の視線を常に意識して振る舞っている。
④兄弟で比較され、自分は期待されなかったという負い目を感じていた。
⑤親から欠点ばかりを注意指摘された。
過去にこの様な経験が強く残っていると、いずれ認められたいという欲求が強くなり、大人になっても他者を意識する性格が極度に強くなり、他者承認欲求の願望が顕著に表われてきます。他者承認欲求を克服するためにはどの様な考え方を身につければいいのでしょうか。
自分が他者に評価してもらいたいと思っても、他者が必ずしもこちらを評価するとは限りません。他者には他者の評価基準や価値基準がありますので、その物差しに叶うとは限りないのです。そのことを頭に入れておくことです。ですから、自分自身の自力をつけることが大切です。つまり、自分自身への信頼を勝ち取るということです。自信を高めるということです。他力本願ではなく自力本願ということです。
他者承認欲求から自己承認に切替えることが大切です。自力をつけるとは、信念を持つ、生き甲斐を持つということです。そのことにより、自己承認へと向かっていきます。
他者承認欲求に依存するのではなく、自分の人生は自己承認で道を切り開くことが大切です。
「考えすぎが人生を後退させる」について 2020/10/22
人間は心配事が発生すると、その先の結果についてネガティブに考えすぎてしまうことがあります。
その結果は往々にして最悪の結果を想定して悲観的になります。
心配と不安だけが思考を支配し、追詰められた気持ちになり、立ち止まってしまうのです。
そうならないためにも、発想の逆転が必要であり、そのために手立てを講じる必要が出てきます。
その前に、考えすぎることには2つのカテゴリーに分けられます。
一つ目の【反芻(はんすう)】は、考えすぎることですが、心配事を繰返し頭の中で再現するという行為を指します。
つまり、自身の思考に執着して、固定観念として揺るぎない絶対的な思考として支配されます。
従って、細かく心配事を想像し、どこまでも止めどなく精神状態がネガティブに陥っていくのです。また、自責の念にかられ、自分を責め追詰めてしまう傾向に至ります。行き着く先は、鬱病や強迫観念症になるという可能性も高まります。
二つ目の【心配】は、やはり考えすぎることですが、あくまで未来志向の延長線上で起こる、心理的な不安のことです。
万が一こうなったらどうしようという、先立つ安全という保証がない中で、心理的に起こるネガティブな思考なのです。「案ずるより産むが易し」のことわざが的確に表現しています。
考えすぎには、以上の反芻と心配とに分類できますが、これを解消する方法をあらかじめ会得しておくことが大切です。
①自分のネガティブ思考に気づくこと。そして、デメリットを捨て、メリットを見つける。
②ネガティブ思考は、自分がつくり出した空想であり、現実ではないと言い聞かせる。
③現在のありのままを受容し、現実を受止める。
④現実から目を反らせずに、見方(視点)を変えてみる。
自分の固着した考え方を捨て、別の視点から捉えてみることが大切です。何事も前向きに思考を進めることこそ、人生を前進させるための第一歩となります。
心身の不安定に気付いたら、カウンセラーに相談することをお勧めします。
季節性情動(感情)障害について 2020/10/6
季節性情動(感情)障害は、夏から秋へ向かう季節の変わり目頃から発症し、気分が落ち込む症状で、普段とは異なる挙動が表出します。
夏の猛暑で、心身の疲労が蓄積した状態から、秋へと季節が移っていきます。季節の変動に身体がなかなか順応しきれないまま、日常生活は継続していきます。つまり、人間の心身と自然の営みとの間に歪みが生じます。その歪みが心身にさまざまな症状となり表出するのです。
9月の彼岸入り頃から、日照時間が短くなっていきます。この日照時間が私たちの心身に大きな影響を及ぼします。気分が憂鬱になる、気が重たくなる、といった症状があらわれます。季節性鬱病といって、秋から冬にかけて出る症状で、立春を過ぎる頃には症状が改善していく周期性が特徴です。
季節性情動(感情)障害の症状としては、情緒不安定・不安感・憂鬱感・無気力感・注意力散漫・楽しいという感情がわかない・不眠・過眠・食欲減退・過食などで、個人によって症状はさまざまです。
改善に向けた対応としては、次のような手法がとられます。
【光療法】日光浴を心がけ、室内に日光を取り入れましょう。脳内分泌物質のセロトニンやドーパミンの減少を抑えることが改善に向けた一要素になります。
【摂取したい食品】アミノ酸を十分に含有した食品を摂取しましょう。肉・魚などの動物性タンパク質をバランス良く摂取することで、セロトニンの分泌を促す上で、有効と考えられています。過食による炭水化物の過剰摂取は控えましょう。
【早寝早起き】秋になると日の出が遅くなり、一方、日の入りが早くなります。つまり、日照時間が短くなり、日差しも弱くなります。昼短夜長で日常生活における時間の使い方に差違が生じ、結果的に生活習慣にも影響が生じます。自然のサイクルと体内時計のサイクルに時差が生じることで、心身に及ぼす影響が生じます。先ずは、体内時計を調節することで、日常生活のバランス調整に心がけて下さい。
【薬物療法】症状により抗うつ剤の処方が行われます。
【心理療法】カウンセリングを通して、クライアントに寄添い心理的な改善を行います。
季節性情動(感情)障害は、季節性鬱病ともいわれていますが、上記のような症状が出て、普段と異なる心身の状態が表出しますので、「普段と様子が違うな」と気付いたら速やかに対処することが求められます。
心身の不安定に気付いたら、心療内科並びにカウンセラーに相談することをお勧めします。
「鬱病のサインは夫婦で共助」について 2020/9/18
30代から40代の男性に鬱病が増えています。仕事上のオーバーワークによる肉体疲労や、中間管理職としての責務による心労により、自律神経の疲弊が原因となって、鬱病を発症します。また、家庭においては、住宅ローンの返済や親の介護など、仕事と家庭の二重の負荷が心身に大きなストレスをもたらします。四六時中気分は休まる暇がありません。
一方、女性の場合は、出産を契機に育児に追われる生活から、女性ホルモンのバランスが崩れ、精神的不安になる事で、鬱病を発症します。また、一日中家事に追われ気分転換をする余裕もない状態に追い込まれます。仕事を持っていれば更にその負荷が掛かってきます。
最悪、夫婦が時期を同じくして鬱病を発症してしまうようなことがあったては一大事です。鬱病は自分では気づかないことがあります。ですから、常日頃から夫婦お互いに健康状態を共助する気配りがとても大事なのです。
鬱病のサインとしては、元気がない・口数が少なくなった・無気力である・ぼんやりうつろである・不眠が続く・食欲不振・家事放棄・趣味に興味を示さない・起床できない・出勤意欲がわかない・怒りっぽくなる、この様な通常とは違う症状が目につくようになったら黄色信号ですので、先ずは、様子を聞いてあげることが大事です。そして、心療内科を受診するか、カウンセラーに相談するか、本人と相談の上で決めることが大事です。
鬱病を発症する要因としては、脳の中の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなどが減少することにより起こるといわれています。勿論それだけではありません。精神的ストレスや不安、また、喪失感なども大きな要因となっています。
一般的に、悲しいことや、辛いことが引き金になって鬱病を発症させると思いがちですが、嬉しいことや明るい出来事が要因となって鬱病を発症させることもあります。人により受止め方次第で、その出来事に対処できなくなり、大きなストレスを生み出すことにより鬱病を発症させることになります。出産は大変嬉しいことですが、出産前と後では生活環境が一変することで、女性の身体が順応しきれなくなり、ストレスとなってしまいます。また、出産後女性ホルモンのエストロゲンの急激な変動によって、脳内の神経伝達物質に影響を与え、その結果、鬱病を発症することがわかってきました。
夫は職場でのストレスが大きな要因となりますし、妻は家庭における育児が大きな要因となりますので、夫婦相互に助け合いの共助を心がけ、「様子がおかしいな?」思ったら早めの対応を心がけることが大事です。
夫婦の絆を大切にすることが、幸せな暮らしを営む上で一番大切なことです。
非定型うつ病について 2020/9/10
非定型うつ病は、うつ病とは異なる症状が表出します。特出すべきは20代から30代の女性に多く症状が見られ、現代病として多くの方々が苦しんでいます。今や増加傾向にある新たなうつ病です。
【非定型うつ病の特徴は】
典型的な特徴は、興味のあることや夢中になれることに対しては、快活に能動的(ポジティブ)ですが、嫌いなことややりたくないことに対しては、受動的(ネガティブ)になり、気分は憂鬱になります。つまり、気分の浮き沈みが大きくなります。
一般的なうつ病は、全てのことに対して鬱的な状態に陥りますが、非定型うつ病はそうではないのです。
その他の症状としては、食欲は有りむしろ過食傾向になります。また、日常眠気が襲い、過眠状態が続きますので、頭痛・脱力感・集中力がなくなります。興味や関心がないことで義務としてやらなければいけない事があると、気分は憂鬱になりイライラ感が出始め、感情を抑えることができなくなります。感情の起伏が激しくなります。
【非定型うつ病の原因とは】
決め手となる原因はわかっていませんが、性格・気質・生活環境・不規則な生活リズムなどの要因が考えられています。
【非定型うつ病になりやすい性格気質とは】
自己主張を我慢して、周囲にあわせることで、他人の目を気にしてきた。
自尊心が強く、他人から良い評価をされたいという気持ちが人一倍強い。
自分の考えを表に出さない分、他人に責任転嫁する。
物事を自己中心的に考え、自己愛が強い性格である。
成人になり、自分に与えられた責任や責務がうまくいかなかった時に、挫折感を味わい、結果として、立ち直る手立てが見いだせないで苦しみ落ち込んでしまう。
この様な性格気質の人に非定型うつ病が多く検出されます。
【非定型うつ病の症状チェック】
主に20代から30代女性・自尊心高い・責任転嫁・気分の起伏が大きい・イライラする・午後に憂鬱感が出る・脱力感・過食傾向・過眠傾向・うつ病に肯定的に向き合う
【非定型うつ病の治療法とは】
精神科または心療内科を受診します。治療方法としては薬物療法・カウンセリング・生活習慣の改善などを複合的に行い、改善の方向に導いて行きます。
イライラ感の解消について 2020/8/21
ついちょっとしたことで、イライラした感情となり、どうにも押さえられない気分になったという経験はありませんか。今日はイライラ感を引き起こす原因とその解消法について記します。
【イライラ感の原因】
①自分の思い描いた通りに物事が進んでいない状態の時、「なぜ」という不満が心の中に充満する精神状態です。ストレスを抱え込み、それが鬱積し解消されないまま爆発する寸前の我慢状態になります。地中のマグマが地表へ向かう火山噴火を想像してみて下さい。「なぜ自分がこの様なストレスを溜め込まなくてはいけないのか」という不満に思う心のいらだちが原因なのです。
【自分を冷静に見つめる】
今、イライラしているという自分のことに気づくことが重要です。つまり、自分を鏡に映してどんな状態かを見つめるということです。些細なことでイライラしたり、つい暴言を吐いたりする前に、自分の感情をコントロールするテクニックを会得することが大切です。
【イライラ感の改善方法】
①イライラした時(初期段階)には、なんでイライラしているのかを、書き留めてみましょう。心の中の気持ちを文字にすることで、客観視できます。人に対するイライラ感情なのか!物に対するイライラ感情なのか!自分に対するイライラ感情なのか!確認することが大切です。
②イライラ感を超えて感情爆発(限界段階)しそうになった時には、その場所を離れることです。場(場面)を切替えることで、気持ちがリセットされます。深呼吸をして激高した気持ちを静めることが大切です。深呼吸は自律神経を整える効果があります。
③冷静になったところで、自分を客観視してみましょう。今のイライラ感がどこから来ているのかを分析することです。欲求不満からなのか!劣等感からなのか!嫌悪感からなのか!意見の相異からなのか!自己中心からなのか!他者に対する憤りからなのか!顧みて下さい。
④最後に、自分で改善できる部分があれば、解決手段を考えてみることです。自分では改善できなければ、信頼できる第三者(カウンセラー)などに相談することが大切です。
イライラ感の根本原因に気づくことが大切です。イライラしたところで、物事は改善されたり解消されたりしないということを悟ることが大切です。ですから、一端立ち止まり(インターバルをとって)、イライラ感を咀嚼して自分の気持ちや思いを言葉にして相手に伝えることです。ただし、イライラ感から感情的(論)になっては火に油を注ぐことになる事を知ることです。人間それぞれ人生観や価値観が異なります。そもそも肉親でも他人でも異なる人間だという前提を確認することが大切です。
全てが自分の思い描くように事は進まないということを承知していれば、イライラ感も解消していきます。
カウンセリングルームこころ日では、精神的に不安定である。イライラ感がつのる。自律神経の安定をはかりたい。という方に、自律訓練法をわかりやすく指導しています。
ゲーム障害依存症の危険について 2020/8/11
ゲーム障害依存症は、ゲームに熱中するあまり、普段の日常生活に支障をきたす病的な状態になる事をいいます。
WHOは2019年に国際疾病分類に指定しました。厚生労働省の調査では、ゲーム障害を疑う成人がおよそ421万人と推定、中高生はおよそ93万人いるということです。
ゲーム障害依存症の危険について
①脳に与える悪影響とは・・・
私たちの行動は、前頭前野(理性)と大脳辺縁系(本能・感情)の連携によってバランスよく制御されています。ところが、ゲーム障害依存へと向かうと、大脳辺縁系が優勢となり、理性が効かなくなることで、本能の欲求が強くなりゲームから離れられなくなるのです。ゲーム機(スマホ・PC)を見ると途端にゲームに対する欲求が頭をもたげ気持ちを自制することができなくなるのです。
②ゲーム障害依存症により生じる生活変容とは・・・
朝寝坊・偏食・遅刻・不登校・昼夜逆転・引きこもり・家庭内暴力・失職・家庭崩壊など。
③ゲーム障害依存症へのシグナルとは・・・
ゲーム時間が超過する。夜通し没頭する。ゲームのことばかり意識する。ゲーム以外興味を示さない。ゲーム以外のことは注意力散漫になる。注意すると激高し暴言や物にあたる威嚇行為し、あげくに、親への暴力行為にエスカレートする。ゲームのことを問われると嘘をついて言い逃れる。無料ゲームから課金へとエスカレートしだす。
以上のシグナルに気づいたら、言葉がけをして注意を促します。それでもゲームを無制限に続けるようであれば、ゲーム障害依存症が疑われますので、早めの対応が必要です。
④ゲーム障害依存症の境界線とは・・・
ゲーム時間の制限ができない。日常生活で最優先がゲームである。学業や就業に支障をきたす状況が出ている。生活習慣が乱れている。
以上の症状が1年間続くようであれば、ゲーム障害依存症の可能性が大きいです。特段の留意点は、小中学生では短期間で重症化するリスクがあるということです。未成年者では、前頭前野(理性)が成人に比べて十分に発達していないため、ゲーム障害依存症になりやすく、放っておくと抜き差しならない状態に陥ることになりますので、早めの対応が大事です。
⑤早めの対応とは・・・
ゲームを行う時間帯を決める。ゲームをする場所を決める。親子でゲームについてのルールを取り決める。決めたルールは必ず守らせる。ゲーム以外の生き甲斐や打ち込める物を見出す。
ゲーム障害依存症の場合は、日常生活の中で、やりがいのある物を見出せない人が、ゲームという架空の世界において生き甲斐を見出し、現実から乖離していきます。ですから、そこから引き戻すためには、現実の中で、生き甲斐を見出すように、導きサポートしてあげることが大切です。
※ゲーム障害依存症の治療としては、①心療内科を受診②カウンセリングで心のケア③デイケアで問題共有トレーニング④入院療法による生活習慣のリハビリという事になります。
※何よりも家族で問題意識を共有し取り組むことが大事です。
鬱病による身体の痛み痺れ痒みの症状について 2020/8/4
鬱病は精神的抑鬱により、睡眠障害・喪失感・無気力・脱力感・頭痛などが症状として表出することは知られています。それ以外に意外と表出する症状として、実は身体の痛みや痺れ痒みといった症状が検出されます。そこで、鬱病の意外な症状について記します。
鬱病によって起こるさまざまな症状を身体症状といいます。鬱病は各自の諸症状により初め何科を受診すればよいのか決め手がないのが正直なところです。さしあたり内科を受診しますが、なかなか診断結果がつかないということがよくあります。次に心療内科で診察した結果、鬱病と診断されショックを受ける事例も多々あります。
気分の抑鬱感であれば、鬱病という診断も納得いきますが、同時に身体に痛みを感じたり、痺れたり湿疹が出て痒みが出たりすることも鬱病にはあるのです。
ある専門機関の調査結果によりますと、鬱病による身体の痛みと、家庭や職場で生じるストレスの増加とは相関関係があったということです。つまり、精神的苦痛が身体的苦痛を生じさせているということです。
鬱病は、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの量が減少することにより、表出すると考えられています。ですから、セロトニンやノルアドレナリンが減少すれば、身体に痛みが表出することになります。
また、別の専門機関の調査によると、身体に痛みを感じる人の中で、鬱病の精神疾患のある人の中では、約60%の人が痛みや痺れ痒みを感じており、健康な人では約40%に比べて、多いという結果が出ています。ここでも鬱病と痛み痺れ痒みの相関が見えてきます。
また、鬱病では身体の各所に痒みも生じます。鬱病は大きなストレスが要因となって発症します。ストレスが大きくなることにより、ヒスタミンという物質を増やすことになります。このヒスタミンの分泌が増加することにより、痛み痒みを知覚する知覚神経に作用して、その刺激を脳が完治することで、痛い痒いという症状が身体の各所に表出することになります。
このことから私たちは、精神的ストレスを無くすことによって、痛みや痺れ痒みを緩和することができるわけです。
鬱病の原因が自律神経の失調であり、交感神経と副交感神経のバランスの不調からストレスが増幅されることを考えると、精神疾患と身体の痛み痺れや皮膚の痒みには、相関関係があることが理解できます。
鬱病にはさまざまな症状が表出することがご理解いただけたことと思います。
薬物療法と心理療法を併用することで、有効な療養に努めましょう。
自律訓練法の効果について 2020/7/26
自律訓練法はその名の通り自律神経を整え、交感神経と副交感神経のバランスをとり、精神安定に効果を発揮します。そこで、自立訓練法の基本を記します。
自律訓練法は、自己暗示によって精神状態をリラックスさせるとともに、心身にいろいろ有効な働きをもたらします。
自律訓練法は、1932年ドイツの精神科医シュルツによって創始されました。座禅・ヨガ・瞑想・マインドフルネスとの共通点もあり、精神統一を通して意識を一点に集中することで、精神安定を促す点は相通ずるところです。
特に、自律訓練法は医療における治療としても用いられており、心身症などの治療にも役立てられています。
基本的には、専門家の指導の下で行うことがベストですが、自分で行うセルフケアによる自律訓練法もあります。自立訓練法は、自分が睡眠と覚醒の狭間の状態に持って行く、自己催眠状態から始まります。その状態をつくるためには、以下のような7つの公式を順番に沿って習得しなければいけません。
背景公式:気持ちが落着いている。
第1公式:両手両足が重たい。
第2公式:両手両足が温かい。
第3公式:心臓が自然に規則正しく打っている。
第4公式:自然に楽に息をしている。
第5公式:お腹が温かい。
第6公式:額が気持ちよく涼しい。
消去運動:手を握ったり開いたりを数回繰り返す。深呼吸してから目を開けます。
はじめに、姿勢ですが、リラックスをして仰向けに寝る姿勢または、石に座る姿勢をとります。
全身の力を抜き、目を閉じてゆっくりと呼吸をします。
次に、背景公式からスタートです。「気持ちが落着いている」という言葉をゆっくり心の中で数回繰り返します。気持ちを集中させて、「気持ちが落着いている」ことだけに集中します。受容的態度と言います。つまり、今すでに自然と落着いている感じをそのまま感じ取り受け入れることがポイントです。
次に、標準訓練です。第1公式「両手両足が重たい」を心の中で唱えます。右手→左手→右足→左足の順で重さを感じとります。この時に、それぞれを30秒から60秒づつ繰り返します。その後直ちに消去動作をします。
第1公式ができたら、次に第2公式です。「両手両足が温かい」を心の中で唱えます。右手→左手→右足→左足の順で温かさを感じとります。温かい感覚を感じとることです。
ここまで公式順番通りにたどり終了したら、最後に必ず消去運動を行います。手を開いたり閉じたりを数回繰り返します。
1回5分程度を1日2回から3回(朝昼晩)を限度として行うことで、効果が表われてきます。多忙な方は、1日就寝前に1回行うだけでも効果は期待できます。
疲労回復・ストレス緩和・イライラ感解消・気分が落着く・自己統制力・集中力・免疫力・精神安定・自己向上力などです。
【自律訓練法の注意点】
心臓疾患や糖尿病などの基礎疾患のある方は、副作用が起こる可能性があります。また、精神疾患のある方も自律訓練法は、むやみにやらない方がいいでしょう。正しい方法で実施しなければいけません。また、公式の効果を感じるまでは、次の公式に進んではいけません。最初は第1公式「重たい」だけを繰り返すことになります。
カウンセリングルームこころ日では、精神的に不安定である、自律神経の安定をはかりたい、健康維持のために取り入れたいという方に、自律訓練法をわかりやすく指導しております。ご希望の方はホームページの【お問合せ】からお申し込み下さい。
マインドワンダリングについて 2020/7/18
マインドワンダリングとは、今現在の出来事に注視しないで、別のことを考えてさまよう状態のことです。誰にでも起こっている事であり、普段無意識で起こっている事なのです。つまり【今この瞬間】に意識がいかない状態です。
【今この瞬間に集中する】
マインドワンダリングの状態とは、例えば通勤途中、電車の中で昨日の企画書作成の事で上司に注意され気になり、今日も注意されるのではないかと、頭の中でぐるぐると思い巡らす事です。その時漠然と視線は車窓を見つめているという状態です。
日常生活の中で、心配事はつきものですが、過去の心配事を思いお越し、一体何時になったら解決するだろう!このまま解決しないのではないかと、堂々巡りの心配が頭から離れずに、気持ちがふさぎ込んでさまよう状態のことです。
つまり、注意力が散漫となり、【今この瞬間】を見失ってしまう。大事なことをやり損じてしまうことになります。
人はマイナス思考になってしまう場合、特にマインドワンダリングになりがちです。ストレスが溜まり、自律神経が疲弊している時などはなおさらです。時間に追われ、気持ちに余裕が生まれない状態の時に、マインドワンダリングに陥ります。
過去の出来事や心配事について、思いをはせ反省するだけではなく、この先どうなるのかと、不安が先立ち心配する。つまり、過去に囚われるだけでなく、未来にも引きずることになり、精神状態はネガティブになっていきます。
【今この瞬間】に起こっていない出来事や心配事に支配されるのではなく、マインドワンダリングに囚われている自分に気づき、我に返ることが大事です。実際には今は不安な出来事も起こっていないことを自覚することが大事です。
つまり、頭の中で思い描いている雑念を払拭することが大事です。過去は過去、未来は未来、私は今この現実に生きているという自己意識を持つことです。今を見つめ大切にすることで、自律神経が安定し不安も解消されます。集中力が高まります。意識を一点に集中【今この瞬間に集中する】ことがとても重要なのです。
次回は、気持ちを一点に集中させ安定させる自律訓練法について記します。
職場や学校で孤立した時の心の持ち方について 2020/7/2
元々の性格が内向的で、自分から人の中に溶け込んでいくことが苦手な人は、往々にして人付き合いが苦手で、組織になじめない状態に陥ります。
周囲を見ても自分だけひとりぼっちで、居場所がないことが辛く感じることがあります。
グループや集団で行動したり、ディスカッションしたりする時も、どこに入ったらいいのかわからずに、ただただ狼狽することもあると思います。
自分の性格の特徴が自覚できれば、人に溶け込めない自分を素直に受け入れて、その短所を長所に変換する捉え方を試してみることです。
【利害関係には束縛されない】
例えば、組織の中での人間関係は、利害に支配されて煩わしい物です。ストレスも溜まるし、自分の意に反することでも従わなければならないことも出てきます。また、息苦しささえ感じることがあります。であるならば、見方を180度変えて、逆に孤立していれば、利害関係には束縛されずに自分のペースで仕事ができるし、友人に歩調を合わせることなく勉強にも集中できます。余計な気を遣わずに済みストレスも溜まりません。
勿論、職場でも学校でも組織の中の一員であることは忘れてはいけません。最低限の協調性と責任感は持っていないと、全く信用されない人間として評価されてしまいます。
【自分の時間を最大限生み出せる】
自分の立ち位置を明確にして、職場や学校での人間関係における距離感であるソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つように心がけることです。
孤立することで、自分の時間を生み出すことができます。その時間を自分が最も費やしたい事に割けるわけです。孤立しているからこそ生み出せる貴重な時間だという捉え方ができます。
【孤立を長所として捉える】
人間は十人十色で、価値観や物の見方や趣味嗜好や信条などもまちまちです。集団やグループに入ると、必ず衝突や葛藤や誤解、すれ違いが生じます。無意味なストレスが心身に負荷されることも出てきます。そのような煩わしい利害関係とは縁を切り、自分のために有益な時間を消費できることも、孤立を長所として捉える事ができます。
孤立をマイナス思考で捉えるのではなく、プラス思考に転化することが大切です。考え方を変えてみましょう。そして実行してみることが大事です。
孤立して話せる相手がいない場合は、客観的立場であるカウンセラーに相談することで、率直な助言を聞くことができます。カウンセリングには利害関係がないからです。
問題解決能力3つのポイントについて 2020/6/23
問題解決能力の定義はどの様な事でしょうか。
問題として上がってきた事項の状況を分析把握し、その状況に応じて問題を解決するためにはどの様な手立てがあるのかを考察し、速やかに実行し解決へと導く行動力のある能力を言います。
問題解決能力は、ビジネスや日常生活などで生じる問題に対して、適切に解決するためのメソッド(方法)のことです。勿論、生じる問題もさまざまです。ビジネスでは仕事上のミスや対人関係、日常生活では子育てや離婚問題、金銭問題など多々出てきます。
それでは、どの様にすれば問題を解決できるのでしょうか。先ずは、問題が出てきたら先送りしないで速やかにチェックすることです。つまり問題をこれ以上大きくしないよう対策を練ることです。
問題解決能力とは、①問題を確認する。②問題を分析する。③原因の洗出しをする。④解決の道を見いだす。⑤自力で解決できるか!第三者に解決を仰ぐか!解決の見極めをする。
問題解決能力の優れた人の特徴は次の通りです。
①問題に対して冷静に客観視・俯瞰視できる。②問題の核心を見極められる。③問題点が及ぼす影響範囲を判断できる。④問題解決のための原因・分析・判断・対応・解決のための段取りを組み立てられる。
①どの様な問題か確認(発生した問題を正しく理解し認識する。情報収集する。)
②問題の原因究明(問題点を分析する。原因を全て洗い出す。)
③具体的な解決策(解決策をシミュレーションし立案する。自力で解決可能か、第三者に支援を求めるか、見極める判断力。解決までの期限を決める決断力)
まとめとして
問題解決能力とは、問題を解決するプロセスにおいて、問題の本質を見極め、原因を明確化する分析力を養うことです。問題点の優先順位を明確化し、整理をした上で解決に向けた実行力を養うことです。また、問題解決後のリカバリー(回復)を手当てする対応能力を養い、傷口を最小限度にとどめる対策を講じましょう。
不安が生じた場合は、第三者の言葉を聞くことで自分を見失わないように心がけましょう。カウンセリングを受けることで、一度立ち止まって考えることができます。
熟年離婚について 2020/6/12
20年30年連れ添った夫婦が離婚するケースが増えています。外目には普通のご夫婦という印象ですが実態はどうでしょうか。その原因は何でしょうか。離婚要因について考えてみます。
社会的要因としては、夫の定年時期という節目に離婚を決断するというケースです。その背景には、専業主婦として家庭を守り献身してきたにもかかわらず、感謝されないという不満です。束縛感をずっと我慢してきたが、この機会に主婦業から解放されたい、自分の時間を取り戻したいという気持ちになることです。また、離婚という行為が日本社会の中で認知されてきました。一時代前は世間から偏見の眼差しで見られることもありましたが、男女機会均等により、離婚への理解が深まった、認知度が高まったという背景があります。決定的な要因は不倫です。長年連れ添った夫婦の絆も、不倫という不貞行為によって信頼関係が破綻し、一瞬で断ち切れます。
経済的要因としては、2007年の年金制度改定によって、夫の積み立てた厚生年金の考え方が変わり、妻へ分割される権利を得たということです。それまでは、専業主婦の場合は、国民年金のみだったわけです。また、社会的要因と係わりますが、夫の定年退職に伴い、退職金という部分について、条件により財産分与の対象になるという道が開かれました。男女機会均等に伴い、女性の社会進出の門戸も一時代前よりも開かれました。才能特技を生かし、働いて稼げる時代になり自立の道が開かれました。
生活上の要因としては、夫婦間の会話がなくなる事により、お互いの気持ちが理解できなくなります。すれ違いの生活となり、夫婦が互いに感謝を伝え合う気持ちが希薄となっていくことで、愛情が伝わらなくなります。子育ても終わり、子供も社会人として自立したと言うことで、一つの節目として、親としての責任を果たし終えたという安堵感から、離婚という決断をするのです。また、夫婦の間で老後生活(セカンドライフ)への価値観の違いが顕著となり、先行きのビジョンに顕著な違いが出てくることも、離婚に発展する要因となります。今は核家族化の時代で、親との同居を望まない時代です。夫婦間で意見が一致せず、老老介護の問題が引き金となって、離婚へ発展するケースも出てきます。更に、夫婦互いが自分勝手に振る舞い、互いを非難し合うことで、夫婦間に歪みが生じることも、離婚の要因となります。生活上で離婚の決定的な事象としては、DVです。身の危険を感じ避難せざる終えない状態に追い込まれ、離婚を決断するケースが増加しています。
①老後のビジョン 【衣食住】
②離婚手続きは弁護士に相談 【協議離婚・調停離婚・訴訟離婚】
③財産相続は弁護士に相談 【財産分与・慰謝料・養育費・年金・親権】
夫婦円満のコツは・・・
①夫婦お互いに話を聞く姿勢 ②言葉を交わす ③夫婦お互いの心地よい距離感を保つ ④信頼感 ⑤感謝の意思表示
⑥思いやり心配り ⑦嘘をつかない
まとめとして
結論を出し急がず、第三者の言葉を聞くことで冷静になり、自分を見失わないように努めましょう。カウンセリングを受けることで、一度立ち止まって考えることができます。後悔しないためにも結論を出すのはそれからでも遅くありません。
不登校になった子供への接し方について 2020/6/2
新型コロナウィルスの感染防止に伴い、外出自粛や緊急事態宣言の発令によって、学校も3ヶ月間の休校となりました。子供達の心身にも変調が生じ、学校再開になった途端に登校拒否の反応となるケースが多々出てきました。
親としての対応について記します。
休校となった3ヶ月の期間、子供達は家庭での生活を強いられ、今までとは全く異なる生活様式の中での過ごし方となりました。当然、身体のサイクルにも変化が生じますし、通学していたときには、時間割にそって1日6時間の学習でしたが、家庭学習となると規則正しく時間割の通りには進みません。
そのような状態が3ヶ月続き、6月1日から学校生活が再開され、通学となりましたが、子供の中には、心と身体がリセットされずにさまざまな不安を抱えて登校できなくなるケースが出てきました。
子供の口から突然「学校に行きたくない」と切り出されたら、親としてどの様に対応したらよいのか・・・。普通親は「如何していかないんだ」「気持ちが緩んでいるな」「さっさと支度をして行きなさい」と感情的になって責したり問いただします。途端に子供は拒否反応を示して心を閉ざしてしまいます。親は一度冷静になり穏やかな口調で「何かあったの」と子供に寄添うように話しかけてみましょう。共感する気持ちでゆっくりと返事を待ちましょう。
子供は親が想像している以上に苦しんでいるからこそ、親へヘルプしているのです。その思いをいち早く察し、寄添い共感的に接することが大切です。
子供を追詰めるような言葉は禁物です。子供は親に心を開かなくなり本音を語らなくなるからです。子供の心情に寄添い、解決の道を共に探っていく姿勢が大切です。
親子の信頼関係が唯一の解決への第一歩となります。子供が「学校に行きたくない」と切り出したら、親は「何か行きたくない理由があるんだね」「ゆっくり聞くから、話してごらん」と心を開いて受止めるメッセージを送りましょう。
子供の心理を察する様に言葉を交わすことが大切です。子供の心身に不安があるからこそ、学校に行きたくないと言うのです。その不安の元を取り除くことが大事です。子供の力だけでは解決できないサポートをしてあげましょう。
留意する点は、親がいきなり「学校へは行かなくてもいい」というのではなく、学校へ通学しやすくする策を図ることです。「遅刻してもいいから行こう」「家に戻りたければ早退してもいいから・・・」というように、逃げ道という策を図っておくことが大切です。
親と子が協力をして不登校を乗り越えて行くことが大切です。慌てずゆっくりと一歩一歩進めましょう。親子のコミュニケーションが解決への第一歩です。
それでも子供の心が開かれないで、不登校が続く場合は、カウンセリングを受けることをお勧めします。カウンセラーがお子様に寄添い、子供の不安を共有し共感することで、不安の元を取り除いて行きます。
緊急事態宣言解除後の鬱病に注意につて 2020/5/23
新型コロナウィルスの感染防止のため、緊急事態宣言が発令されました。私たちは長期にわたり外出自粛生活(STAY HOME)をおくっておりますが、5月中旬に39県が解除され、日常生活が徐々に平常時に戻りつつあります。
そこで、解除後にそれまでの緊張感から解放されることで懸念されるのが、精神的重荷から解放されたときに生じやすい鬱状態です。
2ヶ月に及ぶ緊急事態宣言のさなか、私たちは生活様式の変容をしながら、コロナウィルスに感染しないよう身構えて日常生活をおくってきました。その緊張状態が解除されることによって心身は解きほぐされ、通常の日常生活に戻ります。
ところが意識はリセットされますが、身体は通常の日常生活に素早く対応することができません。従って、身体と脳の意識にタイムラグが生じ、精神的不安が生じます。
また、緊急事態宣言後の社会の変容にも不安を抱えることになります。学校のカリキュラムや行事の変更、社会組織やシステムの変容、業態の変容などへ順応するための不安も新たに発生します。
更に、生活を立て直すための不安や背負った債務など幾重にも不安が増幅します。緊急事態宣言時の精神的ストレスとは別の、先行きの見えにくい不安に対して、気分は沈み込み精神的ダメージが脳裏を支配することで、鬱状態となるのです。
孤立するのではなく、信頼できる人に自分の不安を話しましょう。頭の中で考えても悲観的な思いしか浮かんでこないものです。人に話すことで、勇気を得られたり、ポジティブな捉え方を得ることができます。また、一番大きな心の支えは、「自分は孤独ではない」という確信です。同じ境遇の人々がいる。共感してくれる人がいる。という不安や悩みを共有することで、前を向こうという意欲や勇気がわいてきます。
先ず、平常時の自分の心身状態を思い出すことです。それに対して、緊急事態宣言解除後の日常生活復帰に際しての心身状態を比較確認し、イライラする、疲労感、倦怠感、不眠、食欲不振、めまい、動悸、思考力低下、悲観、意欲喪失、無気力、脱力感などの変調を感じるようであれば、鬱病の予兆となりますので、おかしいなと思った時には、専門の医療機関やカウンセリングを受診することをお勧めします。いずれも、早期対応が望まれます。
新型コロナウィルスに打ち勝つための免疫力強化について 2020/5/1
人間の身体には免疫力が備わっています。免疫とは体内に侵入した細菌やウィルスを退治してくれる機能です。自動的に身体を守ってくれるわけです。ところが、病気をしたり既往症があると免疫力が低下します。ワクチンや特効薬がない今、私たちは自衛することが第一となります。
今日は、免疫力強化の5要素について話します。
普段の体調管理が大切で、何よりも自律神経のバランスをつかさどる、交感神経と副交感神経の両輪が円圧に働くことが大切です。
交感神経は、私たちが活動する時間帯に優位に働きます。副交感神経は就寝時や活動を休止しリラックスしたときに優位に働きます。従って、一日中で交感神経と副交感神経がバランス良く機能することが身体にとって健康上大事なことで、免疫力を強化することに繋がります。
免疫力強化の5要素は以下の通りです。
第1に睡眠です。【早寝早起き病知らず】ということわざがある通り、良質な睡眠をとることは健康維持には欠かせません。一日の疲れをとり、身体に滋養を与えるためには、睡眠時間の確保に努めましょう。8時間は睡眠時間に充てることが大事です。免疫力強化の必修項目です。
第2に規則正しい食生活です。三大栄養素である【タンパク質・脂肪・炭水化物】をバランス良く摂取することです。また、ビタミン・ミネラルも欠かせない栄養素です。体力をつけ身体の隅々まで滋養を心がけることが、免疫力強化に欠かせません。
第3に適度な運動と日光浴です。毎日15分から20分の軽い運動をすることで、心肺機能が強くなり、血液の循環がよくなることで、体内の細胞が活性化されます。運動機能は免疫力の機能強化に努めます。また、日光浴でビタミンDが作られます。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、免疫力向上にも一定の効果が認められています。
第4に入浴です。入浴することで、血行が良くなります。血管が拡張されることで血流が良くなり、精神的にリラックスします。つまり、副交感神経が優位となり、緊張状態がほぐれます。脳腸相関により、腹部を温めることにより、副交感神経が優位となり脳へ伝達され、精神の安定に繋がります。また、内蔵の機能が活発化しますので、これも免疫力アップに効能があります。
第5に余暇時間です。日中は自律神経が緊張状態になっています。交感神経が優位になって、神経が高ぶっています。務めて余暇の時間をリラックスできるように工夫して下さい。リラックスは副交感神経が優位となるため、精神安定になります。そのため心労から解放されますので、身体の負荷の軽減に繋がります。20分から30分程度の昼寝も体力回復に効果的です。
規則正しい生活習慣をコンスタントに継続することが、免疫力の強化に繋がります。既往症がある場合は、無理をせず滋養に務めることで、免疫力の低下を補って下さい。
今は自己防衛することが、新型コロナウィルスの感染から身を守る最善の策といえます。
外出自粛時の過ごし方について 2020/4/17
今、新型コロナウィルスの世界的猛威によって、私たちは苦境に追いやられています。私たちはこの現実を直視し、最善の対応をとることが、新型コロナに打ち勝つ最短の戦法だと思います。
三つの密(密閉・密集・密接)を避けるために、外出自粛を強いられていますが、私たちの身体は我慢することでストレスを溜め込むことになります。自律神経を必要以上に刺激することにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。交感神経の負荷が高くなることにより、イライラしたり、気持ちが鬱いだり、集中力が切れたりと、さまざまな心身の症状となって表出します。
セルフコントロールが上手にできる人もいれば、苦手な人もいます。非常事態宣言が長期戦になる予感の今、ストレスを溜め込まない独自の工夫を見つけましょう。
1:一日のスケジュールを立てるひと工夫
メリハリのあるスケジュールを作りましょう。起床時間・食事時間・運動時間・娯楽時間・Study・テレワークなどテンポ(動・静)のある時間割を設定して、進めていきましょう。
2:起床・就寝時間を守る
起床・就寝時間はできるだけ守りましょう。人間の営みの基本は睡眠です。7時間から8時間の睡眠時間を確保しましょう。一日の3分の1は睡眠時間としましょう。滋養によって免疫力が高まります。バイオリズム(身体・感情・知性)の能率が一日の内で一番高まるのは、午前8時から12時までです。この間にStudyやテレワークを済ませましょう。午後は適宜テンポ(動・静)のあるスケジュールを当てるといいでしょう。
3:身なりに気遣う
自宅で過ごすとつい億劫になって、パジャマ姿やジャージで一日中過ごしてしまいがちですが、気持ちをリフレッシュさせる効果としては、お気に入りのカジュアルな装いで過ごすことが、気持ちを晴れやかにします。また、その日の天気にあわせたカラーの装いを考えることも気分転換になります。ポジティブ思考を心がけましょう。
4:肯定的な会話を心がける
自宅にこもることで、気分はふさぎ込み思考力は閉鎖的になります。ついつい嫌なことに意識が向いて、小言を言いたくなります。気分がイライラしだし、落ち着きがなくなり集中力が散漫になります。気分転換に外気を深呼吸して、遠方や上空に視線を移して下さい。そしてできるだけポジティブな会話を心がけることで、会話が弾み笑顔が生まれ気分は軽くなります。会話(コミュニケーション)をとることが大事です。
5:気分転換をする
お部屋のカーテンを開け、日光を取り入れ明るくしましょう。室外に近い状態にすることで、気分も開放的になります。部屋の模様替えや、家族で料理教室、巨大なジグソーパズルの制作、日曜大工などにチャレンジすることで、集中力が生まれ時間の経過が早くなります。「今日一日早かった」と思うスケジュールの組立が大切です。
6:規則正しい食生活
暴飲暴食を避け、バランスを考えた食生活を心がけ、定時に食事をとることを心がけることにより、健康的な日常生活が維持できます。ストレスからくる過食は禁物です。
自粛自粛と自分に言い含めないで、「今は五里霧中だから、夢中になれることを見つけよう」と洒落っ気気分で、ポジティブに捉える事が大事です。また、生活リズムを守ることも大切です。
自責の念の解除方法について 2020/4/4
過去の失敗に囚われ、いまだに後悔し続け、いつまで経っても頭から離れない。また、「同じ失敗を繰り返すのではないか」という恐怖心から消極的になり、前向きな気持ちになれない。そのような自分を嫌い責めることにより、自責の念が身体を支配します。また、思い詰めるあまり不眠となったり、集中力が無くなり根気が持続できなくなったり、気分がめいったりする徴候が出てきます。
自責の念を解除して、前向きに生活できるようにするための考え方について記します。
自責の念は、自分を責める気持ち(固着した観念)を言います。真面目で実直な性格の人間に顕著です。それだけに苦しむのです。
一例をあげましょう。「自分としては精一杯やったことだったが失敗してしまった。」という自分がいる。「自分の失敗を認めますので、これ以上責めたり、追求しないで下さい。」というメッセージの裏面(深層心理)には、「自分は当然責められたり、追求される存在なのだ。」という前提条件が心理上無意識に存在します。
この前提条件が自責の念を生み出しているのです。ですから、この前提条件を解除することにより、自責の念から解き放たれるわけです。
そこで、「自分は当然責められたり、追求される存在なのだ。」という前提条件を逆転してみましょう。つまり、「自分は精一杯やったのだから、責められたり、追求されたりしないのだ。」「人事を尽くした結果なのだから、責められたりはしないのだ。そのことは皆理解してくれている。」というように考え方を入れ替えます。
更にそのことを、自分で自分に言い聞かせることにより自己暗示となります。プラス思考に持って行くことで、気持ちを楽にすることができます。
「自分は精一杯やったのだから、責められたり、追求されたりしないのだ。」この言葉を反復することによって、確信を自覚できれば、自責の念を解除できることになります。固着した観念を払拭できます。
前提条件に固着しているのは、自分なのです。「自責の念と決別する」と決断することです。
自責の念に苦しんでいるあなたに寄添ってくれる存在がカウンセラーです。
カウンセリングによって、自責の念を解除することができます。自律訓練法は心理療法とあわせて役立ちます。
ドメスティック・バイオレンス(DV)について Part3 2020/3/15
DV被害に遭った方々の支援関係機関について記します。
【警察】
刑罰法令に抵触する事案については、被害者の意志を踏まえ検挙とする。
刑罰法令に抵触しない事案については、相手方への指導を行い、防止を図る。
被害者に対しては、適切な自衛措置及び被害発生を防止するための措置について助言する。
※緊急対応は、110番に通報または、最寄りの交番に駆け込む。
※相談は、都道府県の警察本部に設置されている『犯罪被害者の相談窓口』『警察綜合相談電話』で対応する。
【配偶者暴力相談支援センター】
配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図る。
被害者及び同伴者の緊急時における安全確保及び一時保護対応。
自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助。
被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助。
保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助。
※お問合せは、『配偶者暴力相談支援センター』で検索すると、各都道府県市町村のセンターが出てきます。
※『婦人相談所』(厚生労働省HP)から検索すると、婦人相談所が出てきます。
ドメスティック・バイオレンス(DV)は、人権を著しく侵害する重大な問題です。躊躇する事無く、一刻も早く通報することが最善の策となります。
また、被害に遭った方々の精神的疲弊については、PTSD心的外傷後ストレス障害となって、その後の人生にも悪影響を及ぼします。
カウンセリングを受けることで、心傷を癒やすことができます。正常な日常生活を取り戻すためにもカウンセリングは有効です。
ドメスティック・バイオレンス(DV)について Part2 2020/3/5
Part1で記しましたが、ドメスティック・バイオレンスとは、配偶者や近親者から振るわれる暴力的行為(身体的暴力・心理的攻撃・性的強要)を指します。
被害者の心理状況にはさまざまな要素が入り込み、DVから逃げることが困難になるケースが多いのです。
複雑な心理状況とは、先ず第一に恐怖感です。攻撃された恐怖感と共に、抵抗することで、更に攻撃されるのではないかという恐怖心から、その場から逃げ出すことをためらうのです。
第二に、経済的問題が頭をよぎります。専業主婦の立場では、経済的自立が困難という足かせから、関係を断ち切ることができないのです。
第三に、子供がいる場合はなおさらで、子育てを放棄して逃げ出す決断ができないのです。
第四に、世間体です。周囲からDVであることを知られたくないという、防衛意識が働きます。世間から色目でみられたくない、哀れみの目で見られたくないという意識からです。
第五に、絶望感です。もはや逃げ場がない。誰にも相談できない。ただただ堪え忍ぼうという、厭世観に支配されてしまうのです。
【被害者の精神的ダメージ】
度重なるDVにより、被害者の精神状態は疲弊します。精神状態が不安定となり、情緒が安定しませんで、不眠・鬱・食欲不振・動悸めまいなど身体に異変が表出します。また、PTSD心的外傷後ストレス障害となって、DVの残像を引きずることにもなります。
鬱病になる要因割合は、4割からDV被害者の場合は6割と増加します。PTSD心的外傷後ストレス障害になる要因割合は、3割からDV被害者の場合は8割と急増します。また、精神的に自殺傾向・不安障害・アルコール依存・薬物乱用・思考混乱・自信喪失・自責の念・人間不信などに陥るケースが多く見られます。
【DVによって家族に与える影響】
正常な日常生活に支障をきたします。当然、子供がいる家庭では、子育てにも支障をきたしますので、子供の健やかな成長にとって悪影響となります。子供の目の前で、DVがあった場合は、子供の心理に大きな残像(生育歴)として残るため、子供の健やかな成長にとって、心配の種を蒔くことになります。どういうことかというと、怖いのは暴力を用いることを無意識に学習してしまうことで、DVを容認してしまうことです。
【我慢ではなく、速やかにSOSを出す】
泣き寝入りするのではなく、速やかにSOSを出して避難することです。子供がいる場合は、実家に一時預かってもらうことです。また、支援関係機関に報告することです。
【精神的サポートとしてのカウンセリング】
カウンセリングを受けることで、カウンセラーが被害者に寄添い、心傷を癒やすことができます。正常な日常生活を取り戻すためにも、カウンセリングは一助となります。
この様なDV行為を許してはいけない社会の規範を硬く構築していく必要があります。また、法による弱者への擁護が絶対条件であり、セイフティーネットとなるように手厚く保護することが求められます。
次回Part3では、DV被害に遭った方々の支援関係機関について記します。
ドメスティック・バイオレンス(DV)について Part1 2020/2/27
ドメスティック・バイオレンスとは、配偶者や近親者から振るわれる暴力的行為を指します。
国は、暴力の防止及び被害に遭った人たちの保護・擁護を目的とした、【配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護などに関する法律】を制定しました。
この法律は、男性・女性問わず被害に遭った人たちに適応されます。しかしながら、現実には女性が被害者となるケースが圧倒的に多いわけです。
DVは、被害に遭った女性の人権をことごとく侵害する大きな社会問題であり、女性の尊厳を奪う卑劣な行為を許すわけにはいきません。勿論、男性の被害者にあっても同様です。
次に紹介するデータは、内閣府男女共同参画局によるデータです。(男女間における暴力に関する調査より転載)
【1:配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数】
2002年35,943件
2003年43,225件
2004年49,329件
(中略)
2010年77,334件
2011年82,099件
(中略)
2014年102,963件
2015年111,172件
2016年106,367件
2017年106,110件
2018年114,481件
2002年から毎年DVに関する相談件数は、右肩上がりで急増していることが確認できます。2016年・2017年に件数が若干降下しますが、2018年には再び件数が増えました。
【2:警察における配偶者からの暴力事案等の相談等件数】
2001年3,608件
2002年14,140件
(中略)
2011年34,329件
2012年43,950件
(中略)
2017年72,455件
2018年77,482件
こちらのデータでもDVに関する相談件数は、右肩上がりで急増していることが確認できます。
配偶者からの身体に対する暴力の相談等を受理した件数です。
上記1,2どちらの相談件数も近年非常に急増していることが確認できます。
【3:アンケート調査による被害経験】
*配偶者(事実婚や別居中の夫婦、元配偶者も含む)から《身体的暴力》《心理的攻撃》《経済的圧迫》《性的強要》のいずれかを1つでも受けたことがある。
女性1366人 ・何度もあった13.8% ・1,2度あった17.5% ・全くない66.9% ・無回答1.8% 【あった31.3%】
男子1119人 ・何度もあった4.8% ・1,2度あった15.1% ・全くない78.9% ・無回答1.2% 【あった19.9%】
【まとめ】
圧倒的に、女性の被害が多いことが確認できます。その理由としては、①男女平等・機会均等・共同参画の世の中にありながらも、社会通念である男尊女卑が潜在的に根ざしています。②経済的に夫の扶養としての弱者の立場です。③体力関係において劣勢である。というような構造の問題が横たわっています。
この様なDV行為を許してはいけない社会の規範を硬く構築していく必要があります。また、法による弱者への擁護が絶対条件であり、セイフティーネットとなるように手厚く保護することが求められます。
カウンセリングでPTSD(心的外傷後ストレス障害)を克服することが可能です。
次回Part2では、被害者の心理状況などについて記します。
スローライフのすすめについて 2020/2/18
「流れに乗り遅れるな」知らず知らずのうちに渦中に飲み込まれ、自分を見失うことはありませんか。気づいた時には、心身ともに疲弊して精神疾患に陥ってしまう。自分の日常生活を振り返る暇も無い。そんな現実の中で、もがいている方は多いのではないでしょうか。
現代の時の流れの中で、スローライフが人間回帰の切り札になっていることをご存じですか。時間に追われること無く、ゆったりとした気持ちで、人生を丁寧に過ごそうという考え方が、唱えられてきました。とは言うものの、現実の社会の中でそれを実行することは難しい話です。ひと昔前は、定年になったら、ゆっくりと趣味を楽しみながら、静かな余生を送ろうということが現実可能でした。ところが今は、人生100歳時代に入ろうという長寿時代で、老老介護が定年後の人生に立ちはだかるのです。いつになったらスローライフを実現できるのでしょうか。
【スローライフの実現に向けて】
①スローライフを小さく実行して、少しずつ大きくしていくことが大事なことなのです。先ずは、今の自分の生活スタイルを見つめることです。どこが窮屈なのか!どこが慌ただしいのか!どこが息苦しいのか!フィードバックしてみましょう。
②次に、ゆったりとした隙間をとるべき方法を考えましょう。はみ出した部分は切り捨てましょう。つまり、100㏄入りのコップに110㏄の水は入りません。この考え方で、生活スタイルを見直すことが大事なことです。気持ちにゆとりを持たせましょう。隙間とはそういうことです。欲張らないことが大事です。
【自分の生き甲斐を確認】
自分の人生の生き甲斐を優先順位付けしてみましょう。出世欲や物欲や金銭欲を切り捨てることが、スローライフを実現する発想には大事なことです。
前述しましたが、「流れに乗り遅れるな」ではなく、マイスタイルを貫いて、マイタイムをつくり出すことに努めてほしいと思います。
【スローライフ初めの一歩】
スローライフを小さく実行して、少しずつ大きくしていくことが大事なことと記しましたが、初めの一歩として、24時間の中でたったの1時間、ゆっくりと時が流れる空間に身を委ねられるように努力してみて頂きたいものです。
感受性や情緒性という精神的な豊かさを育んで下さい。
時に流されるのではなく、時をコントロールしていくことが、スローライフを実現するために大事なことです。
自分の時間軸を作って下さい。
子供を真っ直ぐ伸ばす極意について 2020/2/13
ここでは子供の健やかな成長を育むための極意についてお話しします。人間にとって大切な物とはなんでしょうか。私は精神面の涵養がどれだけ醸成されているかということだと思います。慈しみ・優しさ・寛容・思いやり・理性など、人間として、一つとして失ってはいけない心の礎です。子供にいかに接すればいいのか!その答えは、「自己肯定感を育む」ということです。子供が親に信頼されているという自覚を持たせることなのです。
では、自己肯定感を育むための手法はいかにするべきなのかということですが、何か一つ子供に託してみましょう。子供を信用することで、その親の気持ちが子供に伝わるようにすることです。子供は親から信頼されているという確信を得ることで、安心感が醸成されます。親の信頼に応えようという前向きな気持ちになります。そこに親と子の双方向の信頼関係が育まれます。親は子供の努力に対して、評価してあげることが子供の心に呼応します。ここに子供の自己肯定感が芽吹きます。
特段難しい手法ではありませんが、現実にはなかなか実行できないのです。その理由は、一つは、親が共働きで、子供と接する時間が少ないことがあげられます。親子のコミュニケーションをとる時間が限られ、係わりが少ないためです。二つ目は、子供は塾通いで、家庭で過ごす時間が限られます。つまり親も子も家庭の中でゆっくりと向き合う時間がとれないために、子供に何かを託すことができません。子供の情緒を育む芽を摘んでしまうのです。「さっさと勉強しなさい」という愚痴が出てしまう。これでは自己肯定感を育むどころか逆に、親への不満や反抗心が表出してしまいます。
大切なことは、存在の価値観なのです。子供は、自分の存在が価値あるものと受止めることにより、親への尊敬の気持ちを糧に真っ直ぐ成長していきます。両親の元に生まれて良かったという安堵感・敬愛感が自己肯定感に移行します。子供は自分の必要性を自信として真っ直ぐに成長していきます。歪むことはありません。
親は子供に対して、「お前がいないとだめなんだ!頼りにしているよ」という言葉をかけてあげることが肯定感のメッセージになります。家族の中でなくてはならない存在だという自負心を持たせることが大事です。そのことが、心の土台となって、自己肯定感を確立していくのです。前述で、お互いにゆっくりと向き合う時間が無い、コミュニケーション不足と記しましたが、限られた向き合う時間の中で、子供の話を聴いてあげるという粘り強い姿勢が親には必要で、心に余裕を持つことが大事です。
子供にとっては、親が受止めてくれたという喜びが生まれます。自己肯定感が生まれる重要な要因となります。思春期の難しい時期だからこそ、子供を否定するのではなく、肯定する言葉をかけてあげてほしいものです。
子供を真っ直ぐ伸ばす極意は、自己肯定感を育むことです。
男性と女性の更年期への理解について 2020/1/18
更年期は、体内の性ホルモンの減少によって、心身に与える変化のことをいいます。男性では、テストステロンという男子ホルモンが減少しますし、女性では、エストロゲンという女性ホルモンが減少することで、症状が出てきます。
男性は女性に比べて、更年期の症状がはっきりと出にくいので気づきにくく、女性は、閉経によって、その症状が表出しやすいのです。年齢的には、男女共に40代中頃から50代に更年期が表われます。
男性と女性では症状も若干異なります。
男性は、精神的不安・不眠・気持ちが落ち込むといった症状が主ですが、精力減退による勃起障害の症状が起こる場合もあります。
女性は、ほてり・発汗・のぼせ・頭痛・肩こり・疲労感・気持ちが落ち込むといった症状が主です。
男女共に共通する症状としては、鬱症状(気持ちが落ち込む)があげられますので、更年期による鬱的症状なのか、精神疾患による鬱病なのか診断を明確にする必要があります。医療機関での診察をお勧めします。
【治療】
専門医療機関で、男性・女性共にホルモン補充療法によって治療します。
更年期により精神的動揺が生じてきますので、更年期への理解と精神的サポートが大事です。更年期は長期間にわたっての症状ですので、本人が一番辛いわけで、夫婦が互いの更年期を互助しあうことが大切です。
また、精神的にネガティブになる傾向が出ますので、日常生活でストレスが発生し夫婦関係がうまくいかなくなったり、自律神経が乱れ体調不良となり仕事に支障が出る。いらだち感や心労といった精神的に不安定となりますので、心理療法もまた一助となります。カウンセリングを受けることで、心の支えが生まれ、理解者を得ることで、更年期を乗り越えるエネルギーとなります。
「そもそもストレスって何でしょう」について 2020/1/14
今や日本人からストレスを切り離すことはできません。「ストレスが溜まる」「ストレスを感じる」普段無意識に口癖の様につぶやくストレスの正体は何でしょうか。
平たくいいますと、心身に外からの刺激が加わったときに生じる圧力(軋轢)ということです。圧力を受けると心身に刺激が加わり、肉体的または精神的に歪みが生じるのです。例えば、動悸・肩こり・頭痛・不整脈・不眠・不安・めまい・高血圧など身体に症状が表出します。また、精神的には不安・恐怖・消沈・鬱などを発症します。
ストレスは、心身に対して負の要素(心配事)のみに表出するものではありません。実は正の要素(喜ばしいこと)にも起こります。例えば、「期待に応えなければいけない」というプレッシャーがストレスに変化します。
人間の身体は常にストレス(外的圧力)を感じています。その時に人間の脳は、無意識にストレスを解消しようと、エネルギーを消費しストレスの軽減に努めますが、放っておくと、そのエネルギーを使い果たし枯渇してしまいます。そうなると、心身に前述したような症状が表出してきます。ですからエネルギーは枯渇する前に充電することが大事です。
私たちは、「ストレス解消だ!」といって、自分の嗜好を無心になって行うことがあります。気分がすっきりして、清々しい気持ちになり、心が解放され軽くなります。これがエネルギーの充電ということです。
エネルギーの充電が要領よくできる人ほど、ストレスには強い人ということになります。
ストレスとは、心身に与える圧力ということです。その圧力を押し返そう、歪みを直そうと脳は無意識に指令をだし改善しようとするために、エネルギーを使うのです。人間には自律神経が働いており、起きているときは交感神経がフル稼動しています。しかし、心身を酷使して限界を超えて稼動し続けると、人間の心身は疲弊しエネルギーは枯渇します。そのため、人間は睡眠をとり心身に休憩を与えることで、交感神経から副交感神経にギアチェンジして心身にエネルギーを充電するのです。つまり、睡眠は大切なエネルギーチャージタイムということになります。
エネルギーを充電するセルフケア(心と身体が心地よいと感じること)を心がけることが心の安定のためには欠かせません。
今、あなたの心身のエネルギーは充電されていますか。なかなか上手に充電ができない方は、カウンセラーに心を支えてもらうことで、心のエネルギーを充電できます。
慢性疲労症候群について 2020/1/8
慢性疲労症候群は、単に疲労の蓄積による肉体疲労とは異なります。長期にわたり強い疲労痛が続き、十分な睡眠や栄養補給をとっても疲労が回復しません。半年以上疲労痛が続く場合は慢性疲労症候群を疑ってみて下さい。
【症状としては】
身体の痛み・発熱・疲労の3つですが、それに伴って脱力感や不眠また注意力散漫などの症状も出てきます。
【原因としては】
慢性疲労症候群と原因については、現在はっきりしていません。現在解っている要因として①ウィルスや②ストレスが考えられます。①では、インフルエンザの感染で発症した事例も確認されています。②では、心身に負荷がかかり、ストレスから自律神経が乱れます。肉体的・精神的疲労が蓄積することにより、身体の抵抗力・免疫力が著しく低下することにより発症するようです。
【診断の手順としては】
体調がすぐれず疲労痛がある場合は、初めに内科を受診します。そこで原因がはっきりしない場合は、心療内科を受診します。実は、慢性疲労症候群は、鬱病と判別がつきにくい疾患のため、正確な診断により適切な処方薬と治療が求められます。年齢的には20代から50代という勤労者に顕著です。また、男性より女性に多いのが特徴です。
【2通りの治療方法】
1つは、薬物療法です。専門の医師により適切な処方箋によって治療することが求められます。(ただし、現在専門の医師は多くありませんので、病院は慎重に選ぶことが求められます)
2つは、心理療法です。カウンセリングによりストレスとなっている原因を探っていきます。認知行動療法は一つの方法ですが、その他の療法を駆使して精神面の緩和を行います。
第1に、日常の生活習慣を見直すことが大事です。規則正しい生活サイクルを心がけることです。当たり前のことですが、現代社会のシステムの中ではその当たり前のことができないのが常です。(慢性疲労症候群は1980年代に確認された疾病で現代病です)
第2に、ストレスを溜めないようにすることが大事です。カウンセリングは心の癒やしにとって大切な手法になります。
ロスジェネ世代~7040問題について 2019/12/1
バブル崩壊後の就職氷河期に社会に巣立った世代(1970年代から1980年代に生まれた人々)の呼び名を、ロストジェネレーションといいます。この世代は企業における求人が限られたために、多くの人々にとって希望通りの就職がかなわなく、やむなく非正規雇用に甘んじ、今も不安定な雇用の中で生活を余儀なくされている方が少なくありません。優秀な人材でありながら、景気低迷期のために希望通りの就職(夢)が叶わなかった人々がこの世代には非常に多いのです。
現在、30代後半から40代後半という、本来であれば働き盛りで企業の中堅をになう年代である人たちが、現実には、厳しい雇用状態に直面しているのです。
例えば、非正規社員のため身分が不安定で低賃金である。そのために親元からなかなか独立できない。経済的余裕がないために結婚を諦めるなど。
現在、ロスジェネの問題は、深刻な政治問題に発展しています。ロスジェネ世代の親は、60歳中頃から70歳代で、定年退職後の年金生活に入っています。近い将来介護の必要な年代に突入します。上記の現状でロスジェネ世代が親の介護を支えていけるのでしょうか。不安がよぎります。
また、非正規雇用で低賃金となると、生活基盤が不安定なため、家庭を持つことにも躊躇してしまう。となると、ロスジェネの世代の婚姻率が下がるということは、おのずと出生率が下がりますので、ますます少子化に拍車がかかってくるのです。社会構造に歪みが生じます。
また、正規・非正規の格差社会が顕著なため、勤労意欲の低下に伴う、中高年の引きこもりや、将来への不安から精神疾患を患い鬱病になり、長期休職や退職に追い込まれるケースも出てきますので、社会復帰がままならない方々も多くおります。この様に、現在深刻な社会問題となって顕在化しており、これが7040問題(70歳の親と40歳のロスジェネ世代の子)ということです。
【精神面のサポート】
ロスジェネ世代が抱えているさまざまな課題の内、雇用制度などのセイフティーネット対策については、国策によるところですが、国は遅まきながらようやく重い腰をあげ対策に乗り出すようです。
一方、ロスジェネ世代の精神的課題については、カウンセリングの果たす役割は大きいと考えます。ロスジェネ世代の方々が乗り越えようとしている課題に対して、理解し共感して精神面の不安に対するサポートができる精神的支柱となる立場の一翼をカウンセラーが担うことになります。
バブル崩壊・リーマンショックを誰が予測し得たでしょうか。誰もいなかった。たまたまこの就職氷河期に、社会に巣立った若い世代の人々が遭遇し、その渦中に飲み込まれたのです。
一刻も早く、ロスジェネという呼び方がなくなる社会にすることが急務です。
引きこもり~社会復帰への道筋 2019/11/24
何らかの原因により、対人関係・社会生活から隔絶した状態を指します。
引きこもりの年齢は幅広く、10代から各年代にまたがっています。
10代で引きこもりとなった要因としては、いじめや学校不信、親子関係といった要因があげられます。
20代以降は、職場での人間関係や失業、リストラでの自信喪失といった要因があげられます。
定年後は、目標がなくなり、無気力状態から引きこもるケースがあげられます。また、大切な人を失うことで、喪失感や失意の念から生きる目的を失い、引きこもることがあげられます。
【引きこもる期間】
人により引きこもる期間には差があります。短期で復帰するケースもありますが、長期10年20年と長期に引きこもるケースもあります。
【引きこもる心理】
引きこもる人の心理はデリケートで、人間不信・逃避・隔絶・対人恐怖症・外出不安・自信喪失・厭世観・依存症・性格・PTSDといったさまざまな精神的要因が反映します。また、精神疾患(統合失調症・気分障害・鬱病・適応障害・発達障害・パーソナリティー障害)を伴う場合が有り、適切な対応(薬物療法や心理療法)が求められます。
【社会復帰への準備】
第一に、引きこもっている本人の「復帰への意志」確認が必要です。慌てず丁寧に、ゆっくりと本人とコミュニケーションをとって、意志の確認をすることです。引きこもっている本人と唯一コミュニケーションのとれる人を、家族の中から、または、第三者から適任者を探すことです。
第二に、市町村の自律支援センターに相談しましょう。また、地方自治体に設置されている、精神保健福祉センターに相談することもできます。公共の職業訓練サポートにおけるハロートレーニングを受け、また、同じ境遇の人たちによる集い、引きこもり家族教室のような、お互いの苦しい心境を理解し合う場に参加することも、大事な社会復帰への第一歩となります。
第三に、カウンセリングを受けることにより、身内には話したくないことを、カウンセラーに打ち明けることで、心のより所(サポート)を得ることができます。身内の方ですと、つい感情的に対応しがちになるケースがあるため、逆効果となることがあります。
【社会復帰を支援する心得】
前項で記しましたが、引きこもっている本人の意志の確認を怠ってはいけません。その上で、本人が社会復帰を望むのであれば、惜しみなく社会復帰のための支援をしてあげましょう。
勿論いきなり社会復帰といっても、心身の準備が整っていませんので、できる範囲を見定めましょう。本人の望むことを確認することが大事です。
ゆっくり時間をかけて復帰に向けてウォームアップすることを心がけてください。
一方で、引きこもった状態に対して、無理に復帰させようと仕向けることは逆効果ですし無理です。社会環境順応という免疫力が低下しているわけですから、本人に懐疑心を増幅させるだけのことにもなりかねません。ますます心を閉ざしてしまうことになります。引きこもり状態が長くなればなるほど、社会復帰が困難になります。
大切なことは、原因の究明に止まらず、現在のおかれている状況から抜け出せない障害物を一つ一つ取り払うことです。引きこもっている人が一番苦しんでいるのです。その心境を理解し、長い目で社会復帰する第一歩を踏み出す支援をすることです。
被災した場合の心のケアについて 2019/10/17
9月の台風15号、10月の台風19号により、お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表わすとともに、被災された皆様に、こころからお見舞い申し上げます。
9月の台風15号、10月の台風19号と立て続けに関東甲信越・北陸・東北地方を襲来、記録的暴風雨によって甚大な被害が出ました。多くの方々が被災され、生活が脅かされています。復興にはかなりの時間がかかります。未曾有の豪雨により、冠水した市町村の地域では、消防・警察・自衛隊、また、民間ボランティアによる復興のためのさまざまな救済活動が昼夜を徹して行われています。
【過去の教訓】
2011年3月11日に発生した東日本大震災被災地での教訓から、被災後の対応として、第一に被災状況の確認・安否確認・人命救助、第二に被災された方々の心のケアの対応です。
【心のケア】
一瞬にして生活が破壊されてしまうのですから、人間の心は疲弊憔悴します。周囲の誰もが同じ境遇に置かれ、精神的に不安定となり、恐怖心が襲ってきます。不眠・十分な栄養がとれないことから、体力も落ち神経が高ぶりイライラ状態となり、また、気持ちが落ち込み神経衰弱に陥り、絶望感に苛まれます。
被災された直後は、全てが混乱状態ですので、この様な状態におかれた方々をケアするセイフティーネットが整っていませ。従って、心のケアが後回しになってしまうのです。
【被災状況の中でどの様に対応するか】
「この様な精神状態におかれているのは、自分一人ではない。周囲の人たちも同じ境遇なのだから、励まし合っていこう。」という連帯意識を持ちましょう。
気持ちがふさぎ込むことで、会話はなくなります。不安が心の中に鬱積することで、息苦しくなりますので、身近な人と会話をしましょう。お互いの思いを話し聞くことで、心の鬱積した不安や恐怖心を共有しましょう。少しは和らげられます。できるだけコミュニケーションをとるということです。
被災された方々の精神的ダメージは深重異なります。他者への気配りを心がけ、言葉を選び穏やかに思いやりのある会話を心がけることが肝心です。被災した方々の心的外傷は大きく、すぐに立ち直ることは難しいのです。互いに励まし勇気づける言葉を交わすことが大事です。
【カウンセラーに相談】
被災された方々の精神的疲弊は、一筋縄では治癒できません。人としての尊厳が損なわれる事態に遭遇した後に、PTSD心的外傷後ストレスとなって、さまざまな精神的痕跡を残します。例えば、フラッシュバック(被災状況が蘇る)、回避(被災した場所に戻れない)などです。
特に被災した直後には、急性のASD(ストレス)PTSD(パニック)に陥りやすいので、カウンセラーに心の悩みを話し寄添ってもらうことで、孤独感から解放されますし、精神的安定を維持することができるでしょう。
夫婦間のモラハラについて 2019/10/10
【モラハラとは】モラハラとは、モラルハラスメントのことですが、主に人間として理不尽な行為を言います。DVは主に暴力行為を指しますが、モラハラは、暴言・中傷・束縛・無視といった精神的行為を指します。夫婦喧嘩で口論になることはよくありますが、それは一過的なことで、時間が解決してくれます。ところが、モラハラは、日常恒常的に暴言・中傷・束縛・無視を執拗に繰り返す病的行為なので、被害者を精神的に追詰め、苦しめるのです。従って、モラハラは明らかに精神的暴力・精神的虐待といっても過言ではありません。
【夫婦間のモラハラ】
結婚以前は、お互いに好意を持ち尊重し合って信頼を確認し、やがて、永久の愛を誓い夫婦として結ばれます。結婚後、夫・妻どちらかにモラハラ行為が表出する事は、夢にも思っていなかったことでしょう。人間はその本性(裏面性)を表わさないものですし、人に自分の欠点(短所)を気づかれないように(防衛反応)振る舞うものです。夫婦間のモラハラの加害者・被害者の立場は、夫・妻どちらにも当てはまります。
【モラハラ夫の性格】
暴言中傷・自己擁護・責任転嫁・ネガティブ思考・嘘つき・善人ぶる・無視・自己正当化・表裏二面性・嫉妬・束縛欲・依存症などの性格の持ち主で、モラハラ行為が恒常的に表出します。
【モラハラ妻の性格】
自己正当化・外面良妻賢母・独裁支配欲・虚偽癖・暴言中傷・わがまま自己中・神経質・自己擁護・実家依存症などの性格の持ち主で、モラハラ行為が恒常的に表出します。
【モラハラ行為の特徴】
前述しましたが、モラハラは、言葉や態度で対象者を精神的に追い込み、しかも長期的に日常恒常的に繰り返す、精神的暴力・精神的虐待行為です。この行為により被害者は、精神的に追い込まれ、逃げ場を失い、ストレスや恐怖から、迷走神経反射を起こし、めまい・過呼吸の症状から失神する事もあります。また、精神疾患を発症する事態に追い込まれます。
例えば、加害者から話しかけられた言葉に被害者は素直に応答しただけなのに、「何でそんなことを言うの・・・」と切り返され、応答したことを責め立てられます。加害者の言葉に被害者は応えに窮すると、「何で返事をしないの・・・」と揚げ足をとり、更に「無視するなよ・・・」とたたみ掛けるように責め立てるのです。それがエンドレスで繰り返されるのです。この様な言葉による精神的威嚇行為を日常恒常的に繰り返すのが、モラハラの特徴です。
【緊急な対応が肝心】
モラハラが長期にわたり繰り返されることにより、被害者は精神的疾患に陥ります。鬱病はその典型です。一刻も早く対策を講じることが賢明です。加害者との距離をとることが必要です。ただし、夫婦に子供がいる場合は、子育てがあるので、そう簡単な話ではありません。その場合は、実家の両親や法的機関(弁護士)に相談することが賢明な対応です。
また、精神的においつめられ心が苦しくなる前に、カウンセリングを受けることで、カウンセラーの共感を得ることです。孤立しないように、鬱になる前に心のケアを心がけて下さい。
急増するモラハラについて 2019/10/3
【モラハラとは】モラルハラスメントのことを略してそう呼びます。モラルとは、人としての理性・道理・倫理・規範であり、人として踏み外してはいけない行為を言います。ハラスメントは、嫌悪を意味します。つまり、他者に対して、嫌悪的行為を繰り返し行うことを言います。
【ハラスメントの種類】
●●ハラスメント言われる行為は、実に30種類以上に及びます。恐ろしいかぎりです。いかに現代社会及び人間の心が病んでいるかが伺え知れます。
私たちが周知しているハラスメントとしては、セクハラ・パワハラがありますが、その他にも、セカハラ(セカンドハラスメント)・アルハラ(アルコールハラスメント)・ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)・リスハラ(リストラハラスメント)・ドクハラ(ドクターハラスメント)・スクハラ(スクールハラスメント)・キャンハラ(キャンパスハラスメント)など拾い上げたらきりがありません。全て病的な嫌悪的行為です。
【セクハラ・パワハラの行為】
勤務している会社等で行われる、職務上の上司から部下に対して嫌悪的行為(暴言・暴力・職権乱用)を行うことです。これにより被害者は、精神的ダメージを受け、出勤できなくなる事態にもなります。最悪、退社という結末になります。
【モラハラの行為】
モラハラは、主に家庭内の夫婦間・親子間・配偶者間、または、恋人間・会社の同僚間・部署間などで、暴言・罵倒・威圧的態度・責め立てる・束縛・無視・冷笑・洗脳など、精神的に追い詰める嫌悪的行為です。陰湿な加害者の異常ともいえる精神構造があぶり出ます。
【モラハラ対策】
日常恒常的にモラハラを受けた場合、精神的ダメージにとどまらず、身体的にもダメージを受けます。心身の疲労衰弱により、心の動揺が表出します。我慢するのではなく、一刻も早く然るべき機関に告白する事です。その前段の対策として、モラハラ行為の証拠物を握っておくことです。録音テープや動画・記録メモ・メール履歴などは重要な証拠物となります。
然るべき機関とは、法律事務所(弁護士)に相談することです。行政機関ではなかなか動いてもらえないので、法の力を駆使することが、賢明な対応です。また、精神的ダメージ(PTSD心的外傷後ストレス)の心配がありますので、専門医(心療内科)を受診することをお勧めします。あわせて、カウンセリングによる心のサポートを受けることも心の安定と回復にとって、大事なことです。
【大事なことは・・・】
日常潜在的に行われているモラハラ行為。これにより精神的苦痛を受けている方々が急増しています。まさに病的ともいえる成人の嫌悪的行為です。しかも他人に対してのみならず、身内(配偶者)に対して執拗にモラハラが繰り返されている現実があります。
被疑者が我慢していると、精神的に追い詰められて行くことは目に見えています。被害が大きくならないうちに、一刻も早く然るべき機関に告白する事が大事です。身の安全を守ることを最優先して下さい。
社会問題化するワーカホリックについて 2019/9/19
今や社会問題化しているワーカホリックをご存じですか。
仕事に熱中するあまり、家庭を顧みず仕事漬けの生活を繰り返す勤労者のことです。
ワーカホリックは造語で【仕事中毒】のことを意味しています。
【病的な精神状態】
常に仕事のことが頭に固着し、会社に居ることで、安心感と充実感、達成感に酔いしれている病的な精神状態となります。会社・仕事に依存した状態のことを指します。逆に、家庭にいると不安感や心配症、罪悪感を抱き、居ても経ってもいられず「この様な状態でいいのか」というように、自責の念に駆られる精神状態となります。
重症になると、休日にもかかわらず、出勤して仕事をしたり、今日のノルマを達成したにもかかわらず、残業をしたりすることで、ハードワークに多幸感・高揚感を覚えるような精神状態をきたします。たとえて言うならば、ランナーズハイに類しています。
【本人は無自覚】
やっかいなことに、本人にワーカホリックという自覚がないことが問題なのです。本人にとっては、仕事第一優先、仕事をしている時が唯一至福の時間ですから、長時間労働は当然のことと認知しているわけです。
【迷惑危害は家族にいく】
ワーカホリックにより迷惑を被るのはその家族です。家族との団欒はなくなり、コミュニケーションは失われます。ワーカホリックを続けることにより、健康にも弊害をきたします。つまり悪循環【負のスパイラル】により、末路は家庭崩壊ということになりかねません。
【ワーカホリックに陥る人の性格とは】
ワーカホリックに陥りやすい性格としては、【負けず嫌い・わがまま・独りよがり・昇進願望・出世欲・見栄っ張り・対抗意識・強迫神経症】などがあげられます。
例えば、自分の仕事量がMAXであっても、「自分がやります」と名乗り出て、仕事を更に抱え込みます。本人にとっては仕事が次から次へ増えることで、充足感を得るわけですが、実は無意識のうちにワーカホリックに陥っているのです。
【ワーカホリックの特徴】
1】仕事中毒、仕事依存症という、仕事から我身を切り離すことができない精神状態に陥っている。自分にとって仕事が全てという精神状態。
2】自分で仕事をあれもこれも抱え込み、仕事に熱中することで、充足感を得る精神状態。
3】仕事をすることこそ、最高の喜びであり、人間としての最高の時間であるという観念。
4】自己中心的で、周囲の人々を巻き込んでいることすら、全くお構いなしという無自覚状態。
5】自分さえ満足であればそれで全て良いという観念。
一呼吸立ち止まって、我身の現状を鏡に映してみた時、もしや自分がワーカホリックでは?と思った時は、カウンセラーに相談して下さい。お待ちしております。
幼児児童虐待【負のスパイラル】について 2019/9/8
親による幼児児童虐待が後を絶ちません。実に悲しい出来事です。なぜ、このような残酷な行為が繰り返されるのでしょうか。その一つの断面を検証してみましょう。
【虐待が虐待を生み出す負のスパイラル心理メカニズム】
生まれてから、親と認識できるまでには長い時間がかかります。親は子供の面倒を愛情を持って育み、子供はその愛情で刷り込まれ自分の親であることを認識していきます。
【悪しき例として】
子供の目の前で、父親が母親を繰り返しDVし、その光景を日常子供が目撃し続けたらどの様になるのでしょうか。まだ子供は何が善か悪か見境がつかない年齢です。初めはその光景を見て、当然ながら子供の精神状態は混乱し、心理的ダメージを受けます。ところが、恒常的にその光景を見続けることにより、日常のありふれた行為と認知し、相手を従わせるという行為であるという認知が子供に刷り込まれてしまうのです。つまり、子供はDVを善として行う行為として認識してしまうのです。
【児童虐待は、負のスパイラルとなって表出する】
子供の頃に、親から虐待を受けた子供達は、その行為を何とかやめてもらおうと必死になって、親に気に入られようと指示に従い務めるように、無意識に刷り込まれていきます。やがて、子供は成長し、親の立場と逆転(力関係)し、負のスパイラルが起こる要因となります。被害者として虐待を受けた子供は、やがて大人になり、子供の時に虐待を受け、親の言うことに従うという刷り込みから、今度は自分が加害者となって、虐待を繰り返してしまうのです。恐ろしいかな、まさにこれが負のスパイラルです。勿論、全ての被害者が加害者になるという事ではありません。
【悲しい負のスパイラル】
DVの加害者は、フィードバックすると、実は子供の頃に虐待を受けた過去を持っていることが多く、その可能性(要因)があると言うことです。幼児児童虐待・高齢者虐待・配偶者虐待など、さまざまな事象となって表出します。
子供の時に受けた心理的ダメージが刷り込まれ、姿を変えて表出する。その姿とは、虐待という繰り返しになって、またも悲劇を生みだす可能性が生まれると言うことです。
【対応】
悲惨な虐待を防ぐためには、何より早期介入の手立てを確立する事です。例えば駆け込み寺ともいえる児童相談所ですが、あまりにも消極的な対応しかできない状況ではないでしょうか。法的権限を付与することで、児相職員が積極的に立ち入り介入する事ができるような法の擁護を検討することが、急務であると思います。一方で、暴力・虐待の負のスパイラルを断ち切るためのサポート・ケアをする事が最も大事なことではないでしょうか。
自分に不安をお持ちの方は、是非ともカウンセラーに相談することも一助となりますので、勇気を持ってお問合せ下さい。
子供の心模様~9月2日に向けてについて 2019/8/17
9月2日は、2学期始業式です。友達に会える楽しい一日だと思います。ところが、近年では、子供の自殺の多い一日でもあるのです。毎年100人以上の子供達が自らの命を絶っているという、悲しい日となってしまいました。その原因を探ってみましょう。
【原因】
1学期の学校生活におけるストレス状態から、1ヶ月に及ぶ長期休みに入り、子供達の心はホット解き放たれます。緊張感から開放感へ、心身ともにリラックスできる空間時間です。ところが、夏休みも終わりが近くなる時期になると、子供達の心は再び緊張しストレスが溜まってしまうのです。
なぜかというと、1学期に学校でうけた“いじめ”や“嫌がらせ”、“仲間はずれ”、“成績の優劣”など、再び訪れるであろう心身への重圧が心にのしかかるためです。
【子供の症状】
夏休みが終わりかける時期になると、子供達の心身に変化が現れます。腹痛・下痢・不眠・朝起きられない・頭痛・発熱・食欲不振などです。また、表情も生気がなくなり、うつろな目つきになります。
そして、子供の一言です。「学校に行きたくない」とぽつんと言うのです。
まさしく、9月病のサインが子供から発信されました。
この時に、親が子供のサインを受止めるか、見逃すかが、その後の子供の運命を分けることになります。
【親の対応】
我子が突然「学校に行きたくない」と言ってきたら、親としてどの様な言葉を返しますか・・・・・・・・・・。
“学校は絶対に行かなければいけない所ではない”という事を、是非念頭において頂きたいと思います。固定観念を無くすことです。
【親はセイフティーネット】
我子が「学校に行きたくない」と訴えた言葉は、親へヘルプを求めているのです。それに対して、親が突っぱねてしまったら、当然子供の居場所がなくなりますね。子供にとって親は最後の砦なのです。守ってあげられる唯一の存在なのです。
【手立て】
子供が追い込まれたら、逃げ場をつくってあげることです。つまり居場所を作っておくことです。愛する子供のために安全地帯を作りましょう。それは家庭という場所です。
【悩んでいる子供達へ】
「人生は長い曲がりくねった道だよ。上り坂もあれば下り坂もある。T字路もあれば三叉路もある。だから立ち止まって少し休んでも何の問題もない。時間はたっぷりあるからね。」
心が苦しかったら、カウンセラーに素直な気持ちを話して下さい。お待ちしております。
【お父さんお母さんへ】
子供の話をじっくり聴いて下さい。受止めてあげて下さい。寄添って下さい。
9月病に備えてについて 2019/8/13
今年のお盆休みが9連休という方も多いことと思います。5月の事例紹介の時にも記しましたが、気をつけなければいけないのは、連休後の気持ちの切り替えです。
【原因】
8月に入り連日のように35度を超える猛暑の中、体力の消耗とお盆休み前の仕事上のストレスで、心身ともに疲労困憊しきった状態だと思います。そしてお盆休みに入り、帰省やレジャー・家庭サービスなど、ほっと一息できる期間に入り、体内時計は連休モードにシフトされます。仕事上の事からも解放され、一過的に気分も晴々と心軽くなります。
ところが、お盆休みも今日まで!明日から始まる仕事の事を考えると、あれもこれもしなければいけないことが頭によぎり、一気に気分は重たくなり、仕事モードに気持ちを切替える事ができなくなる方も多いのです。
最近では、お盆休み明けに退職願いを出す人が急増していて、退職代行を行う弁護士も増えている現状だそうです。
明日から出勤、定時の満員電車にもまれて出勤という現実が頭をよぎり、出勤拒否の憂鬱が出やすいのです。
【症状】
症状としては、仕事に行きたくないという憂鬱感。不眠や過眠状態。頭痛・動悸・息切れ・倦怠感などです。
【対応策】
リラックスできる状況(気分転換)つくり出すことです。出勤2日前には滋養できる生活環境に戻しましょう。
セロトニンが脳内に不足することで、鬱的な精神状態に陥りやすくなるため、夏バテで食欲が落ちる時期ですが、良質な動物性タンパク質(肉類・乳製品)やビタミン鉄分を含んだバナナ・海藻・糖類などを摂取する事が、体力回復に効果的といわれています。
仕事のことをあまり過剰に思い詰めないことです。ないにもかも定規に当てはめないで、無理なく進めるタイムスケジュールを作ることです。
専門医療機関を受診(薬事療法・精神療法)して、自分のメンタル状態を確認しましょう。
【心がけること】
連休終了2日前には、普段の体内時計に徐々に戻しましょう。
気分が重かったり、出勤に対する抵抗感がある場合は、カウンセリングを受け、今の気持ちをカウンセラーに受止めてもらうことで、気持ちの落ち込みを改善する効果が期待できます。
双極性障害【躁うつ病】について 2019/7/29
躁状態と鬱状態を交互に繰り返す症状が出る障害です。ただし、鬱病と同類の病気という認識で扱われがちですが、実は別の病気で治療や処方される薬にも違いがあります。正しい診断が大事ですので、実績のある精神科の病院を受診されることをお勧めします。
【原因】
実は、明確な発症原因は不明です。遺伝・性格・自律神経・ストレス・社会的要因など、個人個人異なりケースバイケースです。
【症状】
高揚感に満たされた躁状態と、憂鬱感に陥った鬱状態が繰り返される病気ですが、どちらでもない平常的な精神状態の期間もあります。従って、症状をきめ細かく観察することが肝要です。
躁状態では気分が高揚し、気持ちが大きくなり、脳が覚醒状態になり不眠不休で行動的になりますので、正常な精神状態を逸脱します。ハイの状態です。
鬱状態の時には、気分が落ち込み無気力で厭世的になり、何もやる気がわかない無気力状態です。鬱の時は処方された薬は飲んでも、躁状態になってからは「自分は健康だ」と思い込み、処方された薬は飲まず、自己判断でやめてしまったりという事があります。これは、症状を益々悪化させる危険な行為です。
躁状態と鬱状態の現れる周期は、個人差があります。3ヶ月から6ヶ月、または、もっと長期間(年単位)にまたがる人もいますので、千差万別です。
【再発】
再発しやすい病気でもあります。再発率は90%と言われています。こじらせると慢性的になりますので、しっかりとした治療を心がけ、医師の指示に従って治療をする事を心がけて下さい。
正確な診断をしてもらうためには、実績のある精神科を受診することをお勧めします。
躁うつ病は、詳細に症状の観察をしないと、単に鬱病と診断されることがあります。例えば、軽い躁状態では、気分がいいと言うことだけで見過ごしてしまうことがあります。従って、鬱病の薬だけを処方されて飲んでも効果はありません。
詳細な症状の観察及び経過を把握し、医師に多くの情報を提供し、今後の治療計画を組み立てることが必要になってきます。
【治療】
先ずは、薬物療法により、躁状態における処方と、鬱状態における処方を、医師の指示に従って適切に飲み続けることを心がけることが肝要です。大事に至る前に適切な受診をお勧めします。
子育てが楽しめる社会環境について 2019/7/16
育児放棄(ネグレクト)や幼児虐待というニュースが日常茶飯事報道される日本の社会は、もはや社会構造が底割れしだしています。早急に手を打たないと負のスパイラル現象に歯止めがかからなくなります。その社会現象の代表が少子化です。
【子育ては夫婦の共同作業】
母親は24時間子育てに奔走します。我子のために献身的に尽くします。子供の夜泣きや、授乳、発熱など暇のない時間を過ごします。その間に、炊事・洗濯・掃除・食事の準備と隙間無く働き続け少しずつ疲労が蓄積し、やがて体調不良になり、精神的に追い込まれていきます。そん結果、母親は自分の中でストレスの処理の限界を超えた時、イライラが爆発します。物にあたる範囲を超え、我子にその矛先が向けられた時は最悪の事態になります。
【父親は母親の日常の実態が見えていない】
朝「いってきます」と玄関を出た途端から、夜「ただいま」と帰宅するまで、母親と子供の育児の実態を理解することはできません。ましてや、残業で毎晩10時を過ぎないと帰宅しないとなると、母親のストレスも限界に達してしまいます。総務省の調査によると、父親の家事育児のサポート時間は一日平均20分という結果が出ています。これでは、母親の心身の疲弊は当然です。子育ての負荷が重くのしかかっています。母親の自由時間は搾取され、閉塞感が心身を蝕んでいきます。
【少子化の原因】
第一子でこのような状態ですから、第二子を作ろうとすると精神面で躊躇させます。国や行政も少子化対策はあの手この手で策を講じています。例えば、一時預かりや地域子育て支援センターの増設などに予算を計上しました。ただ、これだけで少子化の進行は止められません。決め手が無いのです。
父親の育児参加のためには、残業はひかえる。父親も育休を取得する。
現在国政により、【働き方改革】が進んでいますが、まだまだ企業間によって整備の実態に開きがあります。
※日本の男性育休取得率3~4%に対し、スウェーデンは90%です。
父親の帰宅時間が遅いと、結局そのしわ寄せが母親に負荷されます。母親は子育てが自分に全て背負わせられるという気持ちになりますから、孤立感が生まれ、「これ以上子供は作れない」という思いが出てくるんです。少子化はそのような精神的な要素が反映しているのです。
【大事なことは、子育てが楽しいという感情】
母親の育児をサポートするためには、父親が積極的に育児休業を取得する事にあります。父親のサポート時間が増えることで、母親の孤立感・閉塞感は解消され、精神的ゆとりが生まれます。夫婦のコミュニケーションも密になり、子育ては共同作業という共通の理解が生まれます。「子育てが楽しいという感情」が夫婦で共有されます。少子化にブレーキをかける決め手の一手となるのではないでしょうか。
自閉スペクトラムについて 2019/7/9
他者との関係が円滑にとれずに、常に自分の興味関心に執着して行動する特徴がある発達障害の1つです。アスペルガー症候群も含まれます。
臨機応変に対応出来ない。自分のやりたいことに固着する。従って、社会生活にさまざまな摩擦が生じる事態が起こります。
【2つの症状】
①他者との係わりが苦手。
幼児期は、人見知りや親の後追いはしない。
児童期・少年期は、他者とうまく会話が成立しない。孤立してしまう。
青年期・成人期か、対人関係・コミュニケーションが上手にとれない。仕事が上手にこなせない。
②興味思考の偏重、こだわり。
幼児期は、同じ遊具を同じ動作で繰り返し動かす。
児童期・少年期は、常に同じ手順を踏まないと遊べない。興味があることについて、突出した知識量がある。
青年期・成人期は、スケジュール管理が苦手。自分の意にならないと、パニックを起こす。周囲にお構いなく個人プレーにはしる。興味があることに没頭する。
【症例】
①では、言語による指示を理解することができないため、他者との間に意思疎通が困難になる。
周囲の状況が理解できない。
他者との人間関係が狭くなり、一人孤立することが多くなる。
②では、自分が好奇心を持ったことにたいして執着する。
興味を持ったことの知識量は、専門的なレベルである。
常に同じ手順で物事の動作を繰り返す。
自閉症スペクトラムは、発達障害の1つですが、社会生活における障害になることもありますが、社会生活に順応するケースも多々あります。
従って、適切な対応が明暗を分けることになります。
症状の事例でも記しましたが、コミュニケーションにおいて、通常の言葉では理解できない場合は、わかりやすく何のための話か、かみ砕いて順序立てて根気強く話をすることが大事です。
また、特定の興味を持った事については、秀でた知識を持っているので、適材適所の場を設けることが肝要です。
【大事なこと】
本人が無理なくできる範囲のことを与え、不可能な領域については与えない。
周囲が自閉症スペクトラムという障害を十分に理解した上で、サポートしてあげることが、何よりの対応策となります。本人の「生活つらさ」を和らげるサポートが大事なことです。
アスペルガー症候群について 2019/7/5
発症原因については、現在のところ確定原因はわかっていませんが、脳の正常な機能に何らかの異常が発生して生じる精神疾患といわれています。
【3つの症状】
症状としては次の3つがあげられます。
①他者との係わりが不得手
②立場をわきまえない言動
③自己興味への偏重
【症例】
①他者との係わりが不得手とは、他者との係わり方が解らないということです。集団生活の中で、一人突出した存在となり、なかなか輪の中に溶け込むことができません。
②立場をわきまえない言動とは、発達年齢に則した言動ができないため、周囲の人たちの理解を得られないことがあります。羞恥心などを自覚することが困難な状態です。本人自身に意図はないのですが、他者の気持ちを理解しにくく「空気が読めない」立場となってしまいます。
③自己興味への偏重は、自分の好奇心や興味に対しては、突出した知識がありますが、興味が無いことには無関心で偏りが生じます。ここでも集団で行う作業や授業において、支障が生じることがあります。
普段の生活状況を詳細にチェックし、その上で検査することが求められます。と言うのも、普通の人と比べると「あの子ちょっと変わっている」と言う評価で見過ごされてしまうケースがあるためです。本人自体アスペルガー症候群であることの自覚症状はありませんので、両親から本人に診断を促すことが大事です。
【治療】
早期診断が望ましく、幼少の時に集団で遊んでいて、一人だけ常に別行動をとったりしてしまう行動が常態化している場合は、精神内科等医療機関で検査することが望ましいと思います。
【大事なこと】
円滑な社会への順応ができることが一番大事なことであり、家族や周囲の人たちの理解が何よりのバックアップ体制なのです。
鬱病について 2019/6/23
厚生労働省の調査によると、さまざまな精神疾患で医療機関に罹っている数は、全国で300万人を超えています。その内、鬱病の患者数は100万人を超えている状況です。なんと精神疾患の患者の3分の1にあたります。
【誰にも罹りうる疾患】
2週間以上、気分が晴れない、無気力感に陥る気が滅入る、楽しみや喜びを感じない、趣味や好きなことに没頭できないと言うメンタル症状が表出します。なぜ、このような状態になったのか自分自身原因がわからないという状況が続くことで、精神的に苦しみ、落ち込みます。
【鬱症状の要因】
鬱病は、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが減ることで、神経伝達への機能低下を生じ、鬱病を引き起こすことが解ってきています。従って、鬱病を治すためには治療(薬物投与)が必要です。
【鬱病のパターン】
鬱病は、単極性(鬱状態)と双極性(躁鬱状態)があります。また、単一性(再発無し)と反復性(再発)があります。
【起因するもの】
鬱病の症状は、人それぞれ重軽が異なります。ですから、症状にあった治療が功を奏します。心理的には、気分が沈む・脱力感・ネガティブ思考となります。身体的には、頭痛・不眠・めまいなどの不調が表れます。
その背景には、2つの起因があります。生活の中で起こるさまざまな要因が複雑に絡み合って鬱病の起因となります。
1つは、環境的起因です。突然大切な人を失った。信頼していた人から裏切られた。職場や家庭環境の急激な変化。仕事で失敗した。
2つ目は、性格的起因です。几帳面・真っ正直・責任感が強い・正義感・完璧主義などの性格で、精神的に自分を追い込んで責任を一人で背負ってしまう。自身のエネルギーの放出が大きく、燃え尽きてしまう。その他、遺伝的要因や身体疾患により発症することが知られています。
【治療方法】
①薬物療法(投薬)②休養(滋養)③精神療法(カウンセリング)があります。カウンセリングについては、再発防止の観点からアプローチ(思考パターン・行動パターン)の見直しが主となります。
根気強く治療することが求められます。
【セルフケアの重要性】
今や誰にでも罹りうる疾患であることを理解して下さい。自分は大丈夫と安心せず、セルフケアは大事な予防の一助となります。
起立性調節障害について 2019/6/18
一般的には聞き慣れない疾患名です。
起立性調節障害は、思春期における身体疾患です。
小学校高学年から高校生までに症状は顕著に診られます。
特に中学生では全体の10%程度で、クラスの中に1~2人程度はいるという見解も出ています。
【要因】
思春期の時期は、特に心身のバランスが不均衡になります。つまり、自律神経がうまく機能しないため、交感神経と副交感神経が相互に切替え(ONとOFF)にくくなります。
【症状】
朝起床できない・立ちくらみ・失神・動悸・頭痛・腹痛など、身体に症状があらわれます。
【身体的状況】
朝起床できないため、学校に登校することができなくなります。午後以降になると体調は回復し、普通通りの日常生活ができる子供もいます。ですから、明日は学校に行こうと思うのですが、再び翌朝になると同じ症状となり、学校に通学することができなくなり、しばらくはその繰り返しとなります。
【適切な対応】
一見すると、不登校の兆しや怠け癖と捉えがちになりますが、実は思春期の年齢に表出する身体疾患であり、本人にしてみると、この症状はどうにもならない状態で、本人が一番つらい精神状態に追い込まれることになります。
【家族や周囲の理解が大切】
起立性調節障害は身体疾患であり、家族や周囲がそのことを十分に理解することが大事です。その上で、バックアップしていくことが肝要です。
焦らず、じっくり待つ、怒らず見守ることです。
【治療】
起立性調節障害と言っても重症度が異なってきます。従って、専門の小児科内科の診察を受けることをお勧めします。
本人の症状に応じた適切な治療と、環境整備を行い、速やかな対応が不可欠です。
薬物療法(投薬)・一般療法(生活習慣の改善)・カウンセリング(自律訓練法)・理学療法(体操運動)などがあります。
個人差はありますが、起立性調節障害は心身の成長とともに改善していきます。早くて2~3ヶ月から2~3年かかることもあります。
思春期の対応について 2019/6/13
思春期とは、小学生高学年(11歳)から高校卒業(18歳)までの期間に起こる第二次性徴で、成長に伴う心身の変化を呼んでいます。成人になるための準備期間ということになります。
本人自体、心身の急激な変化に戸惑いながら、思考力や心理面の変化との葛藤の中で、急激に変化する自己と向き合うことになります。
【思春期の表出】
第一に、心の変化です。親の路線に沿って成長してきたことへの疑問符が芽生えます。親のいいなりに対して抵抗感を感じ始め、自分の考えた方向に行こうという、自律心・自立心が頭をもたげてきます。
更に、親との距離をとるようになり、その距離はだんだん離れていきます。ただし、内心に不安や心細さはあるため、寄り所として、友人を作り行動を共にすることになります。従って、友人は大切なかけがえのない存在となっていきます。また、成長とともに、友人との価値観にも相違を認め合い、個の存在を認め合う心の成長が確立していきます。
第二は、身体の変化です。男女の性差がはっきりしてきます。それぞれ異性として認識しだします。
女子は、父親を異性として徐々に遠ざけるようになります。嫌悪感を抱く時期が相当長く続きます。
男子は、言葉使いが粗暴になったり、口をきかなくなったり、親を遠ざけるようになっていきます。
男女の性差に伴う思考の違いにも大きな差が出てくるのもこの時期です。(男子は泥遊び・女子はままごと)
【親の対応】
今まで言うことを聞いていた我子が、突然言うことを聞かなくなったとき、親は戸惑います。
自転車にたとえると、自転車に補助車を付けた状態でいつまでも乗っていたのでは、一人乗りすることはできません。同様に、親が子離れしないと、子供は自律・自立できないのです。親は我子のことが心配になり、手をさしのべたくなりますが、過剰な干渉や保護はひかえて、子供の自主性を遠巻きに見届ける勇気も大事なことです。放任とは違いますので取り違えないようにして下さい。それは、放っておくと糸が切れた凧ように危険な方向に行きかねません。
思春期の子供は、親を手こずらせますし、離れていこうとしますが、それは一方で、親への甘えの形でもあります。ですから、親として子供から逃げるような行為は絶対にしないで下さい。子は親を映す鏡です。
子供の自律心・自立心・自尊心を涵養することは親の役割です。親は笑顔を大切にして下さい。怒鳴り声の絶えない家庭では、子供の心は萎縮してかきむしられてしまいます。笑顔の絶えない家庭では、子供は安心感に満ちあふれ、心は潤います。
思春期の子供の心理は繊細でナイーブです。
主役は思春期の子供です。親は脇役として黒子に徹し、飛行場で言う滑走路の役割になって下さい。我子にとってよいフライト(自律・自立)ができるように願っています。
ネグレクトが子供に及ぼす弊害及び対応について【Part2】 2019/6/8
乳幼児期から幼少期に恒常的なネグレクトによって、心身に及ぼす弊害は計り知れません。
先ずは、人としての人格形成です。愛情を注ぎ込まれた子供は、自尊心が芽生えてきますが、逆に愛情の希薄な子供は自虐性が強くなります。
健やかに成長すべき精神的発育に楔が打たれることになり、成長するに従って、精神的問題行動が出てくる可能性があるといわれています。
【弊害症状】
気性が粗暴になる・嘘性・内向的・無気力・発育不全・協調性の欠落・知的遅延・集中力欠如など、心身にさまざまな弊害が現れるようになってくることが確認されています。
【早急な対応】
①消極的ネグレクトは、自分の精神的状態を自覚することが可能です。このままではいけないという自責の意識があるならば、勇気を持って、児童相談所に足を運んで欲しいものです。1人で児童相談所に行くことに躊躇を感じるのであれば、夫婦そろって伺うことで、現在の状況を説明しやすくなることでしょう。この第一歩を踏み出すことが、改善に向けてのスタートとなります。
②積極的ネグレクトは、意図的に育児を放棄することですから、自らのネグレクト行為を自覚して自責の気持ちを持つことはなく、当然児童相談所に行くことはありません。むしろ、遠ざける対象物となります。
ですから、周囲の方々が異変を察知することで、しかるべき機関(児童相談所・警察生活安全課・区役所社会福祉課・民生委員)などに通報することが肝心です。
公的機関では守秘義務を厳守しますので、通報者のプライバシーは保護されます。安心して下さい。
※大惨事になる前に、速やかな手段を講じなければ、この問題の解決の糸口は見えてきません。
※尊い子供の健やかな成長を守るのは、私たち周囲の一人ひとりの目配りにかかっていると言っても過言ではありません。
育児ネグレクトの原因について【Part1】 2019/6/7
ネグレクトとは、ないがしろにする・ほったらかしにする・顧みない・怠るなどの意味です。
育児をほったらかしの状態にしてしまい、取り返しのつかない事態に発展しかねない育児放棄の状態を育児ネグレクトと言います。
繰り返しますが、親が乳幼児に対して育児・保育を放棄し、高熱や嘔吐・引きつけなどの状態を見過ごし、危険な状態に至っても、すぐさま対応対処しようとしないで放置する行為のことです。
乳幼児の生命に危険を及ぼしかねない状態まで無関心な放棄状態を指します。
育児ネグレクトである親の育った家庭環境や素性については様々です。貧困家庭・シングルマザー・鬱状態・育児ノイローゼ・虐待されていたなどです。また、育児ネグレクトの親には、自身がネグレクト(育児放棄)されたという過去を背負っているケースが検出されることも見逃せません。
【育児ネグレクトの特徴】
育児ネグレクトの特徴としては、第一に、積極的ネグレクトです。これは意図的に育児を放棄することです。
本来育児は、きめ細かく乳幼児の状態を観察しながら、授乳をしたり、おむつを替えたり、着替えをしたり、検温したり、母親・父親が主体的に面倒を見なければ成立ちませんが、積極的ネグレクトの場合、あえて育児をせずにほったらかしにするという病的な行為です。
幼少期になると、ネグレクトの形態はいっそう過激になり、結果とし身体的虐待に繋がって行きます。
たとえば、食事を与えない・入浴させない・病院で診察させない・学校に行かせない・外出させない・無視するなど、虐待に近づく行為へと進んでしまいます。
最近、虐待による子供の痛ましい死がニュースで報じられていますが、実は、社会に表出しない出来事が日常茶飯事にどこかで起こっていることを心配しています。
私たちの身の回りで異変に気づいたら、直ちに行政機関に一報するなどの対応が急務となります。
第二に、消極的ネグレクトです。母親・父親の生活困窮状態から、やむなく育児ネグレクトになってしまうケースです。こちらも放置し続けることは乳幼児にとっては危険な状況に置かれるため、やはり対応は急務となります。
次回【Part2】では、ネグレクトが子供に及ぼす弊害及びネグレクトへの対応について記します。
引きこもりについて 2019/6/4
引きこもりとは、社会生活から隔絶して一人自分の世界で生活する状態のことです。
【今激増する原因とは】
要因としては、十代では不登校から、成人では退職からと考えられています。再び登校や再就職することなく、家内に引きこもってしまうのです。
引きこもりやすい性格としては、内向的・引っ込み思案の性格がその傾向にあります。
【引きこもりの症状】
引きこもった状態が長引くと、本人自体にストレスが蓄積され、不安や葛藤となって、そのはけ口を求めて精神的症状となって表出します。
例えば、他者からどの様に思われているだろうか。嫌われているだろうか。阻害されているだろうか。など、被害妄想や強迫観念に陥ってしまいます。
その結果としての症状は、昼夜逆転・不眠・無気力・摂食障害・自殺願望・家庭内暴力などの様々な精神的疾患症状が表出するのです。
引きこもりは誰でも起こりうると考えられています。
いつそのような要因に陥るかわからない現代社会の中で、事前に予防するのは難しいのです。
引きこもりの場合、その状態を日々把握することが肝心です。何か普段と違う行動や言動をとっていないか。食事は摂っているかなど、チェックすることが肝心です。
【【引きこもりへの対応】
引きこもりの対応としては、本人が引きこもっている阻害要因を確認し、じっくりと改善していくことが大事です。
家族の理解と協力が不可欠です。時間はかかりますが、本人と向き合うことが大事なことです。
向き合う第一歩は、コミュニケーションです。会話が成立しない場合は、手紙でのやりとりが、双方のツールとなります。単文で気持ちを伝えて下さい。一例ですが、準備しておいた食事にメモを添えておくとか、部屋の扉に差し込んでおくなど、寄添う言葉を一筆書くなど。責める言葉は禁句です。何より気持ちを通わせる手立てを講じましょう。
長期戦ですが、辛抱強く待つことも大事です。
家族会への参加も一助となります。
適応障害について 2019/6/1
適応障害をご存じでしょうか。大きな要因の一つに、ストレスによる精神的抑圧があげられます。当然日常生活や社会生活に支障をきたします。国際的専門機関によりますと、ストレスが起こってから1ヶ月くらいから症状があらわれ、治療をすれば症状は半年くらいで治まると言われています。半年以上症状が改善されない場合もありますので、その時は、十分に経過観察を怠らないようにすることが大事です。
【適応障害の要因】
・外的要因は、家庭環境・学校環境・社会環境の変化によるものです。
・内的要因は、心身にストレスを感じ、それを排除できない状態に追い込まれたときです。
【適応障害の症状】
抑鬱状態・不安感・集中力の低下・不眠・動悸・衝動的行動・摂食行動など
【適応障害の特徴】
ストレスが解消されると、これらの症状は改善されます。
【適応障害の診断】
専門の医療機関で診断することが大事です。
ストレスの根源を抽出しましょう。
①家庭生活に要因があるのであれば、家庭環境の改善をする。
②学校生活に要因があるのであれば、通学を一時的にやめる。
③勤務先に要因があるのであれば、出勤を一時的にやめる。配転を希望する。
近年、ストレスによる重圧で心身に変調がある場合は、専門医療機関に早めの受診が肝心です。
①薬物療法は専門医の診断と処方が必要な治療です。
②心理療法は、専門医または臨床心理士・心理カウンセラーによる療法です。
何より自身の健康が第一ですので、日頃からメンタルヘルスチェックをなさることをおすすめします。
セルフネグレクト(自己放棄)について 2019/5/15
最近セルフネグレクトの方が増えています。聞き慣れない用語ですがご存じですか。そもそもどの様な状態の方々をこのように呼ぶのでしょうか。
生活環境や健康状態が疲弊しているにもかかわらず、本人が全く改善しようとしない。周囲にも相談することをしないと言う、精神状態に陥っている方々のことです。
例えば、室内の清掃拒否や、ゴミを溜め処理をしない。入浴をしない。歯磨きもしない。着替えをしない。食器も洗わないで不衛生に放置する生活習慣の常態化、健全な日常生活の営みができない状態で、日々生活している方々です。本人はこのような生活を続けていても、何の問題意識も持ちません。
セルフネグレクトに陥る要因としては、①突然の身内の死や、孤立、持病などによる生活意欲の低下が考えられます。また、②ストレス社会の中で、不安感による抑鬱状態、③リストラ・失業・過重労働などから勤労意欲の減少、④情緒不安からのアルコール依存症など、心身のアンバランスにより、様々な状態となって表出します。高齢者に多いのですが、今や老若男女誰でも起こりうる精神疾患なのです。
そこで、セルフネグレクトの改善及び対応については、何があるのでしょうか。第一に早期に専門医(心療内科)を受診して相談することが大切です。
セルフネグレクトへの対応は、早期対応が望ましいのですが、とは言っても、本人に自覚やその意志がないため、自ら受診することには限界があります。そこで周囲の方々の協力が大事となります。異変に気づいたら、本人にさりげなく今の状態について、気づかせる手立てを講じることが重要です。
①自分で自分の世話ができないことを自覚する。
②周囲の方が、そのことに気づかせるように働き掛ける。
③しかるべき機関に相談することを促す。
セルフネグレクトの状態を放置すると、孤立死・餓死・病死と言った生命の危機に直面します。今や社会問題となっています。地域の方々の目が行き届くことで、深刻な事態は回避されます。
日常生活が億劫となり「何もしないことが楽だ」という意識が自分を支配しだしたら、セルフネグレクトのシグナルが発信されていることに気づくことです。
5月病の対応 2019/5/1
最長10連休のGWも終わり、学校に登校、会社に出勤と気ぜわしい日常の世界に逆戻りです。
連休中は、気持ちも楽になり、身体も弛緩した状態になります。その状態からいきなり連休明けの緊張状態に突入するわけですから、身体をリセットする余裕も生まれませんので、当然、心身のアンバランスが生じます。つまり、自律神経がアンバランスになっているのです。ストレスが発生し、憂鬱な気分に陥ります。いわば、夢の世界から現実の世界に引き戻される恐怖感さえ芽生えます。人は誰も多かれ少なかれそんな気分になるのです。
交感神経→速い・収縮・硬直
⇅
自律神経→脳・心臓・血管・脈拍・筋肉
⇅
副交感神経→遅い・拡張・弛緩
何事もウォームアップが必要です。いきなりダッシュをしたり、ジャンプをしたら、足腰を痛めるのと同様で、連休中の心身の弛緩状態から、登校・出勤モードにスイッチしたら、身も心もついてはいけません。
連休の終わる2日前から、心身の切り替えのためのウォーミングアップをすることです。例えば、登校や出勤のサイクルに徐々に戻しましょう。起床時間や、食事の時間、カレンダーを見ながらこれからの一週間のスケジュールの確認など、頭と身体のモードを徐々に戻して行きましょう。
4月は、新学期・新年度ののスタート1ヶ月でした。緊張感やストレスで、心身は飽和状態でした。そこに来てGWで、心身の弛緩状態です。ほっとするのも束の間、また、緊張状態です。連休明けに気持ちが沈み込み、学校に行く気がしない。出勤する気持ちがわいてこない。こんな精神状態の時は、決して無理をさせないで、様子を見ることです。何かサインが出ていることを観察して下さい。十分にウォーミングアップをして、心身ともにリセットできた状態にまで戻すことです。焦ってはいけません。連休明けの憂鬱な気分は、大半の人々が抱く気持ちなのですから。
社会人の方は、今年のお盆休み最長9連休。学生さんは夏休み明けの9月。どうぞ、ウォームアップをしっかりと行ってください。
憂鬱感や体調不良が長引くようであれば、早めに神経内科を受診することをお勧めします。
パニック障害の症状と対応 2019/4/15
パニック障害には3つの症状が検出されます。①パニック発作②予期不安③広場恐怖です。突然現れる恐怖や不安により、身体が緊張のあまり硬直、過呼吸、めまい、動悸などの身体的発作や、精神的動揺を引き起こします。
・原因については、究明されていませんが、何らかの要因により、脳の神経経路に異常があると考えられています。
・パニック発作を起こすその背景には、ストレスや自律神経のアンバランス、また、過労などが誘因となるようです。
・3つの症状の内、①パニック発作は、本人を取り巻く環境の変化に、突然に症状が出ます。動悸・息切れ・めまいなど、身体的発作となって表出します。②予期不安は、一度パニック発作を引き起こすと、またパニック発作を起こすのではないかという不安から、再発作を繰り返します。そのことにより、精神的に追い詰められ、自信喪失していくという悪循環に陥ります。③広場恐怖は、②の状況から、たった1人の時にパニック発作が出たときに、ヘルプをする人がいない不安を回避するため、自分1人孤立する状況を回避するようになります。1人で外出する恐怖が出てきます。
・パニック障害の結果、本人の自信喪失により、日常生活や社会生活に大きな制約が生じることになり、益々マイナス思考となってしまいます。
・パニック障害の治療としては、神経内科を受診され、法規治療をお勧めします。治療としては、薬物療法と認知行動療法が中心となるでしょう。専門医の適切な処方に従うことが、大切です。
PTSD心的外傷後ストレス障害について 2019/4/10
恐怖を体験した記憶が、心の傷(トラウマ)となり脳裏に焼き付いて離れません。
・深刻な身体的精神的ショッキングな出来事に対する苦痛がストレスとなり、事後も様々な症状となって続く障害です。勿論、全ての人にPTSDが発症するわけではありません。
・自然災害・交通事故・暴力・殺人・性犯罪・虐待・DVなど、身体的精神的ダメージを強く経験した被害者が恐怖体験を思い出すことにより、回避行動やフラッシュバックを起こすことで、心のストレスが蓄積され、重苦しい状態になります。
・PTSDの症状は、人により表出の時期が異なります。事後数週間から数年後に症状が出ることもあると言われています。
・例えば、自分が経験した出来事と同様のニュースを見たとたん、当時のことが蘇り、リアルに脳裏に再現され、異常なまでの強い恐怖感に襲われることがあります。また、つらい記憶を避けるために、似たような場所を避けるようになります。
・従って、日常生活に限りなく制約をきたし、行動半径も縮小されるため、社会生活に影響が生じます。
・過去のつらい体験が常につきまとい、心のストレスは極限に達してしまいます。精神的に過敏な状態が続き、情緒不安定になります。
・このような症状が出た場合は、数週間程度は経過観察して、その後も続くようであれば、専門医(精神科・心療内科)を受診して診察を受けることです。
・PTSD心的外傷後ストレス障害の治療には、①心の傷を癒やすこと②表出した症状を緩和することにあります。どちらも専門医(精神科・心療内科)の診断及び処方(薬物療法・精神療法)に従って、治療することが大事です。
・速やかに適切な治療を受けることで、1年以内に50%の方々が回復するという統計も出ているようです。不安を抱いている方は、お早めに受診することをおすすめします。
大人のADHDの対応と理解の仕方について 2019/4/7
ADHDは注意欠陥多動性障害と言います。小児期から成人期に至るまで、個人によって症状が異なります。本日は大人のADHDについて記します。成人期に突然症状が表出するわけではありません。おそらく小児期から症状があったわけですが、思うように症状が改善されないまま、社会人にいたりご苦労されている方もいると思います。
そこで、大人のADHD3つの症状について記します。
1.不注意→気が散る・約束が守れない・時間管理ができない・作業の手順や段取りができない・忘れ物が多い・仕事上のミスが多いなど。
2.衝動性→見境なく思いついたことをすぐに発言してしまう・衝動的に態度に出てしまうなど。
3.多動性→そわそわ落ち着きがない・じっとしていられない・周囲を気にせずおしゃべりをする・目的のない挙動を繰り返すなど。
このようなADHDの症状ではないか!と不安を感じてお困りの方は、どうしたらよいのか。また、ADHDの方が社会生活を前向きに過ごすために、周囲の人が理解しなければいけないことは何かをお伝えします。
・ご自身が上記3つの症状の中で、小児期から現在まで気になる症状や不安を感じていらっしゃれば、専門の医療機関(精神神経科)を受診をして、症状を伝えることをおすすめします。
・診断については、ADHDに似た症状もあるため、ADHDの判定については、専門医の診断を最優先する必要があります。
・治療については、専門医の診断と処方に従って進めていくことが大事です。
・ADHDは本人の努力不足や怠慢・わがままではありませんので、周囲の方々の理解と協力・サポートが必要です。あたたかく見守ることが大事です。
・ADHDの症状の特性を知ることは大事であり、叱責することはいけません。本人もつらい状況を自覚しているの で、精神的に追い詰める行為はいけません。いっぺんに言っても難しいので、一つ一つ最小限度に伝えます。周囲の人間があたたかく根気強くサポートする姿勢が大事です。お互いに情報を共有してミスを少なくするように心がけます。
・短期間に全てを改善することはできません。容易に実行できる事柄から一つずつ一定期間継続をして改善することが大事です。周囲の方も根気強くバックアップして下さい。
※相談窓口(以下名称で検索)
①発達障害者支援センター
②医療機能情報提供制度(医療情報ネット)厚生労働省
③発達障害支援の機関リスト
④カウンセリング
※家庭生活・社会生活のうえで、良好な人間関係が築かれることが大事です。自分の行動特性と上手に付き合い、周囲の人は、十分に行動特性を理解し、援助することが大事です。
ストレスに強い人と弱い人の思考の違いをご紹介いたします 2019/4/3
事例→営業イベントで成果が出なかった。
ポジティブな思考の人→今回は失敗に終わったが、次に繋がる課題が見つかった。修正点がはっきりした。これをチャンスと捉えよう。次に向かって早速頑張ろう。
ネガティブな思考の人→期待を裏切ってしまった。なんで自分には力量がないんだろう。自分には営業センスがないんだ。もうだめだ。
・ものの感じ方、捉え方、性格や育った環境によるものも大きいが、トレーニング次第で変えることは可能です。
・出来事には自分1人でコントロールできることと、できないことがあります。コントロールできないことに労力をつぎ込んでも意味はありません。1人で背負い込まない。チームで効果的に自分の労力を注ぎ込みましょう。
・日常の仕事の達成感を確認し、自己成長の確認を大切にする人ほど、日々の仕事を乗り切り、良い成果も得られます。
・非合理的な思考から、合理的な思考に転換する習慣に心がける。セルフケアの実行。
・脳に休憩を与える。質の高い睡眠時間6時間確保。気持ちの切り替え。リセットする。
・日常生活の中で、ネガティブな思考をポジティブな思考に置き換える意識を持つことが大事。
・ネガティブな思考をする人は、繊細で他人から自分はどの様に見られているかを気にする傾向がある。他人の評価が絶対的なものではない。成功か失敗かは自分で評価すればいいことです。
・結果・成果が出なかったにしても、「自分の努力や分析が足りなかった」と気づくことこそ成長の証です。ストレスへの耐性がついていきます。(失敗は成功の基)です。
こころ日が鬱の気配の対応策をご紹介いたします 2019/4/1
今年のゴールデンウィークは最大で10連休となります。気をつけなければいけないのは、連休後の仕事の再開です。日々の張詰めた緊張(トップギア)から解きほぐされ、ほっとできる連休期間。睡眠不足を補うために朝寝坊、晩酌のお酒の量も増えて、食事の時間もずれ込みます。体内時計は連休モードにギアチェンジです。連休も今日まで、明日から始まる通勤地獄、連休明けのたまった仕事の処理と、いきなり頭の中は仕事モードです。でも身体はまだ連休モードのままです。そう簡単には切り替りません。
症状→不眠・食欲低下・仕事が遅滞・ミスが多くなる。
経過→3日~4日程度の一過性なら問題ない。
米国の診断基準→2週間程度の継続が判断基準
不快感要注意→「普段と何かが違う」
心身のサイン→起床ができない・帰宅後ぐったり・気持ちがイライラする
引き金となる危険因子→過剰ストレス→自律神経の疲弊→鬱の気配
性格→几帳面・正義感・責任感・過剰気配り・頑張り屋
※対応策
①リラックスできる環境→休養と睡眠・気分転換をつくりだす。
②日常生活をセーブするよう意識する。
③専門医療機関を受診する。
④精神面でカウンセリングを受ける。
※連休2日前には、普段の体内時計に徐々に戻しましょう。